新型コロナウィルス蔓延によるロックダウン その時動物園や水族館は……?

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2020年03月31日 05:31  リアルサウンド

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Polygonより

 世界中で蔓延している新型コロナウィルス感染を受けて、大型イベントや人が集まる施設が閉鎖されています。東京でも感染爆発の局面になったということで、不要不急の外出自粛が要請されました。経済的損失や今後の不安と闘っている人も多いでしょう。しかし、世の中には通勤や外出の自粛もままならない人たちがいます。その職業のひとつが、動物関係。生き物がそこにいる限り、動物園や水族館は彼らの世話をしなくてはいけません。果たしてどのような状況になっているのでしょうか? 


(参考:ハリソン・フォードも驚いた、CG+モーションキャプチャで動物に“命を吹き込む”『野性の呼び声』撮影秘話


・シカゴの水族館ではペンギンたちが我が物顔で……
 Polygonによると、シカゴにあるシェッド水族館では、来場者がいない館内をペンギンたちがお散歩中。動画に収められたイワトビペンギンのウェリントンとアニーとエドワードの愛らしい姿は、ロックダウンで沈んでいた人々の心を癒して一躍アイドルになりました。


 それにしてもなぜ、ペンギンが自由に歩き回っているのでしょうか?  Polygonが問い合わせたところによると、これは特別なイベントではなく、ペンギンエクササイズのルーチンのひとつで、これまでにも館内を散歩していたのだそうです。ペンギンと言っても個々の性格は違い、好奇心旺盛でいろんなところに顔を出す冒険家タイプもいれば、臆病でスタッフの側にいるような子もいるそうです。また、慣れているペンギンは、お散歩を始めたばかりのペンギンをサポートするなどといった様子もみられるのだとか。閉鎖中の今も、以前と変わらず水族館のスタッフに見守られながら、様々なエリアを散策しつつ他の動物たちに挨拶して回っているそうです。唯一の違いは、そこに来場者がいないということ。


 ちなみに、閉鎖中のシェッド水族館でエクササイズしているのは、ペンギンに限らないみたい。アシカたちは外でサッカーを楽しみ、オウムは屋外を飛び回っているのだとか。シェッド水族館の動物たちの様子は公式ツイッターで見ることができますよ。


・バーチャル動物園やズーキャンプも誕生
 アラバマ州のバーミングハムにあるBirmingham Zooでは、閉鎖期間中でも動物園に親しんでもらおうと、園の様子だけでなく、園の仕事を紹介するズーキャンプを平日に配信中。普段なら見ることのできない中の様子や苦労、動物たちと働くことの魅力を学ぶことができます。カリキュラムは4月3日まであり、全て見れば動物園博士になれるかもしれません。


・一方で危機的状況を訴える園も……
 動物たちの可愛い様子を配信する園がある側、来場者がいなくなって困窮している状況を切実に訴える園もあります。例えば、12wrdwによると、サウスカロライナ州のRiverbanks Zoo and Gardenは、一時的な動物園の閉鎖が原因で、非常勤職員を全員解雇せざるおえなくなりました。人件費を減らすことで、閉鎖期間中でも動物たちに最高水準のケアを提供しようとしているのです。人足が減ったことで、残っているスタッフは現在週に32時間の労働を強いられているといいます。週32時間と聞くと、5営業日と考えて1日6.5時間。労働時間的にはかなり少なく感じますが、来場者のガイドなどをしない純粋な動物の世話としての拘束時間なら多いと考えるべきなのでしょう。


 では、新型コロナウィルス対策で注目されているシンガポールでは…?


 シンガポールは、2002年から2003年にかけて大流行したSARSと、2009年の豚インフルエンザのパンデミックの教訓をいかし、世界の中でも一歩先いく新型コロナウィルス対応をしてることで注目されています。3月26日の時点で、全てのバーやナイトクラブ、映画館、カラオケ店といった娯楽施設の閉鎖が発表されましたが、「世界で最も環境の良い動物園」と言われ、各国の動物園関係者が視察や学びに訪れるというシンガポール動物園とナイトサファリ、リバーサファリはまだ開園しているようです(執筆時)。


 しかし、アニマルショーや飼育員との交流、公開餌やりやガイドツアー、トラムでのツアーや人気アトラクションのジャングル・ブレックファスト(動物たちと一緒に朝ごはん)といった、来場者と一定の距離を取りきれない様々なアトラクションが無期限で中止となっています。ロックダウンしている国や地域でも、人との接触がない屋外の散歩は認められている場合があるので、広い敷地で来場者も少なくなった園内は安全と考えられているのかもしれませんね。


 ここで取り上げたのは海外の動物園の、しかもごくほんの一部の話です。日本の施設からは中の様子があまり伝わってきませんが、おそらく私たちの想像を絶するような努力と工夫がなされていることでしょう。今、世界的に外出自粛が求められいて、気分が落ち込む人も増えてきています。そんな中でもバーチャルな動物園のツアーを通して、動物たちの様子を学んだり、応援したりしたいですね。


(中川真知子)


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