田原総一朗×紗倉まな「高齢者も、もっと性とか性欲に正直になっていいの?」

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2020年04月04日 17:00  AERA dot.

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写真田原総一朗さん(左)と紗倉まなさん (撮影/写真部・片山菜匯辧
田原総一朗さん(左)と紗倉まなさん (撮影/写真部・片山菜匯辧
 年老いた時、性とどう向き合うか──。2月末に高齢者の性を描いた小説「春、死なん」を出した人気AV女優・紗倉まなさん(27)と、85歳となった今も多方面で精力的に活動するジャーナリスト・田原総一朗さんが、老人の性や恋愛などについて、たっぷりと語り合った。

【前編/田原総一朗×紗倉まな 高齢者の「恋愛」と「性」の複雑な事情】より続く

【田原さんと紗倉さんのツーショット写真はこちら】

*  *  *
田原:この小説のテーマとしてもう一つ、家族との関わり合いがありますよね。

紗倉:はい。性に対する意識だけではなく、性別による役割やおじいちゃんらしさみたいなものを押し付けることがはたして正しいのかどうかということも描きたかったテーマです。

田原:この小説では富雄の長男の賢治も大きな役割を果たしていますね。2人で暮らしたいと思っていた富雄夫婦に、長男はそれでは不便だろうからと、半ば強引に2世帯住宅にしましょうと。

紗倉:息子の賢治は両親を思って2世帯住宅を提案するわけですけど、それが両親にとって絶対幸せであろうという決めつけがすごく含まれているんです。老人というくくりで見て、一緒に暮らしたほうが幸せだというステレオタイプです。でも、それが孤独感を生み出すことになるんです。

田原:結果として、2世帯住宅にストレスを感じて、喜美代の命を縮めたとも言えるね。

紗倉:実は、私が小学校に上がる前くらいのころに、数年間ですが、祖母と2世帯住宅で住んでいたことがあります。

田原: 経験上の話なんだ。

紗倉:2世帯住宅なのに行き来がなかったんです。1階が祖母の家で、2階が私たち家族の家。でも誰も下の部屋に行かないし、どんなふうに生きているのかも本当に知っているのかな、というか。その距離感があまりにも冷たく感じられて。そこに対して誰も疑問を持たず、祖母の話もせず、一緒に住む意味って何なんだろうなって小さい時から思っていて。

田原:小さい時から2世帯住宅には問題ありだと思っていたわけね。

紗倉:思っていました。いいイメージは元々なかったんです。それが幸せだとも思っていなかったし。私は喜美代に対して祖母を投影させたつもりです。こういった思いがあったんじゃないか、というのは小説の中で昇華できたかなという気持ちでいます。勝手に相手の幸せの形を決めつけてしまうのはすごく残酷なことだと、そういう象徴として賢治を描きました。

田原:喜美代が亡くなって、富雄は生きがいや生きている意味がまったく見つけられなくなる。そのうえ、孫の静香には部屋にころがっているアダルト雑誌を見つけられて、「ありえないでしょ、これ。じじいのくせに」と軽蔑されるシーンもある。重なる苦しみから、富雄は自殺するしかないんじゃないかと思った。富雄を死へ追い込みたいんじゃないかって。

紗倉:富雄は清く正しいおじいちゃんとしていたかったけど、一番見られたくないものを見られてしまった。孫から薄気味悪いものを見るような視線を送られて、おじいちゃんなのにおじいちゃんらしくないことをしていると思われることはすごくつらいと思います。

田原:そういうおじいちゃんにとって一番つらいシーンをなんでわざわざ書いたんだろう。

紗倉:静香は、いわゆる世間の目を代表している人物なんです。静香のように世間に言われた時、言われた側はもちろんあらがいたい。そのやりとりは絶対に描きたかったんです。

田原:富雄は静香とけんかになるね。

紗倉:そこで、ようやく自分の思いも放出できて、醜い姿も見せた。清く正しいおじいちゃん像ではない、本当の自分の姿を見せられたんです。すべてをさらけ出した家族なら、2世帯住宅という隔たりもなくして、一緒に生きていけるはずだと思ったんです。前向きな最後にしたいなと思っていたから、富雄を殺したくはなかった(笑)。

田原:高齢者も、もっと性とか性欲に正直になっていいのかね。

紗倉:そうですね。性別とか年齢によって制限されること自体、フェアじゃないと思っています。若い人はよくて年を取っている人はダメとか、そういう根本的な疑問は昔から感じていました。年齢でくくるべきではなくて、誰しも欲はあるし、その欲の形や大きさは変わっても残っていく。その事実をどうしても肯定的に受け止めたかったんです。

田原:僕は好きな女性には、裏切られてもいい、殺されてもいいと思う。この考え方は20代のころからずっと同じ。年齢は関係ない。セックスの有無という肉体的な部分は変わるかもしれないけど、恋愛ってそういうものだと思う。

紗倉:私、AV撮影で「平均年齢70.3歳のおじいちゃんとの性交」みたいな作品に出たことがあったんです。年齢的にそんなに情熱的じゃないだろうというイメージを持っていたら、みなさんすごくアグレッシブで。何か誤解していたなという発見がありました。年齢のことを後ろめたく思う必要はないという姿勢だったので、私もすごく楽しかった。そういう経験も含めて、この小説を書いていたというのもあります。

田原:シルバーセックスの社会問題として重要なのは、いくら男性がアグレッシブでも、女性が60代を過ぎるとセックスが嫌になることが多いこと。男性は70代になってもしたいからね。

紗倉:女性は体の変化の段階が多いので、自分の体の変化を察知して、ということもあるかもしれませんね。でも、私は今のところ「性欲おばけ」なので、年を取ってもたぶんしたいと思っているなと思います(笑)。

(構成/本誌・秦正理)

※週刊朝日  2020年4月10日号より抜粋

このニュースに関するつぶやき

  • ボケジジイの理性が外れて、性欲などの本能が丸出しになっているのしか記事から読み取れない。 不倫漫画大好きの弘兼憲史と対談した方が良かったのでは?
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  • 田舎のラブホテルは昼間から高齢者カップルが出入りしますからね。
    • イイネ!21
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