『あな番』俳優、今年も大活躍! 田中圭、横浜流星らの激動の半年を振り返る

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2020年04月07日 07:11  リアルサウンド

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『あなたの番です』(c)日本テレビ

 ひとつのマンションの中で繰り広げられる“交換殺人ゲーム”とどんでん返しの連続で社会現象を巻き起こし、毎週考察合戦が盛んになり、ひいては「新語・流行語大賞」にもノミネートされた日本テレビ系列のドラマ『あなたの番です』(以下、『あな番』)。4月から9月までの2クールにわたって放送されたことも相まってか、本作をきっかけに大ブレイクした出演者や、その名が知られることになった出演者は数えきれない。本稿では、そんな“あな番俳優”たちの放送終了後から半年間、そして今後についてまとめていきたい。


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 まずはダブル主演の一角として、第1章では甘えたがりな年下夫、第2章では殺された妻の復讐に燃える男・手塚翔太役を演じ切った田中圭。本作がキャリア20年目にして民放のプライムタイム連ドラ初主演となった彼は、すでにその1年ほど前に放送された『おっさんずラブ』(テレビ朝日系)以降引っ張りだこの状態であったが、『あな番』によってさらに拍車がかかる。放送期間中の夏に公開された『おっさんずラブ』の劇場版からその2期、1月には『あな番』でバディを組んだ横浜流星の父親役として『シロでもクロでもない世界で、パンダは笑う。』(読売テレビ・日本テレビ系)(以下『シロクロ』)に出演。さらに1月に主演映画『mellow』が公開され、6月にも『ヒノマルソウル 〜舞台裏の英雄たち〜』の公開が控えている。


 そんな中でこの4月からは、テレビ東京系で放送される『らせんの迷宮〜DNA科学捜査〜』で主演を務め、またフジテレビの木曜劇場『アンサング・シンデレラ 病院薬剤師の処方箋』にも出演。後者では『あな番』の黒幕だった黒島沙和役を演じた西野七瀬、そして『あな番』でのインパクトたっぷりの演技でバラエティ番組でも見るようになったシンイー役の金澤美穂と再共演。翔太と黒島、シンイーの3人が同じ画面に集合するとなれば、作品の内容以上にそちらが気になってしまうのも仕方あるまい。


 そして前述の『シロクロ』で再び日本テレビ系列日曜ドラマ枠に、ダブル主演の一角として帰ってきた横浜の場合は、『あな番』だけでなく2019年の1年間自体が完璧すぎるほどの飛躍の年であったといえよう。1月には深田恭子と共演した『初めて恋をした日に読む話』(TBS系)で注目され、その後『あな番』に後半から参戦。10月期には『4分間のマリーゴールド』(TBS系)に出演し、また1年間で3本の主演作を含む4本の映画が公開。芸歴20年で遅咲きのブレイクとなった田中ほどではないにしろ、芸能界入りから10年で着実に積み上げてきたものが2019年に一気に開花したといえよう。


 そんな横浜は、7月から日本テレビ系列の「水曜ドラマ」枠で放送される『私たちはどうかしている』で浜辺美波とダブル主演を務めることがすでに決定している。安藤なつみの同名コミックを原作にした同作は、15年前に起きた殺人事件の容疑者の娘と被害者の息子が再会を果たすラブミステリーであり、横浜は老舗和菓子屋の跡取り息子を演じる。プロデューサーチームは『あな番』と同じで、しかも演出には『あな番』で横浜が演じた二階堂の見せ場をいくつも演出した小室直子の名前が。こちらも『あな番』ファンにはたまらない作品となるに違いない。


 他にも、201号室の妹尾あいり役でイメージを一新するギャルメイクを披露した大友花恋は10月期に放送された深夜ドラマ『新米姉妹のふたりごはん』(テレビ東京)でダブル主演。クールな感じでの登場から一転して、料理について語り出したときのキラキラした表情の変化は実に魅力的であった。また同じく201号室の柿沼遼役を演じた中尾暢樹は、映画『殺さない彼と死なない彼女』での演技が印象強く、『シロクロ』にもゲスト出演。401号室の木下あかね役だった山田真歩は10月期の月9『シャーロック』(フジテレビ系)で佐々木蔵之介の右腕として好演を見せた。


 さらに前述の金澤も出演していた日本テレビ系列の「シンドラ」枠『やめるときも、すこやかなるときも』でヒロインを演じていたのは、『あな番』でのサイコパス的キャラクター尾野幹葉役で日本中を震え上がらせた奈緒。同作では出世作となった『半分、青い。』(NHK系)と同様の従来のイメージを取り戻したとはいえ、やはり尾野役のイメージが根強く残ってしまっていることは否めない。今年2月に公開された『スマホを落としただけなのに 囚われの殺人鬼』で(田中圭との共演シーンがなかったのが残念ではあるが)、彼女がヒロインの友人役として登場した瞬間に、ざわざわした気持ちになった観客も少なくないのではなかろうか。


 こうして並べて見てみると、特撮ヒーロー出身・子役出身・朝ドラ経験者・モデル経験者といった、近年のブレイク俳優の傾向にありながらも、なかなかそのタイミングに恵まれなかった俳優たちがこぞって『あな番』を契機に飛躍したことがわかる。たしかに今振り返ってみれば、放送前にはキャスティングを見てもなんだか地味なドラマになりそうな印象で、本当に半年持つのかと疑問に思った人も少なくないだろう。しかし、それから1年が経ったいま、“地味”だった出演キャストの多くが『あな番』という大きな看板を獲得し、一躍人気俳優の仲間入りを果たしたことは言うまでもない。それはもちろん、生瀬勝久や田中要次といった優れたベテランバイプレイヤーたちにとっても同様である。


 ここまでで名前を挙げた“住人”たち以外にも、『ウルトラマンR/B(ルーブ)』(テレビ東京系)を経て『あな番』に出演し、ミステリアスな印象を守り続けた小池亮介や、すでに子役時代から美少年として注目されてきた荒木飛羽。また刑事の神谷役で印象的な(クライマックスでの死に様もしかり)演技を見せた浅香航大、管理人の蓬田を演じた前原滉も、その顔と名前が知れ渡ったことで次なるブレイクを狙える逸材といえるだろう。そしてもちろん、内山役の大内田悠平もバイプレイヤーとして重宝されそうな雰囲気がただよっている。“あな番俳優”たちの活躍は、まだまだ続いていくことだろう。 (文=久保田和馬)


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