声優アワード受賞の花江夏樹 『鬼滅の刃』『ランウェイで笑って』にみる“主人公力”

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2020年04月03日 08:01  リアルサウンド

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花江夏樹

 今年で14回目の開催となる声優アワードにて、主演男性声優賞を獲得した花江夏樹。今やその声を聴かない時はないと言えるほどに、幅広い活動を見せている。同じく声優アワードでシナジー賞を獲得した大人気アニメ『鬼滅の刃』では主人公の竈門炭治郎を演じ、幅広い層のアニメファンから支持を集めた。声優を志してから10年目の快挙である。炭次郎と、受賞時に主演を務めていた『ランウェイで笑って』の都村育人の2人のキャラクターから、花江の人気の理由に迫る。


参考:『鬼滅の刃』原作大ヒットで熱狂的人気を獲得 売り上げを拡大させたTVアニメの威力


 竈門炭治郎は叫びの演技が特に印象的なキャラクターだ。家族と暮らす平和な日常を、突然現れた鬼によって壊され、妹・禰豆子も命こそ助かったものの、鬼と化してしまった。彼女を人間に戻すため、鬼殺隊と呼ばれる組織に所属している。慈悲深さと、目的のために曲がらない実直さを合わせ持つこの役は、花江の演技の幅広さを一役で楽しめると言っていいだろう。


 命がけの戦闘シーンでは、文字では表すことのできない叫び声や呼吸音といった音の表現が多用される。日常的なシーンでは温厚で柔らかな兄の面を見せる優しい声であるが、宿敵と出会った時は、怒りを滲ませた、迫力のある絶叫が際立つ。『Fate/Apocrypha』のジークや、『東京喰種トーキョーグール』の金木研といった戦いの日々の中で生きるキャラクターに共通して見られる特徴である。


 『鬼滅の刃』をはじめ、花江の代表作としてあげられる作品はファンタジー世界を舞台にしたものも多いが、同様に多くみられるのが、平和な学生生活を送る学生役だ。『ランウェイで笑って』の都村育人も、家族思いという特徴は炭次郎と共通している。母子家庭で育った育人は、母と妹たちの幸せのために自らの夢から身を引こうとしていた。そのため、序盤では控えめな性格であった。だが、様々な出会いと天性の才、そして努力により培ってきた実力で夢に向かい始めたとき、大きな変化を見せる。


 ヒロイン・千雪が本当に同一人物なのかと驚くほどに、激しい自己主張ができる青年へと成長するのだ。この作品で花江は、クラスに一人は居そうな等身大の高校生でありながら、ファッション業界で専門用語を使いこなしながら才能を開花させる少年という二面性のある役柄を丁寧に演じていた。『四月は君の嘘』の有馬公生や、『DAYS』の成神蹴児も、第一印象は大人しく見えるものの、内に情熱を秘めていた、花江のはまり役である。


 花江の活躍はアニメや映画に留まらない。小学生を対象としたテレビ東京系の人気情報番組『おはスタ』では、尊敬している山寺宏一の後を継ぎ、メインMCを務め、毎朝6時半から7時までの早い時間に、生放送でスタジオから元気な声と笑顔を届けている。さらに2019年から公式YouTubeも開設し、ゲーム実況動画を公開している。ゲストとして、花江と親しい声優らが出演することもあり、素顔で楽しむ様子を見ることもできる。最近発売されたNintendo Switch『あつまれ どうぶつの森』にも打ち込んでいるようだ。


 さらに愛猫家としても知られ、本人が更新するTwitterでは作品情報よりも猫の写真が多いことでも有名だ。プロフィールには「猫botです。(声優)」と書かれており、出演している作品の公式アカウントからブロックされてしまったというエピソードからも、親しみやすい人柄が伺える。


 4月からは、放送20周年を迎える『遊☆戯☆王』シリーズの最新作『遊☆戯☆王SEVENS』のガクトと、『月刊少年マガジン』(講談社)で連載されている『かくしごと』の十丸院五月といったメインキャストを務めることが発表されている。ガクトは自分がすべて正しいと信じている真面目な少年である。一方で、十丸院は漫画家である主人公・後藤可久士の担当編集者で、ゆとり世代であるがために後藤を翻弄する青年だ。対照的ともいえる2人のキャラクターから、新たな花江の魅力に出会うことができるだろう。


■誉田優
名作と聖地を求めて旅するフリーライター・コラムニスト兼記者。この世に生み出された作品の空気を味わうことが生きがい。


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  • アルドノア・ゼロでたしか初めて聞いて、興味を持ち始めたんだけど、超エ〇な話題をするらしいことを知って、某福山氏がラジオではじける時とも違う気がして、様子見中
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