指原莉乃さん「芸能人の悪口書いちゃった人いる?」 衝撃の返信、法的リスクも

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2020年03月07日 09:41  弁護士ドットコム

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タレントの指原莉乃さんが3月5日、インスタグラムのストーリーで「芸能人の悪口書いちゃって訴えられたらやばいって過去ある人いますか?」と質問を投稿。そこに寄せられた衝撃の返信が、話題となっています。


【関連記事:「流産しろ」川崎希さん、ネット中傷に「発信者情報開示請求」 追い詰められる投稿主】



●「本当にゾッとしました」

指原さんによると、7割くらいの人から「ない」と返信がきたとのこと。ただ、その中に「サッシーが●●のマンションに住んでるって書いたことあるw」(●●は指原さんがスタンプで伏字化)という返信がありました。





指原さんはストーリーで、その投稿を引用しながら「気持ち悪いですね。アカウント控えました」、「震えて眠るんやろなあ 人生いろいろ」とコメントしています。



翌日6日には、自身のツイッターで「最近ネットニュースで話題になっていて、書類送検までされているという事があり、どんな人がどんな気持ちで書き込んでいるのか興味があった」と質問を募集した意図を説明。







返信で書かれたマンションについて、指原さんは「本当にむかーし住んでた地域でした!そしてよくここに住んでるって書かれてたの」と話します。



その書き込みが理由で当時引っ越したこともあったといい、「本当にゾッとしました。あの時の不安だった日々の答え合わせが今更できたようですごく気持ち悪かったです」と打ち明けています。



また、その返信を寄せたアカウントが、いわゆる「裏アカウント」ではなく、名前や子どもの顔を載せているアカウントであったことも、指原さんにさらなる衝撃を与えたようです。



そのツイートに対し、ファンからは「(書き込んだ人が)悪びれず言えるのすごい」、「胸が痛いですね」など指原さんを気遣う言葉が寄せられています。



人を誹謗中傷したり、プライバシー情報をネット上に書き込んだりすると、民事裁判を起こされ賠償金を支払うこともありますが、ときには犯罪になることも。最近では、タレントの川崎希さんを中傷する書き込みをしたとして、警視庁が女性2人を侮辱容疑で書類送検しています。



一体どのような書き込みをすると、法的な問題が生じるのでしょうか。インターネットの法律にくわしい清水陽平弁護士に聞きました。



●インターネットは「完全な匿名」ではない?

ーー指原さんの元には「SNSは匿名なのにバレちゃうんですか?」という声も寄せられているそうです。実際はどうなんでしょうか。



SNSを匿名で利用している方は多いのではないかと思います。しかし、SNSに投稿している内容や、やり取りをしている内容から、どこの誰かということが分かってしまう例は少なからずあります。



実際に「炎上」が発生した際に、炎上の発生原因になった人が「特定」されて、その情報がインターネット上で拡散されている例はしばしば目にするかと思います。



また、法的にも「発信者情報開示請求」という手続きを経ることで、投稿者を特定することが可能です。



発信者情報開示請求は、プロバイダ責任制限法という法律に基づいて行うことができ、「権利の侵害が明らか」といえる場合に開示が認められます。



このように、SNSを匿名で利用していても、一定の場合は利用者の身元が判明することになります。



●どのような書き込みがNG?

ーーどのような書き込みをすると、法的な問題が生じますか。



まず、刑法上の問題があります。



よく言われる言葉で「誹謗中傷」というものがありますが、これは法律用語ではありません。誹謗中傷には多様なものがありますが、一般的には、名誉毀損(名誉権侵害)、プライバシー権侵害、名誉感情侵害といったものを含んだ言葉として使われているように思われます。



このうち、名誉毀損は刑法上の犯罪に当たり得る場合がありますが、プライバシー権侵害、名誉感情侵害は犯罪にはなりません。



罪になるためには、その罪が法律により定められていることが必要ですが、「プライバシー侵害罪」や「名誉感情侵害罪」というのは存在していないためです。



ただ、民事上の責任を問われる可能性はあります。プライバシー権や名誉感情を侵害したとして、民法上の不法行為が認められれば、慰謝料請求も認められることになります。



ーーインターネットの書き込みが問題になるのは、対象が有名人でも一般人でも変わらないのですか。



名誉毀損の成立のしやすさというのは、有名人か一般人かというので、基本的に違いはありません。



ちなみに、名誉権と名誉感情の違いですが、名誉権は外部的な名誉、つまり他人からどのように見られているかを問題にし、名誉感情は内部的な名誉、つまり自分がどのように感じたかを問題にします。



数多くの相談を受けていますが、名誉感情を問題にしている人が多いという印象です。ただ、同じことをしてもプライドが高い人であれば侵害となり、低い人だと侵害にならないというのは不公平なので、誰が見てもひどい、といえるようなものでなければ侵害とは判断されません。そのため、権利侵害があるといえる例は多くはないです。



●マンションが判明すれば「プライバシー権侵害」

ーー指原さんは自分の住居の情報をネットに書き込まれ、悩んでいたそうです。住んでいる場所の情報をネットに書き込んだ場合、法的問題はありますか。



事実上何というマンションなのかや、その住所が判明するような場合には、プライバシー権侵害が成立することになります。単に地域名が書かれたという程度であれば、侵害と判断することは難しいでしょう。



ーー書き込まれた情報が実際とは違う場合は、法的に問題にならないのでしょうか。



実際にはそのマンションに住んでいない場合は、プライバシー権が侵害されたというのは難しいです。ただ、これは実際には違う場合には、一切侵害にならないということではありません。



たとえば、「病気に罹患している」といった情報もプライバシーにより保護されるものですが、実際には罹患していないのに、罹患しているという情報を発信していれば、侵害になることがあります。




【取材協力弁護士】
清水 陽平(しみず・ようへい)弁護士
インターネット上で行われる誹謗中傷の削除、投稿者の特定について注力しており、Twitter、Facebookに対する開示請求でともに日本第1号事案を担当し、2018年3月、Instagramに対する開示請求の日本第1号事案も担当。2020年1月14日には、「サイト別ネット中傷・炎上対応マニュアル第3版(弘文堂)」が出版されている。
事務所名:法律事務所アルシエン
事務所URL:http://www.alcien.jp


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