浦沢直樹「アベノマスク」イラストは“風刺画”なのか? その出来栄えをマンガ編集者がダメ出し!

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2020年04月06日 17:52  日刊サイゾー

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写真「ZAITEN」2月号
「ZAITEN」2月号

『20世紀少年』や『YAWARA!』などの人気作で知られるマンガ家の浦沢直樹が、ツイッターに投稿したイラストが物議を醸している。政府が4月1日に発表した「国内の全世帯に布マスク2枚を配布する」という方針について、「アベノミクス」をもじった「アベノマスク」という揶揄が飛び交い始めた矢先、浦沢氏は安倍晋三らしき人物が布マスクを着用したどこかマヌケなイラストを「アベノマスク」と記し公開。

 ところが、これに対して「ファンだったのに、悲しい」「茶化している場合か」「マンガ家失格」といったコメントが溢れ、「浦沢氏が炎上している」と伝えるネットニュースも散見された。すると今度は、「あれは風刺画」「マンガ家が政治を風刺するのは悪いことじゃない」といった反論意見がSNS上に目立ち始め、「#漫画家アベノマスク」「#マンガ家アベノマスク」というハッシュタグをつけてイラストの投稿をする人々が現れ始めたのだ。

 はたして浦沢氏のイラストは「政治家を茶化しただけ」なのか? それとも「風刺画」なのか? そこで今回は、マンガ編集者でもあるコラムニスト・更科修一郎氏に「アベノマスク」イラストの出来栄えを評論してもらった。まず更科氏はマンガと風刺画のかかわりについてこう前置きする。

「現代ではマンガと言えばストーリーマンガですが、もともと、マンガには一コマで社会や人物をカリカチュアし、寸鉄人を刺しつつも笑いを誘う『風刺画』という役割があります。日本初の職業マンガ家で近代漫画の祖である北澤楽天も政治風俗風刺の専門家でした。なので、風刺画だからダメだ、反体制だからダメだ、ということはないのです」

 その上で、浦沢氏の「風刺画」について「さほど出来がいいとは思えない」と続ける。

「むしろ、浦沢氏の件のイラストが風刺としてはシンプルすぎて、重層的な笑いの仕掛けがなく、思いつきで描いた“らくがき”でしかなかったことが、近年、『手塚治虫の後継者』を自認している氏の言動や行動と釣り合わず、上から目線で『ただ茶化しているだけ』に見えてしまったのではないでしょうか。

 実際、見た印象としては『どんなジャンルでも描けた手塚と同じく、自分は風刺画も描けるんだぞ』という自己主張が先に立っているというか、プロのマンガ家が世に問う風刺画として考えるとそれほど出来は良くないのですよね。

 たとえば、昔、『ビッグコミックスピリッツ』(小学館)誌上で浦沢氏と人気を争っていた澤井健氏が風刺画専門に転じて素晴らしい仕事をされていますが、片手間の批評精神で描いてもそれに匹敵するものにはならないですよ」

 時勢をうまく切り取り、面白おかしく描くーー「風刺画」を描くためには、ストーリーマンガとはまた別のスキルが必要とあって、稀代のヒットメーカーとて生半可な気持ちで描いてしまうと意図は伝わりきらないということだろうか。

 さらに、そんな浦沢氏も実は3月1日発売の「ZAITEN」(財界展望新社)4月号で、澤井健氏が描いた「『ゲス不倫』オーシャンズ11」という風刺画の中でジョージ・クルーニー役の渡辺謙を中心に、東出昌大、ビートたけし、小泉進次郎らに混じって不倫有名人の一人として似顔絵が描かれている。そういえば、2016年に「週刊女性」(主婦と生活社)で浦沢氏と女性編集者のラブホW不倫が報じられていたが、澤井氏はその女性編集者がデスクを務めていた老舗大手週刊誌で現在も連載中だ。澤井氏は同誌2月号でも「桜を見る会」にかけて安倍首相をバカ殿様、昭恵夫人をナオコ姫に模して内閣のドタバタを風刺した表紙イラストを描くなど、攻めた表現に定評があるが、忖度しない痛烈な批評性と重層的な笑いの仕掛けこそが「風刺画」の面白さなのかもしれない。

 賛否はあれど、浦沢氏の投稿がきっかけで注目が集まった「風刺画」という表現方法。触発された人々による、「#漫画家アベノマスク」「#マンガ家アベノマスク」作品はどこまで広がりを見せるだろうか。その結果、浦沢氏や澤井氏をも唸らせる風刺画が現れるのなら、今回の炎上も災い転じて福となす……『手塚治虫の後継者』に相応しいエピソードと笑えることだろう。

このニュースに関するつぶやき

  • 素晴らしい風刺画です。
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  • バカにしていると思います。不快ですね。
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