BIGBANGの“バランサー”D-LITE、献身的なムードメーカーとしての役割 ソロ活動ではソウルフルな歌声と誠実な姿も

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2020年04月05日 10:01  リアルサウンド

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D-LITE (from BIGBANG)『でぃらいと 2』

 アンセルフィッシュ――。


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 BIGBANGのD-LITEを思うと、そんな言葉が浮かんでくる。「喜ばせる」という意味を持つ「Delight」にかけた“D-LITE”の名前通り、多くの人を楽しませようとする彼の姿に、私たちはいつも癒やされる。


 D-LITEのトレードマークといえば、あのクシャッとしたハニカミ顔。バラエティ番組ではちょっとビビりな姿を披露して、笑いを誘うことも多々ある彼だが、トークシーンを見ていると、その場の存在感に比べて言葉数は決して多いほうではないことに気づく。話す相手の目をじっと見つめて、耳を傾け、頷き、理解を深める姿が見て取れる。


 自己主張の強い人こそ、スターとして生き残っていけるように思われる世界だが、D-LITEという人は、まったくそんな要素を感じない。むしろ、その逆で、彼はメンバーに対しても献身的なイメージがあり、ライブのMCでそれぞれの印象について語ったことも。かつては、マイペースなT.O.Pの「お世話役」を自称していたこともあった。みんなで「肉を食べに行こう」となったにも関わらず、「寿司が食べたい」と単独行動に出てしまうようなT.O.Pを、「子どもの心を持っている。“あ〜赤ちゃん! チヤホヤしたい〜“みたいな」とポジティブな言葉で語る姿も実にD-LITEらしい。


 リーダーのG-DRAGONに対しては、その能力を発揮しやすいように、仕事の場では「ある程度の緊張感が必要」と敬語を使い続けてきた。だが、遊びのときには「普通の友だちみたいな笑顔」を見てホッとするとも。また、SOLのブレないスタイルに「T.O.Pと似てます」とニッコリしながら、「自分の中での悩みとか、答えがいっぱいある。中身が強いし、動かない」と、またもや魅力的に語るのだった。


 ムードメーカーといえば、自ら率先して場を仕切ったり、話題を振りまくイメージがあるが、D-LITEの場合は、その場の人間関係に影が生まれないよう、周囲を見渡し、温かい眼差しでライトアップさせるタイプのムードメーカーと言えそうだ。かつてインタビューでD-LITEは、BIGBANGについてこう語っていた。


「パズルって全部形が違うけど、完成するとひとつの絵になるじゃないですか。そこがBIGBANGの魅力だと思います」(参照:【インタビュー】D-LITE(from BIGBANG)自信を込めて放つカッコいい演歌アルバム 歌って踊ってスターを目指せ!)


 バラバラな個性だからこそ、一つになったときに美しい絵になることを知っている。そのひとつ先の視点が、彼の献身的な言動に繋がっているのだろう。


■変わらぬポリシーが作り出すソウルフルな歌声
 D-LITEは、2013年2月にアルバム『D’scover』で日本ソロデビューを果たす。グループの中でバランスを取るポジションだった彼にとっては、勇気のいる一歩だったと語られているが、ソロになることで、彼の才能が多くの人に見つかるきっかけにもなった(参考:【インタビュー】 D-LITE(from BIGBANG)、ソロとして新たな一歩「僕の音楽を聴いて力をもらってくれたら」。T.O.Pも応援)。


 スキマスイッチの「全力少年」、MISIAの「逢いたくていま」、斉藤和義の「歌うたいのバラッド」など、J-POPをカバーした『D’scover』。常にポジティブな姿勢と、相手へのリスペクトを常に持つD-LITEだけに、その楽曲たちはオリジナルの良さとは、またひと味違った良作へと昇華されていた。


 また印象的だったのは、MUSIC ON! TVの特番にて制作に携わったプロデューサー陣から「ちゃんと考えて、ちゃんと練習して、その結果、あの歌が生まれてきてる」(亀田誠治)、「自分が痛みを感じることで、高い表現にたどり着けるなら、喜んでボロボロになりますよっていうところがある」(松尾潔)と、歌に対する自己犠牲をもいとわない誠実な姿勢に絶賛の声が上がったことだ。


 以降も、和田アキ子の「古い日記」や山本リンダの「どうにもとまらない」、鈴木雅之の「違う、そうじゃない」など往年の名曲を次々とカバーしていった。日本人なら多くの人が耳にしたことのある楽曲ばかり。ともすれば、「ちょっと違う」と聴かず嫌いされてしまいそうなところだが、D-LITEの歌声はオリジナルに負けないソウルフルな歌声で、リスナーを惹きつける。一度聴いたら、“この歌声はどこまで伸びていくのか“と聴き届けずにはいられない。


 そんな歌声をどのようにD-LITEは作り出しているのか。先のインタビューでは「実は歌の練習って、歌うことだけではないんですよ。歌を聴いてイメージを考えることがもっとも重要で」と、たくさん聴いて考えることが大事なんだと続けていた。


 ここでも、彼がとことんインプットを大切にしていることがわかる。まずは、愛を持って情報を吸収するということ。そして、その情報を踏まえて、自分自身が何をどう体現していくのか。それは人間関係にしても、そして音楽にしても変わらない。彼がどんなテイストの楽曲も歌いこなせるのは、高い歌唱力という才能に輪をかけた愛情深さがあってこそなのだ。きっとこれからもD-LITEは、メンバーを、ファンを、そして音楽を愛するすべての人を、楽しませるエンターテインメントを届けて続けてくれるはずだ。あの優しい笑顔と共に。(佐藤結衣)


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