殺伐としたこの世界の中でチェリーが推す3作

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2020年04月09日 23:40  ソーシャルトレンドニュース

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"殺伐としたこの世界の中でチェリーが推す3作"

何かがシンクロ…チェリーが今触れたい作品たちをご紹介

こんなご時世の中なので(どんなご時世なのかあえてここでは言葉は尽くしませんが)永遠のオトナ童貞のための文化系マガジン・チェリーでは、
“文化系マガジン”として、お家でも触れられるエンターテインメントをご紹介!
今回は、チェリーの所属ライターたち3名が、それぞれ、“こんな世界の中で、今触れておきたい作品”をテーマに選びました。リアリティーショーに映画に絵本に……とジャンルは様々!
緊急事態の過ごし方を示唆するものから、もしかしたらもう永遠に戻らないかもしれない日常というものについて、思いを巡らせるものまで……。

『バチェラー・ジャパン シーズン3』

選者:菱山恵巳子(ライター)

■ドロ沼恋愛リアリティショーから緊急事態宣言下の過ごし方を学ぶ
経済的にも生活的にも未曾有の事態となり、精神的にももう限界。まるでダークなドキュメンタリーの登場人物となっている我々。こんな時こそエンタメで感情のドーピングをするべきだと私は考えます。
ということでAmazon Prime videoで配信中の『バチェラー・ジャパン シーズン3』で、ドキドキ・ワクワクをドーピングしましょう。約1時間のエピソードが12話と、けっこうな時間もつぶせます。



1人の容姿端麗な男性を、20名の「今までどこにいたんだよ」とツッコミたくなるレベルの美女たちが取り合う「バチェラーシリーズ」。特に「シーズン3」は、ただの男女の色恋話からは逸脱しており、男としてのエゴや弱さ、女性たちの歪んだ感情がわかりやすく表れ、ドキドキが止まらないことでしょう。加えてワクワクする衝撃の展開の連続は、もはやミステリー作品の域。(ネタバレを調べずに見てほしい!)
デートでヘリを貸し切ったり、スカイダイビングをしたり、屋外に映画館を作ったり……、ド派手な演出も見応えありますが、いま注目したいのは、デートに誘われなかった方の“その他大勢の美女”たちの過ごし方。
彼女たちは、携帯も本も取り上げられた状態で、バチェラーから声がかかるまで、共同生活する家でお留守番しなければなりません。統制された情報しか与えられず、絶対権力次第で自らの生活がどうなるかわからない……て、あれ?今の日本そのもの? 緊急事態宣言下の先駆者として「バチェラー」という戦いを生き抜いた彼女たちの感情の揺れを見れば、今後の自分の身の振り方の参考になるかもしれません。

関連記事◆バチェラーは「女の本性を見破る教科書」 サイバー幹部に学ぶ

『あさになったのでまどをあけますよ』

選者:霜田明寛(チェリー編集長)

■日常のルーティーンから感じる“美しさ”
絵本作家、荒井良二さんによる絵本。
繰り返される「あさになったのでまどをあけますよ」の文言とともに、窓から見える景色と、街の景色の中での窓を開けている人が俯瞰で描かれる……というもの。



外出を控えなければならない中、“窓をあける”ことが、外の世界と直接的につながる、唯一の日々の営みになっているかもしれません。しかし、家の中にいても、人々は街の一部であり、世界の一部。この美しい世界の中に生きている我々は、この世界の美しさを守らなければならない……そんなことを感じさせてくれます。
初版は2011年の12月。日常が奪われてしまったあの年に、日常の美しさを教えてくれていたのかもしれません。

以前、こちらの記事で紹介した

◆セントフォース女子アナの真の実力に驚愕!? 震災を「忘れたくない」と思わせる絵本が誕生

WEB上で読める絵本



◯WEB版『東北未来絵本 あのとき あれから それから それから』http://tohokumirai.com/

とあわせて読むと、さらに思考が広がっていきます。
この絵本もこんな問いかけをくれています。

「あれからみんなの日常は何かかわったかなあ?」

映画『転々』

選者:小峰克彦(ライター)

■日常は“意味のないことの積み重ね”であるがゆえに豊かである
13年前に公開された邦画『転々』は大学8年生で借金まみれの青年・文哉(オダギリジョー)と、借金取りの中年・福原(三浦友和)が東京をお散歩するというゆるいコメディ作品です。

SFディストピア映画のように全世界で何万人が亡くなり、日本でも緊急事態宣言が出され、外出することも安易にできなくなりました。
僕の近所でも「このままだと潰れてしまうのでお弁当を買ってください!」と悲痛な張り紙を出している飲食店が何軒もあります。そんな「異常」が「普通の日常」になりつつある今、ぜひ観ていただきたい一本です。

映画『転々』で描かれるのは散歩を通して出会う「街の変な人」との交流や、親に捨てられた文哉に対して福原が用意する「普通の家族の日常」。
「食虫植物見てるとドキドキする」「街の時計屋はどうやって生活しているのか」「カレーにはチャツネを入れると美味しい」……ドキドキハラハラするような展開は少なく、終始(いい意味で)どうでもいい会話が繰り広げられています。
でも、この作品を見ていると「ありふれた日常」とは、記憶するに値しないくらい意味もないことの積み重ねで、それゆえにこの世界は豊かであると気がつきます。

今、外へ出ずに家の中で一人仕事をしていると、メールやLINEでしか人と話せず、SNSでは誰かを責める言葉が日々流れてきます。自分住む世界が嫌いになりそうになった時、思い出してほしいです。
友達と居酒屋でダラダラ居座る帰りがたい空気、親が作ってくれた実家のご飯の温かさ、街で見かけた奇妙な看板、電車の中で思わず聞き耳を立ててしまう他人同士の会話を。きっと誰しも些細で愛しい記憶をたくさん持ってるはずです。
映画『転々』に出てくる人々はそんな僕たちの豊かな日常を思い出す手助けをしてくれると思います。

関連記事◆「ギャグはリベラル」40年ブレない“三木聡センス”の作り方


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