手洗いに電子印…新型コロナの影響で注目のシヤチハタ、薄れるハンコ文化も「自己否定」で時流にフィット

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2020年04月02日 10:00  ORICON NEWS

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写真手洗い補助ツール『おててポン』(上)とシヤチハタの看板商品『ネーム9』
手洗い補助ツール『おててポン』(上)とシヤチハタの看板商品『ネーム9』
 シヤチハタといえば、誰もが一度は使ったことのある簡易なネーム印。それを販売するシヤチハタ株式会社が、新型コロナウイルスが蔓延する今、新たな注目を集めている。すでに話題の『手洗い練習スタンプ おててポン』のほか、現在無料開放されている電子印鑑サービスが、慣れない在宅勤務に戸惑う会社員の助けとして期待されるのだ。創業95周年、ハンコの老舗企業とは思えぬフットワークの軽さ、時流や消費者のニーズに合った商品開発は、いかにして成し得るのか? その秘訣を同社の担当者に聞いた。

【写真】痴漢問題で話題になった“スタンプ”も! 発想がすごい、面白便利なラインナップ

■手洗い補助する『おててポン』、「ここまでの反響は予想以上」

――新型コロナウイルスの感染拡大が続くなか、手にスタンプを押してそれが消えるまで手を洗う補助ツール『おててポン』が話題に。ユーザーからの反響はいかがですか?

 「しっかり手洗いができる」という声をたくさんいただきました。コロナの影響で、みなさんが手洗いの必要性をあらためてお感じになったこともあると思います。手洗いの一番の目的は感染症予防であり、特に冬場はインフルエンザや風邪予防のために、ある程度は需要があるだろうとは思っていました。でも、ここまでの反響は予想以上でしたね。

――2016年から販売されている『おててポン』ですが、開発のきっかけとは?

 スタンプの新しい使い方として、私たちは日頃からアイディアを持っていて、常に新しい企画を考えています。そんなとき、名古屋芸術大学との産学連携活動の中で、こうした“手洗い練習スタンプ”の使い方の提案があり、それをもとに開発したんです。私たちは、本来、“印を残す”商品で商売をさせていただいていますが、『おててポン』は一旦手に印をつけてそれを消すことで目的を達成するという、今までにない発想の商品だと思います。

■「印鑑をもらうために出社」がなくなる? 無料開放した電子印鑑サービスが在宅勤務の助けに

――コロナの影響といえば、今では多くの会社員が在宅勤務に。シヤチハタでは電子印鑑・決裁サービス『パソコン決裁Cloud』を提供しているそうですが、現在では在宅勤務の支援として無料開放しているとか(6月30日まで)。

 印章の仕事をしている我々としては、少しでも負荷を軽減するお手伝いをしたいと思い、無料開放に踏み切りました。他社さんでは決裁や会計など大規模なシステムがありますが、弊社のものはクラウド上で捺印することがメインのシンプルなものです。

――在宅勤務になった人々からは、「上司に印鑑をもらうためだけに出社しなければ」といった悲痛な声も聞こえてきます。

 今回は急に在宅になった方も多いため、会社自体のシステムを変えたり、準備したりすることが難しかったのではないでしょうか。その点、これは従来の書面の手続きを電子化しただけなので、元々の仕組みや流れを変えることなく、すぐに使っていただけます。ハンコを作っている会社が開発したものなので、書面上の“収まり”は非常に良いのではないかと思います(笑)。

――シヤチハタというとやはりハンコのイメージが強いため、『おててポン』や電子印鑑サービスは意外でした。とくに電子印鑑などは、既存の自社商品と食い合うことになってしまうのでは?

 昨今、日本のハンコ文化は徐々に薄れている傾向にありますが、それは20年以上前に予想がついていたこと。だからこそ、私たちもパソコンの画面上で決裁処理ができる電子印鑑・決裁サービスを開発したんです。ハンコの会社がこれをやると自己否定になるかもしれませんが、時流に合わせるためには必要なことです。

――自己否定ですか。

 実は昔から、自分のところの商品を否定して、新しい商品を開発することが多いんです。創業当時、スタンプは“スタンプ台”と“補充インキ”のセットで使うものでしたが、創業者が“インク補充をしなくても使えるスタンプ台”を発想して、商品開発に至りました。その頃からすでに、現状あるものにあまりこだわりがなかったのでしょうね。

 今みなさんに使っていただいている『ネーム9』(いわゆる定番のシヤチハタのネーム印)もそうです。それ以前は“ハンコ”と“朱肉”の2つが必要でしたが、それらを一つにした方が便利だと発想し、ゴムの中からインキが染み渡る仕組みを開発しました。

――自己否定となると、社内で反発が起こったりはしないのでしょうか?

 誰か一人で何かを決めるわけではなく、全部スタッフで合議して決めています。もちろん、反対や様々な意見がありますが、常に話し合いの機会は持つようにしています。

■「小回りが利くことが強み」、変化し続ける老舗企業

――そういった考え方が影響するのかもしれませんが、シヤチハタでは意外な商品が多いですよね。『おててポン』はもちろん、『マツコの知らない世界』(TBS系)で紹介されていた『おなまえスタンプ おむつポン』、昨年Twitterで話題になった痴漢問題から生まれた『迷惑行為防止スタンプ』なども(テスト版は完売)。このように、消費者のニーズに合った商品開発は、いかにして行われるのでしょうか。

 もともとはBtoBのビジネス向け商材が多かったのですが、少しずつ考え方も変わり、生活・育児関連の商品も増えました。商品企画担当者は、他部署にヒアリングをしたり、時代の流れを考えたりと、色々なところにアンテナを伸ばしています。商品企画、開発、営業など各部署の意見を吸い上げる会議も活発に行われていますね。またOpini(オピニ)シリーズという女性の働きやすさを演出する商品群に関しては、女性だけのチームもあります。このような体制は弊社に限ったことではないと思いますが、意見が言いにくい会社ではないと思います。

――なるほど。

 私どもは大きな会社ではないのですが、その代わりに小回りが利くというか、軽やかに動くことができるのが一つの強みではあるかなと。平素から、時代の流れに取り残されないように、なるべく時代にフィットしていくようにと言われています。もちろん、成功せずに埋没した商品もたくさんありますが、それはどこの会社さんも一緒ですよね。

――変わり続けるシヤチハタですが、今後の展開は?

 「便利 正しさ 安心 安全」というキーワードを企業理念として、世界に広げていきたいと考えています。私たちが持っている技術を使って新しい商品開発をしていくとともに、つねにお客さまの声に耳を傾けていきたいと思います。

このニュースに関するつぶやき

  • 手を洗う、と言う事に注目した面白い商品。子供に良いが、大人にも実は良い商品だ。と言うのは、公衆便所で、排便の後、手を洗わない大人は半数ぐらい居る、ので。
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  • これ、ハンドソープのプッシュする所に付けたら効果絶大だと思う。一々判子押してから手洗うの面倒くさい。
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