『ザ・ノンフィクション』金を稼いでほしい/話を聞いてほしい――夫婦それぞれの主張「3つの病と闘う怜奈〜結婚5年目のさざ波〜」

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2020年03月17日 18:42  サイゾーウーマン

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サイゾーウーマン

日曜昼のドキュメント『ザ・ノンフィクション』(フジテレビ系)。12月22日の放送は「3つの病と闘う怜奈 〜結婚5年目のさざ波〜」。

あらすじ

 福田怜奈33歳。幼少期の頃からさまざまな病気を抱え暮らしてきた。今、怜奈を苦しめている病気は脳脊髄液減少症(外出時に杖がいる。定期的な点滴も必要)、反応性低血糖症(血糖値の乱高下が激しく、超糖質制限のある暮らし)、難治性重症便秘症(薬ナシでは便通が難しい)の3つだ。

 怜奈は自身の経験をもとに低糖質スイーツを開発、販売する会社を興すも、自分の給料すら払えない生活が続く。体調不良を押して仕事に邁進する怜奈を、結婚5年目の夫・竜平は支えつつ不満も覚えている。一方の怜奈は、自分が体調不良の際にもう少し竜平に構ってほしいという不満がある。番組の最後で、怜奈は竜平に自分の考えを訴えるが……。

「仕事で金を稼いでほしい」「話を聞いてほしい」双方の主張

 結婚5年目、微妙にギクシャクしている夫婦がそれぞれに抱える主張は、このようなものだ。

竜平:仕事で金を稼げるようになってほしい
怜奈:体調が悪いときにちょっと話を聞いてほしい。「俺に言ったって治んないよ」と言わないでほしい。

 番組を見ている限り、この二人の主張は竜平の言い分のほうが納得できる。というのも、怜奈は無理の利かない体調を押して次々に事業を展開するものの、それで稼げているわけでもない“手弁当”状態だ。無理のし過ぎでさらに体調を崩しているのでは、とも見えるシーンもあった。現状では怜奈の治療費は竜平が出している。竜平の主張としては「金を稼げるようになってほしい」だが、「金を稼げない仕事で体調を崩す状況はいかがなものか(無理をしない範囲で仕事をしたほうがいいのではないか)」という、心配のほうが大きいように見えた。
 
 この二人のぼんやりとした食い違いは、どう解決するのか。番組の最後で怜奈は「(怜奈自身が体調不良の際)騒がれてうっとうしいのはわかるんだけど『はぁ』みたいなのは、ちょっと傷つく。横になってテレビ見て、夜中、ゲームの時間を1分だけちょうだい」 と訴える。そして竜平は、自身の「仕事で金を稼いでほしい」という要望が受け入れられているとは思い難い状況下で、この主張を受け入れた。

 この結果になったのは怜奈の理屈以外の交渉術の巧みさだろう。その“うまさ”とは、上記の怜奈の訴えにも表れている。「ソファーでテレビやらスマホやら、いつも随分忙しいですね」といった嫌味がまったくなく、相手を立てている。内容だけでなく話し方もゆっくりと間を取っていて、頭に血が上った状態で話していないのだ。家でスマホにうつつを抜かしている男性にイラついている女性は全国に数多いるだろうが、この怜奈のテンションで「交渉」できる人はかなり少ないと思う。

 番組内で怜奈は超低糖質のクリスマスケーキを製造し、販売するだけでなく希望者に無償で配る企画も行っていた。

 事業を興して日が浅いときや自信のないときほど、「タダで働く」ことに手を出しがちで、私も関わっていた事業に「タダで」参画したことがあるが、その経験から、それはやってはいけないと思っている。「タダ」は次にまったくつながらない、とまでは言わないが「タダだから」利用する人も多く、結局は自己満足で終わると学んだからだ。

 怜奈のケーキを無償で受け取った母親の一人は、ケーキを食べさせたいと思っていた息子はイチゴが嫌いだと、受け取り時に話す。だが、怜奈のケーキは中にイチゴクリームがサンドされており、結局、息子はクリームのピンク色が見えただけで嫌がって口にしなかった。イチゴが嫌いなのだから仕方ない。イチゴクリームがサンドされていることを怜奈側が伝えていなかったのか、母親側がチェックしていなかったのかはわからないが、これがもし「有償」であったら、事前に双方がもっと細やかにチェックし、対応できたはずだ。

 「タダ」は提供する側・受け取る側、双方の判断が甘くなりがちになる。そして互いがそんな甘い状況下で進んだ物事は、本来目指すべき次のステップである「お金が絡んだ局面」の参考にならないのだ。お金が絡んだほうが両方に良い意味での緊張感が走る。

 番組の最後で、怜奈は自分の治療費くらいは稼ぎたいと話していた以上、「無償」はやめたほうがいい。竜平が指摘する通り、金を受け取らなければ仕事ではない。怜奈は自分の給料を回して事業を手広くしようとするより、対価をしっかり受け取る覚悟を決めるほうが得るものは大きいのではないかと思う。

 次週の『ザ・ノンフィクション』は「就職先はさる軍団 〜師匠と弟子と新入社員〜」。猿と家族同然に過ごし、師匠から弟子へ厳しい指導で受け継がれてきたスタイルも今や昔、「日光さる軍団劇場」を運営する株式会社モンキーエンタープライズは週休2日と働き方改革にも対応している。同社に入社した今どきの若者はどう成長していくのか?

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