J.フロント20年度決算、コロナの影響受けるもパルコ新店舗の好調で大幅減は阻止

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2020年04月10日 20:02  Fashionsnap.com

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「パルコ」ロゴ Image by: FASHIONSNAP.COM
J.フロントリテイリングが、2020年2月期の連結業績(2019年3月1日〜2020年2月29日)を発表した。売上収益は4,806億2,100万円(前年同期比4.5%増)、営業利益は402億8,600万円(同1.5%減)を計上。大丸松坂屋百貨店を中心とした百貨店事業が自然災害や暖冬、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けて、売上収益が前年同期比4.2%減の2,637億4,800万円、営業利益が同27.2%減の176億2,500万円と振るわなかった一方で、パルコ事業は新たにオープンした渋谷店や錦糸町店が好調な滑り出しを見せ、売上収益は同24.7%増の1,122億1,200万円、営業利益は同98.7%増(2019年度に店舗営業終了に伴う損失やその他店舗の減損損失などを計上した反動を含む)の108億2,300万円と増収増益となり、全体の大幅な業績悪化を食い止めた。
>>新生「渋谷パルコ」順調な滑り出し、年間取扱高目標を上回るペース


 パルコ事業においては渋谷店のリニューアルオープンや錦糸町店の新規出店のほか、サンエーとの共同事業による「サンエー浦添西海岸 PARCO CITY」や、「川崎ゼロゲート」が前年度に開業し、いずれの店舗も概ね期待度通りの滑り出しだったという。パルコの2020年2月期第3四半期(2019年3月1日〜11月30日)の連結業績によれば、渋谷パルコの取扱高はオープンから9日間で少なくとも10億円以上を売り上げたと見られている。しかし、年明け以降の新型コロナウイルスの流行はパルコ各館にも影響を及ぼしており、渋谷パルコを除く16店舗の今年3月の合計売上高は前年同月比で31.9%減少。政府からの緊急事態宣言を受けて8日から都内の店舗を中心に臨時休業しており、今後売上への影響が顕著になると予想される。
 J.フロントリテイリングの2021年度は、コスト削減や投資額の抑制で守りを固め、攻めとして中長期の成長戦略を練り直すという攻守のバランスを保った経営を推進。今年秋に開業する予定の大丸心斎橋店北館のスケジュールは変更しないという。通期連結業績予想については、売上収益は4,110億円(2020年度から14.5%減)、営業利益は120億円(同70.2%減)と発表。なお、同数値は3月末時点での算出で、今後の状況によって変動する可能性がある。
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 決算発表と同時に同社は、子会社の大丸松坂屋百貨店社長の好本達也氏をJ.フロントリテイリングの代表執行役社長に昇格させる新人事を発表。5月28日に開催予定の株主総会と取締役会の決議を経て正式に決定する。J.フロントリテイリング山本良一現代表執行役社長は代表権のない取締役会議長になる。なお、好本氏の後任には執行役常務の澤田太郎氏が就任し、J.フロントリテイリングの取締役兼執行役専務と兼任。山本氏の社長退任は今回の新型コロナウイルスの影響が出る前から計画していたもので、パルコの完全子会社化を経て更なる経営の強化とシナジーの創出を目指すという。
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