マスク争奪戦で「ドラッグストア」客のいさかい各地で発生…犯罪になる可能性も

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2020年03月04日 10:11  弁護士ドットコム

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新型コロナウイルスの感染拡大を受け、ドラッグストアに多くの人びとが押し寄せている。ネット上でデマが拡散され、トイレットペーパーや紙おむつを買い占めたり、マスクを求めて朝から並んだりする人などさまざまだ。


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しかし、ドラッグストアの店員にも大きな負担がかかっている。



3月1日、普段から利用しているドラッグストアに立ち寄ると、いつもは笑顔の店員の目が虚ろになっていた。疲弊した様子でレジを打ち、「ありがとうございました…」と、ほとんど聞き取れない声を口にした。別の店員は数人の客に「マスクはいつ入荷するんですか」「今日もないんですか」と聞かれ、謝罪を繰り返していた。



SNSで「もう謝るのに疲れました」と声を上げた店員もいる。ドラッグストアの現場は今どうなっているのだろうか。



●ドラッグストア社長「ぜひあたたかく接して頂ければ」

北海道でドラッグストアを運営するサツドラホールディングスの富山浩樹さん(代表取締役)によると、店舗を巡回したときに、怒鳴ったり、商品を奪い合い、喧嘩をしたりする客がいたことを聞いたという。



富山さんは、「note<北海道のドラッグストア社長から現在の状況とお願い 〜そしてコロナが明けたら>」でマスクや消毒液などは入荷はしているものの、すぐになくなってしまうという状況や予防方法などを説明している。そして、つぎのように呼びかけている。



「お問い合わせの電話もひっきりなしになる中でなかなか十分な対応もできていないのですが、何卒状況をご理解いただきたいのと、従業員も異常な状況の中で頑張っており少々疲れていますので、ぜひあたたかく接して頂ければ幸いです。



このような最中で皆さん不安だと思いますが、ぜひ冷静に、冷静に買い物をしていただき、正しく予防をしてこの時期を乗り切りましょう!こんな時こそ皆んなで優しくなれるといいですね」。



●「犯罪」に該当する可能性も

客からの行き過ぎた要求は、場合によっては「犯罪」にあたる可能性もありうる。大橋賢也弁護士は「店員が説明を尽くしても、理解しようとせず、自分の主張を押し通すような客には注意が必要になります」と語る。



「一見正論であったとしても、大声で何度も同じ要求を繰り返して、店員をその場から離れさせない客は、『客と店員』という立場を利用し、店員の意思を制圧するに足りる勢力(『威力』)を用いていると評価することが可能な場合もあるといえます。このような行為には、威力業務妨害罪が成立する場合もあるでしょう(刑法234条)。



また、店員に対し、生命、身体等に害を加える内容を告知して脅迫し、むりやり土下座を強要するような行為には、強要罪(刑法223条1項)が成立する可能性があります。お引き取り願っても帰らない顧客の行為には不退去罪(刑法130条後段)が成立する可能性もあります」(大橋弁護士)



客同士で商品を奪い合った結果、商品が破れたり、壊れたりした場合は器物損壊罪(刑法261条)が成立することもありうる。また、客が相手に殴る・蹴るなどの暴行を加えた場合は「暴行罪」、ケガを負わせれば「傷害罪」にあたる可能性もあるだろう。



目に見えないウイルスに、客も不安を感じている。しかし、ドラッグストアの従業員に対する配慮の気持ちも忘れてはならない。




【取材協力弁護士】
大橋 賢也(おおはし・けんや)弁護士
神奈川県立湘南高等学校、中央大学法学部法律学科卒業。平成18年弁護士登録。神奈川県弁護士会所属。離婚、相続、成年後見、債務整理、交通事故等、幅広い案件を扱う。一人一人の心に寄り添う頼れるパートナーを目指して、川崎エスト法律事務所を開設。趣味はマラソン。
事務所名:川崎エスト法律事務所
事務所URL:http://kawasakiest.com/


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  • 若かりし頃 ゲバ棒振り回してたジジィババァ共は 当時思い出してタオルでマスクすればよろし。
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