関ジャニ∞ 大倉忠義と高橋優、リスナーと育んできた確かな友情 『大倉くんと高橋くん』最終回を聞いて

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2020年04月01日 06:01  リアルサウンド

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 関ジャニ∞大倉忠義とシンガーソングライターの高橋優がパーソナリティを務めるラジオ『オールナイトニッポンサタデースペシャル 大倉くんと高橋くん』(ニッポン放送)が、3月28日放送をもって終了した。


(関連:関ジャニ∞ 大倉忠義と高橋優のラジオ終了が惜しまれる理由 二人の会話がリスナーに与えた“希望”


 「週末の反省会的番組」と謳い、様々な「やっちまった話」を笑い合いながら過ごしてきた同番組。達観するにはまだ早く、大人と言うにはまだまだ未熟と感じる、そんなちょっぴりこじらせた30代男子の2人と過ごした時間は、紛れもなく青春の日々だった。


 放送終了が発表された2月末から「残り何回……」と噛みしめるように、オンエアを聞いていたリスナーが多かったことだろう。卒業式が迫るほど何気ない教室や非常階段の風景が急に愛しくなるように、彼らの言う「中身のない会話」をこれからもずっと聞いていたいと願わずにはいられなかった。だが、時は無常にも過ぎていく。その刻々と過ぎゆく時間の中で、私たちを取り巻く環境も変化していった。


 新型コロナウイルスの影響で、ライブができない、学校に行けない、遊びに行けない……。ただでさえ、この番組が終わってしまうことに寂しさを抱いているときに、私たちの生活も気分が晴れない日々が続いている。なかには、卒業式という人生の大きな節目を諦めざるを得なかった学生リスナーも。そこで、2人は3月22日放送回で「深夜のラジオ卒業式」を実施。それは、この番組そのものの卒業式と重なって聞こえた。


「悲しいことかもしれないけれど、その時間っていうものはウソじゃなく、みんなの中にあったものだから。その想いを胸に……頑張る励みになってほしいな、その時間が」


 大倉が語ったメッセージは、もちろん学校の卒業という門出を迎えたリスナーにエールを贈るものだが、同時にこの番組を愛したすべてのリスナーの心にも響くものだった。


「青春だったなって時間は、続こうと思ってれば、ずっと続くもので。いろいろと社会に出たり会社に行ったりすると人間関係が変わったり、辛いことが増えると思いますが、失敗したときの心の支えになるっていうのは、今まで過ごしてきた楽しい時間。まあ、いろんな楽しいことが待ってますよ。人生捨てたもんじゃないなって思うこともたくさんあるし、っていう希望を持ってね。今はちょっと暗い時期かもしれないですけど、絶対波がありますから。また上がっていってね。楽しい時期もくると思うし。そういうときに喜べる人になってほしいな」


 そして迎えた最終回は、まるで卒業式のあとにまだまだダベり足りず、非常階段のようないつもの場所に残った2人のような雰囲気だった。名物リスナーにも「電話しちゃう?」と思いつきで連絡し、「今何してんの?」「来れたらよかったのに」「ジュース買ってきて(笑)」と、気さくなやりとりが繰り広げられる。そのあっけらかんとした感じが、「またいつでも会えるじゃん」という空気を作ってくれているようだった。


「友だちだと思ってるからね」


 高橋がそうリスナーに声をかけたときに、ハッとした。中身のない会話をずっと聞いていられるのも、真剣な話で熱くなるのも、同じようなことに苛立つのも、相手が傷ついていることに傷つくのも……この時間に青春を感じるのも、そこに確かな友情が芽生えていたからだ。


 アーティストとリスナーという関係性よりも、ずっと身近に感じられたのは、きっと大倉と高橋の間に本当の友だちになり、そのダベリ場所に私たちリスナーも仲間入りさせてもらえたからに違いない。ときには、そこに関ジャニ∞の安田章大や丸山隆平、東京スカパラダイスオーケストラの谷中敦も集まってくる。その証に、高橋の地元の友だちだって、もはや他人に思えないリスナーも多いはずだ。


 少々こじらせて、めんどくさい自分に共感し、受け入れ合い、笑って過ごしたこの居心地のいい場所を、私たちは卒業する。だが、大倉が言うように、この青春はきっと望めばずっと続けられるものなのだろう。そう信じさせてくれるようなオリジナルソングを、最後に高橋が作ってきてくれた。2人一緒に歌おうと思っていたのだが「僕も歌ってみた結果、難しすぎて歌えません」と、大倉がカホンで参加する無理のなさも、実にこの番組らしい。


〈辛くなったら思い出す 君との日々を思い出す/部屋でダベるだけの夜を 何度も何度も/次会ったら何を話そう? 君の顔思い浮かべよう/また2人で笑い合える 約束をしよう〉


 高橋の公式Twitterに載せられた歌詞を見れば、この5年間がいかにかけがえのない時間だったかが伝わってくる。番組公式Twitterで披露された、スタッフのオリジナルTシャツ姿も、まるで学園祭のようだ。


 そう、別れは、次にまた会える日を楽しみに待つ時間のはじまり。愛しい時間を思い浮かべ、またいつか会えることを願える人たちがいるという人生も幸せなことだ。だから〈さよならは言わない 何も終わらない/また会える日までの 旅立つ約束〉。


 『大倉くんと高橋くん』がくれた楽しい時間を胸に、それぞれの人生を。いつか再会できるはず。その日がより楽しい時間になるように、過ごしていこうではないか。(佐藤結衣)


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