どれくらい落ち着きがないと「発達障害」なの? ゆで卵にたとえてみると分かりやすい!

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2020年04月10日 11:11  ダ・ヴィンチニュース

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写真『発達障害の内側から見た世界 名指すことと分かること』(兼本浩祐/講談社)
『発達障害の内側から見た世界 名指すことと分かること』(兼本浩祐/講談社)

 発達障害。最近は知識に精通している方も増えた。大人になってから自ら診断を仰ぐケースも多い。『発達障害の内側から見た世界 名指すことと分かること』(兼本浩祐/講談社)は、自らを発達障害だと認識する精神科医が、発達障害の意味を改めて整理する1冊。どういった症状が発達障害にあたるのかという医学的説明だけでなく、発達障害という言葉の“意味”を掘る内容となっている。

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発達障害の“意味”を車にたとえると…?

 文部科学省のWebサイトによると、発達障害は「自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害」とある。障害という言葉がたくさん出てくるが、著者は、「発達障害は病気ではありませんし、それ自体では必ずしも障害ではありません」と語る。

 より分かりやすく説明するために、「耕運機とスポーツカーを思い浮かべて欲しい」という。もし、サーキットで2つを並べて走らせたら、当然耕運機は最下位。スポーツカーが一番速い。この時、耕運機に対して「障害がある」と思うだろうか? 逆に、田んぼのあぜ道にスポーツカーを持ってきて、役立つ術のないスポーツカーに向かって「障害がある」というだろうか? 当然どちらの場合にも、誰もそんな風には思わない。

 つまり、発達障害とはスペックに適応した環境に置かれていないが故の不適応と理解すべき、というのだ。

どれくらい落ち着きがないと「発達障害」にあたるの?

 では次に、発達障害の“範囲”について。発達障害で代表的なのは、こだわりが強いなどの傾向を示す自閉症スペクトラム障害(ASD)、落ち着きがないなどの傾向がある注意欠陥多動性障害(ADHD)だ。しかし、診断名に該当するこだわりの強さや落ち着きのなさとは、一体どの程度のものなのだろうか?

 著者は、そこに明確な境界線があるわけではないと答え、ゆで卵を登場させて次のように説明する。

〈ゆで卵と生卵の境目はどこなのだろう? 殻を割った時にぶにょぶにょながらも固体としてそこに在ればゆで卵? しっかりとした卵型をしていないと駄目? ほら、ゆで卵と生卵の境界線というものは、一本の線では表せないでしょう。発達障害も同じです〉

 もちろん、専門の医師は患者との会話や心理検査などから慎重に診断名を下しているので、それが間違っているといいたいのではない。ここでは、発達障害という言葉は障害があると断定しているのではなく、脳の働き方の傾向などを示す点を強調しているのだ。

 ちなみに、本書の著者は、小中学校の時に逆上がりやダンスが苦手で、いくら練習をしてもできなかったという体験がある。そして医師になってから、自分は発達性協調運動障害だと気付いたという。似たようなちょっと苦い経験のある人と失敗談自慢をするのは愉快なのに、発達障害であることを告白した時に相手に一歩引かれると不愉快になる。これはどうしてなのだろう――そう思ったのが本書執筆のきっかけだという。

 本書には、発達障害という言葉が一般に与えがちな誤った印象と、その誤解が起こる要因を、やさしく教えてくれる。念のため強調しておくが、発達障害という言葉に曖昧さが含まれるからといって、診断名を受け入れることを忌避することはおすすめしない。私筆者は、近年30代後半になってから「発達障害といえるかもしれません」といわれたが、その時感じたのは“安堵感”だった。普通になりたいと思って頑張っても駄目だったのは努力不足じゃなかったのだ、という思いだ。

 今後は、“普通”という言葉の表すところも変わってくるだろう。その時には、発達障害の意味するところも変化することになるかもしれない。世の中も医学もすべて固定されるものではなく、ゆらりゆらりと変化していくものなのだと構えたい。

文=奥みんす

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  • 実際は目立った才能もない当事者が多い。でも食べてかなきゃいけない。だから必死に「普通」になろうともがいてる。
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