北原みのり「過去の声が未来(あと)を照らす」

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2020年03月28日 16:00  AERA dot.

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写真北原みのり(きたはら・みのり)/1970年生まれ。作家、女性のためのセックスグッズショップ「ラブピースクラブ」代表
北原みのり(きたはら・みのり)/1970年生まれ。作家、女性のためのセックスグッズショップ「ラブピースクラブ」代表
 作家・北原みのり氏の週刊朝日連載「ニッポンスッポンポンNEO」。今回は過去と未来の捉え方について。

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 網野善彦さんの本で知ったのだと記憶しているが、中世の日本人の時間観は今と全く違っていたという。

 現代人は未来が自分の前にあると考える。意思と努力と選択によって、人生を切り拓いていく。自分の歩く後に過去はあり、未来は光に向かって歩いていくようなイメージだ。

 対して中世日本人にとって未来とは背後にある闇だった。過去は自分の前に広がっているが、未来は背中に。人々は背中を大きな手でつかまれ、その手によって闇に引っ張られるように生きていたという。興味深いのは、その感覚が、今も言葉として残っていることだ。「前」という言葉が「過去」を意味し、「後(あと)」は未来を表すように。「まえにも、こんなことあった」「あとで、やろう」、そんな感じで。

 今、中世の時間観で生きているような気分だ。どこに連れて行かれるか、自分で選択できることはあまりに少なく、猛スピードで乱暴に未来に引っ張られているように感じる。

 でも、なぜなんだろう、不思議に怖くない。もちろん経済的な不安、移動が制限されることのストレス、健康への懸念は深まるばかりだ。それでも一方で、こんな時だからこそ目の前に広がっていく過去の道を、凝視したくもなるのだ。過去から聞こえる声や、見える景色に集中していると、もしかしたら引っ張られる未来の角度が変わるような、そんな気持ちにもなる。過去との向き合い方が、未来を決めていく。

 国有地売却を巡り、公文書改竄(かいざん)を命じられ、財務省役人の赤木俊夫さんが自死したのは2年前の3月だった。当初から「ある」と言われていた手記や遺書が先週妻の手によって公開され、もみ消されようとしていた過去が明らかになった。妻は、改竄を強制し、夫を死に追いやったとして、国と佐川宣寿理財局長(当時)を訴えた。

 この2年、妻の苦しみはどれほどのものだったろう。国有地が私物化される犯罪に加担させられ、死を選んだ夫。さらに事実を知った検察ですら、権力側にあっさりとつき事件をもみ消した。しかも全て「終わって」みれば、権力に近い人だけが守られ、その他は易々と切られ、そしてあっという間に忘れ去られようとする現実に、どれほど苦しんだことだろう。

 それでも。真実に一番近いところにいて、それ故に死を選ぶほど苦しんだ人の声が消えることはないのだ。その声を聞き、見据えることによって、私たちの未来の方向はグワーッと引っ張られながらも変わるかもしれないのだ。というか、変わらなければいけないだろう。

 韓国の朴槿恵は今も拘置所にいるという。国民を欺き、役人の本分を狂わせ正さず、弱い立場の者を見殺しにし、権力を思う存分私物化する。ほぼ同じようなことをしている日本のトップが、のうのうと権力を握り続けている。暗闇の未来に引っ張られるような時代だからこそ、過去からの声にしっかり向き合い、未来を変えたい。中世と現代のハイブリッドな時間感覚で。

※週刊朝日  2020年4月3日号

このニュースに関するつぶやき

  • この人は女性がバイブを気軽に買える世の中にするという崇高な夢があるからね。まずはスーパーの野菜売場にキュウリやズッキーニの横に並べてみてはどうだろうか?
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  • パヨクにとっての過去の声は、思い出したくもないだろうね(笑)ゴールポスト動かしまくった履歴がわかるんで(笑)
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