自分も夫も子も発達障害を持つ苦しみ 「困っている」をどこに相談すればいいのか

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2020年04月08日 11:30  AERA dot.

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写真AERA 2020年4月13日号より
AERA 2020年4月13日号より
 子どもの受診をきっかけに、親自身も発達障害だとわかるケースが増えている。発達障害は、先天的な脳の機能の発達のアンバランスが原因で、得意なことと苦手なことの凹凸が激しい。「『困っている』と言えないことが一番つらい」と当事者は言う。AERA2020年4月13日号から。

【図を見る】発達障害は重複することも多い

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 財布を取ろうとバッグの中に手を入れた瞬間、あってはならないものに触れた。息子(4)の幼稚園に提出するはずだったプリントだ。前日に忘れたので、その日は家を出る前に何度も確認した。それなのに、園についた途端に忘れ、バッグに入れたまま持ち帰ってしまった。

「うっかりってあるよね、時々」

 ママ友から慰められるが、神奈川県に住む女性(34)の場合、それは「時々」ではない。最近も夕食にトンカツを出したがソースがないことに気づき、慌てて近所のスーパーへ。ところが店に入った瞬間、他の商品に気を取られた。家に帰って夫から「ソースは?」と聞かれ、青ざめた。

 息子は注意欠如・多動症(ADHD)と自閉スペクトラム症(ASD)が重複していると診断されている。目立つのは、好きな車が来ると道路に飛び出してしまう、といった多動性だ。

 女性は社交的で、発達障害を持つ子の親の会を立ち上げるなど行動力も抜群だ。一方、小さい頃から気が散りやすく忘れ物やミスが多いことに悩んできた。「また失敗するかも」という不安でソワソワする悪循環。息子の主治医に話すと、こう言われた。

「お母さんも多分ADHDですね。成人向けの精神科に行けば、診断がつくレベルだと思います」

 子どもの受診や相談をきっかけに、親も発達障害であることがわかるケースが増えている。発達障害とは生まれつき脳の機能の発達がアンバランスなために生じるもので、得意なことと苦手なことの凹凸が激しい。凹みの部分でさまざまな困難を抱えることが多いため、「発達障害」と呼ばれる。

 小中学生の15人に1人にその可能性があると言われるが、「発達障害」という言葉もない時代に支援を受けることなく成長した大人も、悩みは深刻だ。

 冒頭の女性の場合、会社員の夫にも、ADHDと、ASDの一種であるアスペルガー症候群の傾向がある。夫は女性の些細なミスにも、「死ね」など激しい言葉で罵倒する。女性が「ADHDと診断されれば、薬物治療もできるって。受診しようかな」と相談しても、「努力が足りないのに薬なんて金の無駄だ」と取り合ってくれない。こうした態度も悪気があるからではなく、「他者の気持ちを想像するのが苦手」というアスペルガー症候群の特性から。女性は発達障害のことを調べる中でそう理解できるようになったが、胸の内は苦しい。

「子どもは療育に通っていて、少しずつ状態が改善しています。でも夫には自覚がないし、私自身のことも含め、家族のことを相談したくても、どこに行けばいいのかわからない」

 子どもと親双方に発達障害があるというと、育て方や遺伝との関連が気になる人も多いだろう。発達障害クリニック附属発達研究所所長の神尾陽子医師はこう指摘する。

「発達障害の原因はまだ特定されていませんが、先天性であることは明らか。親の育て方が原因という考え方は完全に否定されています。生まれた後の生活習慣や環境は症状を悪化させることはあっても『原因』にはなり得ません」

 遺伝についてはどうか。

「遺伝的要因はあります。ただし、発達障害につながる特定の遺伝子があるわけではありません。複数の遺伝的な素因と、母親の胎内にいる時の環境要因──例えば妊娠初期に風疹などのウイルスに感染したとか、さまざまな要因が複数重なり相互に作用した結果、何人かに一人の割合で脳の発達に変化が生じると考えられています」(神尾医師)

 発達障害は先天的なもので、親や子どもの努力不足でも、性格の問題でも、しつけのせいでもない。

(編集部・石臥薫子)

※AERA 2020年4月13日号より抜粋

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  • 他者の気持ちを想像するのが苦手という素質を免罪符に人を傷つける人と一緒にいたら潰れるから離婚なり別居なりして早く距離を置いた方がいい。
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