角田陽一郎×行定勲(映画監督)「AD時代には仕事を抜け出して映画を見に行っていた」

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2020年04月01日 06:21  週プレNEWS

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写真映画の仕事をしたいと思ったきっかけを「小5のとき、熊本城であった『影武者』の撮影現場を見に行ったこと」と語る行定勲監督
映画の仕事をしたいと思ったきっかけを「小5のとき、熊本城であった『影武者』の撮影現場を見に行ったこと」と語る行定勲監督

『さんまのスーパーからくりTV』『中居正広の金曜日のスマたちへ』など、数多くの人気番組を手がけてきたバラエティプロデューサー角田陽一郎氏が聞き手となり、著名人の映画体験をひもとく『週刊プレイボーイ』の連載『角田陽一郎のMoving Movies〜その映画が人生を動かす〜』。

今回は4月17日(金)全国公開予定の『劇場』で監督を務める行定勲(ゆきさだ・いさお)さんが登場。好きな映画を語ります!

* * *

――いつから映画監督志望でした?

行定 監督になろうと思ったのは業界に入ってからですが、「映画の仕事がしたい」という意識は子供の頃からありました。きっかけは小5のとき、熊本城であった『影武者』(1980年)の撮影現場を見に行ったこと。

黒澤明監督の姿を見ることはできなかったんですが、今振り返ると逆にラッキーだったなと思います。見たのが甲冑(かっちゅう)をつけたエキストラやスタッフだったので、「あんなにたくさんいるし、俺もなれるだろう」とちょっとハードルが下がった。

――いい意味で気楽に考えられたと。学生時代に見た作品で印象に残っているものはなんでしょうか?

行定 成瀬巳喜男(みきお)監督の『浮雲』(55年)ですね。熊本の名画座で見たから、たぶん高校生の頃かな。

――ご覧になってどう思われた?

行定 男と女のどうしようもなさというか、それ故にこんな悲劇も起こるんだな、というか。当時はまだ子供だったので、「この人たち、明らかに愛し合ってるのに......」と、登場人物の気持ちはまったくわからなかったんですけど。でも、迫力のある映画というのはわかったし、あとは画が美しいなと感じました。

――業界に入ってから見て、感銘を受けた作品は?

行定 『恋恋風塵(れんれんふうじん)』(87年)はまさにその頃に見て、「映画ってすごいんだな」と思わせてくれた作品ですね。

当時、TBSの『東芝日曜劇場』(現『日曜劇場』)でフォースADをやってたんですけど、美術道具を受け取りに行く用事で撮影を抜けられる日があって、黙ってこの映画を見に行ったんです。

監督の侯孝賢(ホオ・シャオシエン)は台湾の巨匠でもともと尊敬していたんですが、あんまりにもよかったものだからもう1回見て。当然、戻るのが遅くなって、「なんでこんなに時間がかかってるんだ」と先輩から怒られて。

その場はなんとかごまかしたんですが、素晴らしさを誰かに伝えたくて美術の仲間に言ったら、結局、上の人にもバレましたね(笑)。

――この話、今の若いスタッフたちに向けて、「抜け出してもいいから好きな映画は見ろ」って書いておきましょう(笑)。それがのちの大監督を生むきっかけになるかもですし。

行定 でも、今はそういうやつがいないんです。放っておいても映画を見ていない。すぐに辞めちゃうし。

――それ、バラエティ業界も同じかも。その頃、ほかに見た作品は?

行定 『情事』(ミケランジェロ・アントニオーニ監督、60年)ですね。名画座で見たんですが、『浮雲』と似た感覚があったのを覚えています。主人公の男がどうしようもない浮気男なんですよ。

行方不明になった愛する女を、女の親友のコと一緒に探すお話なんですが、一緒に行動するうちに恋に落ちて、逃げようかという話になる。でも、そこで男が娼婦に目がくらんで一夜を共にしてしまい、それがバレてごめんなさいと謝る。簡単に言うとそんな映画で。

――ダメダメですね。

行定 ダメなんですけど、最後が衝撃で......。その親友のコが男の隣にやって来て、頭をなでるんです。そのラストショットに、「こんなダメな男でも許すんだ」「自分の気持ちを犠牲にして」って衝撃を受けたんですね。

★後編⇒角田陽一郎×行定勲(映画監督)「僕の恋愛映画は基本的にセックスを描いているけど...」

●行定勲(ゆきさだ・いさお)
1968年生まれ、熊本県出身。主な監督作は『GO』『世界の中心で、愛をさけぶ』『北の零年』『パレード』『ナラタージュ』など

■『劇場』4月17日(金)全国ロードショー公開予定
配給:松竹 アニプレックス

構成/テクモトテク 撮影/山上徳幸

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