IDOLiSH7 二階堂大和、ミステリアスな雰囲気の裏にある情熱の炎 優れた表現力持つリーダーのソロ曲を聴いて

0

2020年04月10日 06:01  リアルサウンド

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

リアルサウンド

二階堂大和「Love two you」

 アイドルグループのリーダーという立場や役割は、グループによって様々だ。そのやり方や責任の負い方は、それぞれまったく違うだろう。率先して引っ張ってゆくタイプや、センターと兼任しグループの顔を担う者、プロデューサー的な役割を果たすリーダーもいる。


(関連:IDOLiSH7 和泉一織が併せ持つ、大人びた部分と純粋さ 巧みに音楽表現を変化させるボーカリストとしての力量も


 IDOLiSH7でリーダーを務める二階堂大和は、言動などから見受けられるゆるい雰囲気もありながら、メンバーの信頼を得ている不思議なスタイルのリーダーだ。ここで言う“ゆるさ”とは、隙があるとかルーズという意味ではない。むしろ隙など微塵もなく、程よく力が抜けている、というタイプの“ゆるさ”である。グループの年長者であり、他のメンバーよりも社会での経験値があるからこその余裕が、そう感じさせるかもしれない。普段は大人の視点でおおらかに個性豊かなメンバーを見守り、決めるところでは決めることでリーダーとしての役割を果たしているようだ。IDOLiSH7がどんな場所でも伸び伸びと振る舞うことができるのは、そんな大人の振る舞いができるリーダーの存在があるのも一つの理由ではないだろうか。


 二階堂は俳優としても演技の才能を高く評価され、アイドルとしてもその表現力を存分に生かし観客を惹きつけている。優れた表現者は、観ている側の感情を揺さぶり、心を寄り添わせることができる。人間の感情の揺れ動く様ををよく知っていて、自らも強い思いを抱いているということだろう。


 主演ドラマの主題歌となったIDOLiSH7「GOOD NIGHT AWASOME」は、二階堂がメインボーカルを務め、歌手としてもその表現力を世に知らしめた一曲だ。ドラマの内容に沿ったダークな曲だが、力のこもったダンスと歌唱で他の6人を率いながら、激しい感情とクールな視点を交差させた世界観を巧みに表現している。IDOLiSH7の中では異質な曲調でありながら、大変人気の高い楽曲でもある。


 彼の飄々としたオーラと包容力は、時に色気にも変わる。自らを「お兄さん」と称し、余裕のある雰囲気を携えた姿は、身近だがどこかミステリアスな”大人の男性“として、ファンの目には魅力的に映る。


 アイドルは舞台の上でファンを惹きつけ、夢を提供する仕事だ。その意味でも二階堂の大人っぽい魅力は、アイドルがファンに与えるファンタジーとして王道とも言えるだろう。ずば抜けた演技力と彼がもともと持つ性質が合わさり、ステージという夢をさらに身近に感じさせることができる。アイドルらしくないように振る舞うことも多いが、やはり二階堂大和はアイドルとしても一流なのだ。


 飄々とした佇まいも魅力の二階堂だが、本質は少し違うところにもあるのではないか——そう思わされる1曲が、「Love two you」というソロ曲である。


 爽やかなメロディだが、自らの人生を変えた相手への愛を歌い上げたエモーショナルな大人のラブソングだ。飾らないスタイルの彼だからこそ、曲に込められた熱量にときめいたファンも多いだろう。


 この曲が人を惹きつけるのは、もちろん純粋に幸せなラブソングであるというのに加えて、二階堂自身がアイドルという仕事や仲間への愛を歌った楽曲という側面があるからだ。この曲に登場する〈君〉を仲間やファンに置き換えてみると、二階堂が本当は誰よりも情熱的で、人をよく見ていて、自分よりも他人を思うことができる人だとわかる。


 そう考えると、二階堂大和が優れた表現力を持ったアーティストであることも、メンバーに慕われるリーダーであることも至極当然に思えてくる。私たちが彼の表現に心揺さぶられるのは、彼があらゆる人をよく観察し、たくさんの情に触れてきたからである。何より、情熱は人を動かすことができる。彼の秘めた情熱は、観客の心を動かすだけではなく、IDOLiSH7にとっても大きな原動力となっているのだろう。この前提に立って、あらためてIDOLiSH7の楽曲や参加ユニット曲「ピラゴラス☆ファイター」や「男子タルモノ!〜MATSURI〜」、そして「My Friend」などを聴いてみると、卓越した演技力の裏側にある彼の優しく楽しい素顔が垣間見えるように思う。


 メンバー愛に溢れたリーダーであり、演技や歌でその才能を発揮し続ける二階堂大和。〈そばにいると 自分でも知らない扉見つかるよ〉という歌詞の通り、IDOLiSH7のメンバーという強い味方を得て未知の扉を開いた彼は、新しい世界をどのように歩んでいくのか。そしてその世界では、どのような表現を生み出すのだろう。彼の中にある情熱の炎を、今後も追い続けたい。(草野英絵)


    ニュース設定