『CDTV』は、新番組でどう個性を出していくのか ポイントは“ライブの深掘り”?

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2020年03月29日 12:21  リアルサウンド

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 とても楽しみなチャレンジと言えるだろう。


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 今月、TBS系列で新音楽番組『CDTVライブ!ライブ!』がスタートする。番組のコンセプトは、「アーティスト自身が作り上げるステージをまるごと生中継するライブ番組」。放送は毎週月曜夜10時から。30日の初回は、夜7時から4時間スペシャルの生放送となる。


 「チャレンジ」と表現したのは、ほかでもない。現在、プライムタイム(夜7時から11時)に放送されている週1のレギュラー音楽番組は、『ミュージックステーション』(テレビ朝日系)と『うたコン』(NHK総合)くらい。さらに近年は、この時間帯にレギュラー音楽番組が新しく始まることもほとんどなかった。いま、音楽番組は全般に苦戦気味だ。そのなかで新番組をスタートさせるのだから、やはり「チャレンジ」と言いたくなる。


 ただ一方で、夜11時以降の深夜帯には、『SONGS』(NHK総合)や『関ジャム 完全燃SHOW』(テレビ朝日系)など趣向を凝らし、定評のある音楽番組も多い。あらゆる世代を考慮する必要のあるプライムタイムに比べ、深夜帯のほうがターゲットを絞った個性的な番組づくりがしやすいということもあるだろう。


 今回の『CDTVライブ!ライブ!』も、番組タイトルからわかるように同じ深夜の老舗音楽番組『COUNT DOWN TV』(以下、『CDTV』と表記)から生まれた番組である。ただし、両者は対照的だ。本家の『CDTV』はランキングに特化した番組として1993年のスタート以来ずっと親しまれてきた。それに対し、新番組の『CDTVライブ!ライブ!』は、最初にふれたようにアーティストのライブステージを生中継する番組になる。


 ここで番組のポイントは2つあるだろう。


 ひとつは、生放送や生中継であることへのこだわり。


 元々テレビの音楽番組、特にプライムタイムの音楽番組はこれまで生放送が多かった。『ミュージックステーション』や『うたコン』もそうである。やはり生放送での歌、演奏、ダンスなどのパフォーマンスには独特の緊張感と熱気があり、それが画面越しにも伝わってくる。音源などでは味わえないその魅力は大きい。


 そこには、テレビというメディアの特性もある。生放送は、いま起こっている出来事をいっしょに目撃しているという興奮を視聴者に引き起こす。それは、テレビが持つ最大の武器だ。たとえば音楽番組でも、もし『NHK紅白歌合戦』が生放送でなかったとすれば、魅力は半減してしまうに違いない。


 そして『CDTVライブ!ライブ!』は、そこに一回限りのライブステージという「生」の要素をさらに加えることで、音楽番組における「生」の持つ魅力を最大限に引き出そうとしていると受け取れる。


 ただ、ライブパフォーマンスをフィーチャーした音楽番組は、これまでもなかったわけではない。そこで番組としてもうひとつのポイントが大切になる。それは、ライブの深掘りである。


 発表された内容によると、番組ではライブそのものはもちろん、そのための打ち合わせやリハーサルの様子など裏側にも密着するとのことだ。それによって、アーティストの素顔が見られるだけでなく、放送されるライブをより味わい深いものにする効果が期待できるだろう。楽曲や演奏だけでなく、ライブならではの演出の意図やその決定のプロセスまでがわかれば、そのアーティストのファンだけでなく広く音楽ファンにとっても興味深いものとなるに違いない。


 さらに発表では、SNSとの連動も積極的に図られるようだ。番組公式TwitterやInstagramの開設はいまや当たり前の時代になっているが、音楽番組という点を踏まえればYouTubeチャンネルがどう活用されるかも楽しみなところ。米津玄師などの存在を思い出すまでもなく、ネットから次々とヒット曲が生まれる時代が到来しているいま、テレビとネットの連動はこれからの音楽番組の成否を左右するものになるはずだ。


 また深夜の『CDTV』が『CDTVサタデー』として存続することの効果にも注目したい。本家のほうもそのまま続くことで、両番組の連携が可能になるからである。


 先ほども書いたように、本家の『CDTV』はランキングに特化した番組として独自のポジションを築いてきた。


 番組が始まった1993年のあたりは、新たな平成の音楽番組の潮流が見え始めた頃である。その担い手であった『HEY!HEY!HEY! MUSIC CHAMP』(1994年放送開始/フジテレビ系)はダウンタウンをMCに配し、ゲストアーティストとのフリートークの面白さを前面に出すことで人気を集めた。とんねるずの石橋貴明と中居正広をMCに迎えて1996年に始まった『うたばん』も同様である。


 だが『CDTV』は、いわばその真逆を行くことで個性を出した。MCはオリジナルのCGキャラクターが務め、独自集計に基づいた週間ランキングを順に発表していく。アーティストの歌やインタビューのコーナーなどもあったが、音楽情報番組に徹した点が新鮮だった。そのあたりは、かつて同様のランキング形式で『ザ・ベストテン』(1978年から1989年まで放送)を成功させ、音楽番組の歴史を変えた局ならではでもあっただろう。


 今回、2つの番組の連携についてその詳細はまだ明らかではない。だが本家の『CDTV』が培ってきたデータ力は、出演アーティストへの視聴者の理解度を深めるうえで役立つだろう。そしてそれによってライブステージの楽しみかたの幅も広がるはずだ。 近年、生放送の音楽番組は、ますます企画性重視の傾向を強めつつある。


 『ミュージックステーション』はまだ昭和だった1980年代に始まった音楽番組らしく出演歌手が自分の新曲を披露するスタイルを貫いてきたが、最近はそれだけでなくたとえば「夏うたランキング」や「中島みゆきトリビュート」のような企画ものがかなり目立つようになっている。また一夜限りのコラボ企画なども増えてきた。


 それらの企画が目指しているのは、そこでしか見られないスペシャル感、ひいてはライブ感を演出するためだろう。一方『CDTVライブ!ライブ!』は、そうした傾向を共有しつつも、よりシンプルにライブそのものに活路を見出そうとしているように思える。言い換えれば、直球勝負。どんな深掘りされたライブの魅力を私たちに見せてくれるのか、まずは初回4時間スペシャルに期待したい。


(太田省一)


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