カネと欲望が渦巻くコスプレ業界――40代“現役”コスプレイヤー・椎名蜜が、業界の闇をぶっちゃけます!
コスプレイヤーを撮影するカメラ小僧、通称「カメコ」のぶっ飛んだ言動をご紹介した前回に続き、今回は“エロキモカメコ”に遭遇した一件をぶっちゃけます。
連載1回目で明かした通り、私はコスプレ写真集を販売し、収入を得ていました。そのコスプレ写真集の内容が「どんどんエロくなってしまう」なんて話もしましたが、これは被写体となるコスプレイヤーの意思だけではなく、カメコの影響が大きかったんだと、今になって思います。長年、顔なじみのカメコさんに写真を撮られていると、最初は恥ずかしかった水着撮影も慣れてしまい、いつの間にか“ほぼ素っ裸”でも平気になってしまうのです。
しれっと「緊縛」を要求してくるカメコ
私は、撮影会で好みの写真を撮ってくれるカメコ・Bさんに出会い、コスプレ写真集制作のお手伝いをお願いしたことがあります。Bさんはほかのコスプレイヤーさんの写真集撮影もお手伝いしていて、界隈からの信頼がありました。そのため、こちらも警戒心ゼロになってしまい、ラブホテルで1対1の撮影をしたのです。
……といっても、いきなり変な要求はしてきません。場所はラブホでも、最初は普通の撮影で終わりました。しかし、回を重ねるうちにBさんは
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「〇〇のコスプレするなら、▲▲バージョンの衣装(よりエロい衣装)を持ってるから、着てみない?」
「××ちゃんの写真集撮影したときは、ローションでヌルヌルになる撮影をしたんだよね。彼女の写真集けっこう売れてるみたいだから、そんな感じで撮ってみない?」
「今は“緊縛”がはやってるんだってさ。蜜ちゃんもチャレンジしてみない?」
などなど、あくまでも“売れる作品作りのアイデア”として、しれっとエロいことを提案してきたのです。
当時の私は「なるほど、やってみよう!」とBさんに言われるがまま、服じゃなくて“ほぼヒモ”みたいな衣装を着てみたり、縄で縛られて撮影してみたり、ローションで衣装を濡らされたり(Bさんは「濡れた衣装に興奮する」らしい。知らんがな)、ニプレスや前貼りの上から生クリームを塗られたりしていました。
ちなみに、生クリームって体温で溶けてくるので、撮影中に何度も塗り直さないといけないんですが、こっちはポーズを決めているので、Bさんが丁寧に塗り直してくれるんです。そうすると必然的に、私の大事なところを何度も触ることになるので、まったくありがたい話じゃなかったです。
自分の感覚としては「アート作品作り」だったので、Bさんと協力していいものを作ろうと熱くなっていて、このおかしさに気づかなかったし、気づこうともしませんでした。でも今なら、Bさんがしたことは立派なセクハラであり、一歩間違えば性暴力だったのだとわかります。
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Bさんのような“エロキモカメコ”の中には、右も左もわからない中学生コスプレイヤーにエロいポーズを求めて無理やり撮影をしたり、撮影会を主催してスタジオのトイレや更衣室を盗撮したり、イベント後に居酒屋で打ち上げをしたあと、酒に酔わせたコスプレイヤーをラブホに連れ込んで強姦するなど、犯罪を犯す人もチラホラいます。
「撮影会スタジオでトイレ盗撮」を実行し逮捕された人が、過去に私も写真集の撮影をお願いした人だと知った時は、衝撃が走りました。もちろん私もそのスタジオを利用していたので、トイレを盗撮されていたんじゃないかと思うと、本当にショックです。
彼が撮影した写真は、レタッチをしなくても透明感のあるキレイな仕上がりだったので、私はその“写真”がすごく好きでした。しかし、この一件があったことで、自分が置かれている世界の異常さを思い知ることになりました。もちろん、純粋にコスプレが好き、作品が好き、撮影が好きで良い写真を撮りたいというカメコさんもいますので、“エロキモカメコ”のせいで真面目なカメコさんが誤解されないよう願うばかりです。
ひとくちに「カメコ」といっても、さまざまな人がいることを学びました。地下アイドルストーカー刺傷事件、秋葉原耳かき店員殺人事件は、いずれも男性から見て「身近で気軽に会える手の届きそうな女性」が、深刻な被害に遭っています。“エロキモカメコ”には、コスプレイヤーも同じように見えているでしょう。
犯罪に巻き込まれてからでは遅いですから、コスプレイヤーさんや、これからコスプレイヤーになろうと思っている人たちには、“エロキモカメコ”のうまい言葉にだまされず、何よりも「自分の身を守る行動」をしてほしいと思います。
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