小林可夢偉と長島哲太の対談がパイオニアの企画で実現。世界を知る2人が語る2輪と4輪の意外な違い

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2020年04月08日 14:31  AUTOSPORT web

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パイオニアのサポートを受ける小林可夢偉と長島哲太が都内で対談
F1で表彰台を獲得し、WEC、IMSA、スーパーフォーミュラと国内外で世界のトップドライバーとして戦い、1月にはデイトナ24時間で昨年に続く勝利を挙げて連覇を達成した小林可夢偉。そして今年のMotoGP開幕戦カタールGPのMoto2クラスで優勝を飾った長島哲太(Red Bull KTM Ajo)。

 今年、最高のスタートを切った4輪、2輪の世界的ドライバーとライダーの対談が、ふたりをサポートするパイオニアの企画で実現することになった。

 もちろん、この対談は新型コロナの世界的影響で4輪、2輪ともイベントが延期やキャンセルになったこともあって実現したわけだが、都内で行われた今回の対談ではふたりとも元気な姿を見せ、お互い興味津々で貴重な機会を楽しんだようだ。

 対談の詳細は後述するパイオニア、carrozzeriaのサイトで後日、動画にて公開されるが、ここではその貴重なふたりの対談の一部をお届けしたい。

■モータースポーツを始めたきっかけ

 今回の対談がお互い初対面だというふたり、まずはあいさつがてら、お互いの”モータースポーツを始めたきっかけ”や育った家庭環境から話始めた。

可夢偉「2輪ライダーになったきっかけは何ですか?」

長島「両親がレース好きで3歳の頃からポケバイに乗っているのですが、当時の初めて乗った時の記憶はないんです」

可夢偉「僕はテレビでカートを見て乗りたいと思って、レースに興味のない親父に『連れていけー』って言って(笑)、他のドライバーよりも結構遅めの9歳でレンタルカートから始めたんですが、3歳って早いですね」

長島「3歳は早いですよね。今でいうストライダーみたいな、エンジンを載せていないタイヤが付いたフレームで坂を下ったりしていたんですが、ブレーキに指が届かなくて止まりきれず林に突っ込んだり(笑)」

可夢偉「ぶっ飛んでますね!」

 一件、真逆とも思える家庭環境で育ってモータースポーツの世界に入ったふたりだが、長島哲太は「勝ちたいと思って優勝しはじめたのは9歳くらいだったかな」と話すと、可夢偉も、「始めた年齢は違っても、レースはいい時にいかに自分のピークを持っていくかが大事」と、自分のレース人生、そしてレースウイークの中でもパフォーマンスのピークをコントロールする可夢偉流マネジメント術を伝達。一見、感覚派に見える可夢偉だが、組み立てのうまさはこのマネジメント力の高さに由来していることが伺える。


■2輪と4輪のそれぞれの魅力

 話題は次に移り、”2輪と4輪のそれぞれの魅力”について乗り手の立場から語り合うことに。

可夢偉「そもそも2輪の魅力って何なんですか?」

長島「レース中のオーバーテイクも多いですし、転倒も派手なので観てる側は面白いのかなと思います」

可夢偉「2輪はどうしてオーバーテイクが多いの?」

長島「5m、10mブレーキを遅らせてもマンパワーでなんとかなっちゃうことがあるんですよね。ブレーキングでフロントやリヤに自分の体重を移動させて結構コントロールできるんです」

可夢偉「車重が軽いからそれができるのかな。4輪は重いし体は固定されているからできないよね。2輪は軽いからドリフトしてでも減速できるけど、4輪は重いからまっすぐ減速するのが一番効率がいいからね」

長島「突っ込みすぎても2輪の場合、リヤを流してあげると止めることができますし、重心位置をかなりずらすこともできるので、無理が効くのかなって思いますね」

長島「逆に4輪の魅力は何ですか?」

可夢偉「僕らが乗っているスーパーフォーミュラだと無茶苦茶コーナーが速い。鈴鹿のセクター1とか、まぁ”バカ”だよ(笑)。ギヤを変えないでアクセルのオンオフだけだもん」

 ファン目線からの魅力だけではなく、マシンを壊した際の金額は実は2輪の方が高そう、4輪はマシンの破損にも保険が効くことなどなど話は幅広く弾む。

■技術的特徴とタイヤ

 それぞれのドライビング、ライディングといった”技術的特徴やタイヤ”について話題が進むと、より深く2輪と4輪の違いが出てくることに。

可夢偉「タイヤマネージメントは4輪と同じくトルクの掛かるリヤ次第ですか?」

長島「フロントも大事です。2輪の場合バンクしてタイヤのグリップがなくなったときに一番ハンドルがきれてしまいやすいのはフロントなんです。ハンドルが必要以上に切れてしまうと高速コーナーでスピードを乗せられなくなります。減速の際もフロントブレーキに依存しているので」

可夢偉「じゃぁフロントの方が大事?」

長島「リヤも加速側で大事ですが、転ぶ時は基本前からが多いので、フロントタイヤを保たせることが大事ですね」

 このほか、2輪のタイヤの保たせ方に加え、2輪と4輪のマシンへの依存度の違い、F1ドライバーによる国際映像で流れる無線を通じたパフォーマンスなどに話題は広がり、それぞれのレースの違いにも触れられた。

■最高峰を目指す長島哲太に可夢偉がアドバイス

 対談の最後は可夢偉がこれからMotoGP最高峰クラスを目指す長島に、世界トップカテゴリーで戦うために必要なアドバイスを送ることに。

長島「来年、再来年にMotoGPクラスに行きたいのですが、最高峰カテゴリーに上がっていく中で、信念とか、自分の中で大切にしているものとかありますか?」

可夢偉「信念というより大事なのは”自分をいかに売り込めるか”だと思う。”結果”はいいバイク、いいクルマに乗れたら誰でも出せると思う。難しいことだけど、その環境を作ることができればチャンスはあると思う」

長島「それに対して可夢偉さんが実際にやったこととかありますか?」

可夢偉「これは僕が経験して、正直足りへんかったなという部分。(F1では)あんま気にせずやってたから。バイクはライダーのレースでの支配率が高いから、自分自身のパフォーマンスで変えられるかもしれないけど、『どうしてもこのバイクの方が速いからこっちに乗りたい』というときに”一番力を持ってる人”の電話番号を持っていたら電話一本で話が変わると思うよ。誰か通さなくても、自分でそれを全部コントロールできたら自分が常に最高なシチュエーションを自分で作れる。結果を残すってそう言うことだと思う。結果を残すために自分がどうやって動くというのは考えないといけないから」

 可夢偉が語った”最高峰を戦う上でのアドバイス”は、他のスポーツに比べて影響力が大きい“モノ”を使って競うモータースポーツに共通したマインドであり、長島はその可夢偉のひとつひとつの言葉に真摯に耳を傾けていた姿が印象的だった。

■carrozzeriaの最新型カーナビを体験

 プライベートにも話題が及んだ今回の対談、普段はミニバンに乗ると言う長島に向けて、キャンピングカーを含みいくつもの車を所有する可夢偉がcarrozzeriaの最新型カーナビ『サイバーナビ(CYBER NAVI)』を勧める場面も。対談場所がパイオニア販売の本社であったことから、ふたりでcarrozzeriaのデモカーに搭乗し、『サイバーナビ(CYBER NAVI)』や『リアモニター』を体験した。
 
 後日公開される今回の対談の視聴は『小林可夢偉×カロッツェリア テール・トゥー・ノーズ』公式サイトまで

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