「緊急事態宣言」でも困窮家庭の子どもの食を守れ 広がる善意の輪

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2020年04月08日 08:00  AERA dot.

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写真愛知県豊明市で企画された「走る子ども食堂」のキッチンカー=3月16日/(c)朝日新聞社
愛知県豊明市で企画された「走る子ども食堂」のキッチンカー=3月16日/(c)朝日新聞社
「緊急事態宣言」がついに出されるなど新型コロナウイルスの長期化が、困窮家庭の子どもの食事を脅かしている。臨時休校を延長する自治体が増えたが、中止になった「こども食堂」もあり、切実な問題になっている。そんな中、弁当の配布や食材提供、そして食事の無料提供で支援する活動も広がっている。

 東京都文京区では3月中旬、生活困窮家庭に無料で食料を配達する「子ども宅食プロジェクト(以下、こども宅食)」に登録している約600世帯に「臨時便」を出した。

「このプロジェクトは、児童扶養手当または就学援助を受けている家庭を対象に3年前にスタートしました。『経済的な苦境を他人に知られたくない』『諸事情で子ども食堂にいけない』。そんなご家庭にも直接支援するのが目的です」

 こう話すのは、同プロジェクトの広報担当でNPO法人フローレンスの新海舞さん。従来は偶数月に米を5キロと、乾麺や調味料、レトルト食品など保存食品をセットにして宅配していた。

「ところが臨時休校で、3月はいつもの月以上に食材が必要だろうと思い、それで急きょ、手配したわけです」(新海さん)

「こども宅食」は同区など7団体が共同事業体を組んで運営しており、配送はメンバーであるセイノーホールディングスの関連会社ココネットが担当している。

「原資は文京区が募っているふるさと納税を活用しており、本年度は目標額6千万円に対し、約8370万(2月末現在)が寄せられました」(新海さん)

 4月以降も、小中学校の授業開始状況に合わせて随時支援を行っていく他、「こども宅食」をベースにした食材配布プロジェクトが佐賀県、長崎県、宮崎県、京都府でも一般社団法人「こども宅食応援団」によって進められている。

 ラーメン店が運営するこども食堂の先駆けと言われる、東京都千代田区にある「麺屋のろし」。

 同店は、2017年9月から始めた「小学6年までは、いつでも子ども用メニューが全品無料」に加え、3月からは持ち帰り子ども用チャーハンの無料サービスを始めた。

「元々、共働きの家庭やシングルマザー・ファーザーをサポートし、孤食になりがちな子どもが友達と会話を楽しみながら食事ができる場を、と前代表が発案したのがきっかけでした。これまで約8千食を提供してきましたが、今回の臨時休校措置によって、給食で栄養補給していた子どもらの昼食に不安が出てきたこと、昼食費が家計を圧迫することを踏まえて、チャーハンの無料提供を始めました」(河尻崇伸店長)

 同店では感染予防には細心の注意を払って営業しているといい、3月末までの予定だった子ども用チャーハンの提供は、子ども用チャーシュー丼として4月10日まで延長。従来の「なんでも無料」は継続する。

 平日限定だが、前日までに予約すれば日替わり弁当を無料で入手できるのは、神奈川県横須賀市のこども食堂「よこすかなかながや」(和田信一代表)だ。

「従来は朝食を週5回、夕食を週3回提供していたのですが、朝食をやめてランチの弁当配布に切り替えたのです。3月5日から始めたところ、毎日60〜70食のオーダーがあるんですよ。食堂のそばにある市のコミュニティーセンターの調理室で調理ボランティアが作り、取りにきてもらっています」

 栄養士がメニューを考え、衛生管理も指導。総菜は「小学校低学年の子どもが喜ぶようなもの」(和田代表)がメインで、唐揚げ、卵焼き、ハンバーグなどが日替わりで並ぶ。

「食材は、フードバンク4団体、農家2軒の寄付をベースに、農林水産省が企画した、学校給食用に納入予定だった食品の有効活用を利用させてもらっています」(同)

 5月1日まで弁当の配布を予定しており、「ボランティアさんを募集中」とSNSを通じて呼びかけている。

 愛知県豊明市では、市社会福祉協議会がキッチンカーで「走る子ども食堂」を企画。主に中学生以下を対象に、共働き家庭の子どもを預かっている児童館や、団地など1日2カ所を訪問し、鳥の唐揚げ付きカレーピラフを4月2日まで無料提供した。

「1日330食ほどを用意しましたが、場所によっては100人以上が待っている場所もあり、ニーズの大きさを感じました」と話すのは事務局長の原田一也さん。

 このキッチンカーは高齢者や障害者の雇用の一環として昨年10月に購入。オフィス街のランチ需要や休日のイベント出店などに活躍していたが、最近は新型コロナの影響で稼働していなかったという。

「1日あたり米を30キロほど炊き、玉ねぎやニンジンなどもキロ単位で使っています。食材の大半が地元のJAあいち尾東さんからのご寄付で、他にも大勢の方が持ち寄ってくださっているから可能なんです。当初予算は35万円でしたが、これだけじゃ、とてもとても」(原田事務局長)

 大阪を中心に、奈良、兵庫で26店舗のラーメン店を運営する「河童(かっぱ)ラーメン本舗」(本社・大阪府箕面市)は、3月9日から27日まで全店舗で平日午後3時から午後6時まで中学生以下の子どもを対象に、「河童ラーメンと白ごはんそれぞれ一杯ずつ」を無償提供した。

「弊社代表が給食が無くなると困る子どもらがいるというのをニュースで知り、『できる範囲で応援しよう』と始めた企画でした。26日までの集計で合計約1万食。一日の最高記録は1店舗で約200食を提供した日がありました」(池田寛誠課長兼広報担当)

 反響の大きさは予想以上だった。

「うつむき加減だった子どもさんが、元気な声で『ごちそうさま』と言って帰られるのを目の当たりにして、『やって良かった』と実感したものです」(同)

 本来3月末までの予定だったが、27日に吉村洋文大阪府知事の外出自粛要請が発表されたため、急きょ、当日で中止。同社では、今後も社会的情勢を踏まえて何らかの支援を考えていきたいという。

 全国のこども食堂約220団体が参加している「こども食堂ネットワーク」の釜池雄高事務局長によると、「活動を休止した団体が多い中、2、3割は食堂運営以外の方法で事業を継続中」だという。

「新型コロナの拡大によって雇用不安が高まり、困難な状況に陥るシングル家庭が増えると思われます。それだけに、これからますますニーズは高まるでしょうね」(釜池さん)。

 子どもらが食事に困らないよう、善意の輪が広がっている。
(高鍬真之)


※週刊朝日オンライン限定記事














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このニュースに関するつぶやき

  • 教育も放棄して困窮家庭も救うつもりもないヤカラ国家とは大違い^ ^でもガキを大事にできひん国なんて遅かれ早かれ滅ぶね
    • イイネ!0
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  • 蓮舫が「自粛でコロナ感染は終息しない。いま税金を投ずる対策は今すぐ生活困窮者への徹底支援です」とか調子良い事言ってるけど、何にでも反対するお前達が黙っている事が最高の景気対策かもね
    • イイネ!35
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