『BG』木村拓哉、『ハケンの品格』篠原涼子ら、シリーズもので発揮する“主演俳優”としての進化

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2020年04月08日 06:01  リアルサウンド

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写真『ハケンの品格』(c)日本テレビ
『ハケンの品格』(c)日本テレビ

 新型コロナウイルス感染防止措置のため、撮影に影響のある4月期ドラマはのきなみ延期である。4月期は東京オリンピック前(これも延期)ということもあってか、いつも以上に力の入ったドラマが多く、主演俳優も大物ぞろいだっただけに落胆もひとしお。制作にかかわったキャスト、スタッフのことを思うと胸が痛む。


参考:2020年4月期ドラマ、なぜ続編モノが多い? 『半沢直樹』『ハケンの品格』に膨らむ期待


 織田裕二主演の『SUITS/スーツ2』(フジテレビ系)は4月13日から初回放送予定であるが、木村拓哉主演の『BG〜身辺警護人〜』(テレビ朝日系)が4月16日に予定していた初回を放送延期、篠原涼子の『ハケンの品格』(日本テレビ系)も公式サイトで「近日放送」と、堺雅人主演の日曜劇場『半沢直樹』(TBS系)も「Coming Soon」となっている。そのほかのドラマもほとんど延期が発表されている。延期という空白の時間、どうしたらいいか。前述した4作はすべて続編で、旧作が存在する。新作を観ることができない分、前作を観て気分を紛らわせることも可能なのである(延期はしないが『SUITS』も続編ものである)。大物俳優主演作はこの4月、のきなみ続編だったのだ。さらにそこに興味深い符号が見られる。


 『BG』と『SUITS』は2大スター木村拓哉と織田裕二がこれまでトップランナーとして走り続けてきたなかで、新たな挑戦作として出演した作品であること。続編もできるということで今後もシリーズ化し、新たなターンを作り出す期待がかかっていることである。


 一回、大ヒット作が生まれると、NEXTを生み出すのはなかなか難しい。木村拓哉は『ロングバケーション』(フジテレビ系)や『Beautiful Life 〜ふたりでいた日々〜』(TBS系)など大ヒットラブストーリーに主演してきたが、それはワンクールで完結するドラマだった。2001年、型破りの検事が活躍するドラマ『HERO』(フジテレビ系)に出演、それは続編や劇場版も生まれた。木村が演じた久利生検事に何度も出会えたのだ。久利生はぶっきらぼうだが熱い性格も愛されつつ、茶色い革のダウンジャケットをトレードマークに、通販番組が好きで毎回何か買い物しているというキャラクターがしっかり作り込まれていた。明瞭なキャラづけはシリーズ化できるドラマの特性である。


 1997年からはじまった織田裕二の『踊る大捜査線』シリーズもまさにそれ。正義感溢れる民間出身の刑事・青島は履歴書が書けるほど設定が徹底的に作られ、モッズコートやミリタリーウォッチなど、衣裳や小道具がアイコンになった。織田裕二は青島というキャラクターと自身のイメージを重ねて見られることで圧倒的な人気を獲得し、それは渥美清における『男はつらいよ』の寅さんのようなものだった。それゆえ、『踊る』シリーズ完結の後はしばらく、新たな当たり役への試行錯誤が繰り返されたなか、『SUITS』でついにジャストフィットする役に出会ったのではないかという気がする。仕立てのいいスーツや職人の手による高級時計を身に着けたスタイリッシュさは、青島刑事のアップデートという印象もあるが、ベテラン弁護士が衣服の趣味のみならず仕事に対する確たる信条を若き弁護士(中島裕翔)に伝授していくという大人の役は見応えがある。『IQ246〜華麗なる事件簿〜』(TBS系)の探偵も良かったのでこちらも続編をやってほしいのだが。


 木村拓哉もまた『BG』で大人の役を得た。もともと一匹狼的な役が多かった彼が組織のリーダーとなることが新鮮かつ、元来、木村のもつ、自ら果敢に先に進みつつ、仲間たちもさりげなく輝かせるという特性が、上に立つ人間になることでドラマを一層面白く見せている。“キャラ”を衣裳や小道具や設定で作り込まずとも、役の人間的魅力でドラマを牽引することに成功した。


 『SUITS』も『BG』も言ってみれば『相棒』(テレビ朝日系)スタイルというか、主人公が固定で、コンビやチームを組む相手が選りすぐりであれば、いつまでも続けていけそうなところである。それはもちろん、主役の求心力が圧倒的だからこそ成立する。


 堺雅人の『半沢直樹』、篠原涼子の『ハケンの品格』は堺と篠原が当たり役を得た作品である。堺は7年前、「倍返しだ!」という名セリフで一躍人気者に。篠原演じる一匹狼のスーパー派遣社員は、米倉涼子主演『ドクターX〜外科医・大門未知子〜』(テレビ朝日系)の前進のようなもの(脚本家が同じ中園ミホ)。堺の場合は、『半沢直樹』の1年前に『リーガル・ハイ』(フジテレビ系)でもキャラの立った役を演じていて、『リーガル・ハイ』と『半沢直樹』を合わせて、「堺雅人”のパワフルな演技が凄い!」という見方をされていた。『リーガル・ハイ』はパート2もあったが、『半沢直樹』は熱望されながら7年も続編ができなかった。12〜13年頃に『リーガル・ハイ』と『半沢直樹』で起きた堺バブルで一気に消費されてしまうことで距離をとったのではないだろうか。


 2016年にNHK大河ドラマ『真田丸』で主演を務め、また少し時間を置いての『半沢直樹』続編。第1シリーズの最終回で出向を命じられて、さて……となり、今年1月に放送されたスピンオフ『半沢直樹 スピンオフ企画 狙われた半沢直樹のパスワード』(TBS系)では、吉沢亮演じる若者たちの奮闘を見守っている存在であることが判明した。7年前と変わらないキャラで攻めたら攻めたで7年経っても熱量をキープしていると感動するし、変化があったらあったで興味深いし、どちらになるか気になるところである。


 『ハケンの品格』の篠原涼子は、13年前、この役をやって、日本全国の働く女性の莫大な支持を得た。篠原は1990年代にアイドルとしてデビューし、バラエティーや歌でも活躍していたが、2000年代になると俳優に比重を起き始め、舞台で共演した市村正親と結婚して、イメージ刷新。2006年『アンフェア』(フジテレビ系)でのクールな刑事、2007年『ハケンの品格』と続いて、女性ファンを増やした。篠原涼子はプライベートと演じる役を重ねてきていて、10年代は母親役が増えていたが、『ハケンの品格』の続編では、伝説の派遣社員が再び戻ってくるという、13年の時がリアルに経過した設定らしい。今度は篠原涼子と役がどのように化学反応を起こすだろうか。


 以上、木村拓哉、織田裕二、堺雅人、篠原涼子とシリーズものの当たり役が活躍するドラマ。前作や、かつての当たり役作品などを改めて観て、彼らのポテンシャルやさらなる進化などを感じながら、続編開始を待ちたい。(木俣冬)


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