とんこつラーメンの迷宮・福岡!ポタージュもあればクリアとんこつも?

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2020年04月10日 21:01  TVerプラス

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福岡のラーメンと言えば、とんこつ!それ自体はまあ何にも新しい話ではない。「それがどうしたと?」と福岡県民に言われてしまう。だが福岡のとんこつラーメンと一言に言っても一言には言えないほど多彩なバリエーションがあるのは知っとうと?知らんやろ?だったら教えてあげちゃるばい!迷宮のように奥深く広がる福岡とんこつラーメンの世界を!まずは福岡とんこつラーメンの代表選手、長浜ラーメン!福岡のラーメンと言えばこれを思い出す人がいちばん多いだろう。長浜とは福岡市の北のほう、魚市場のあたりのことを言う。ここで市場に朝早く来た人びとが一仕事終わって食べるために生まれたのが長浜ラーメンだ。元祖長浜ラーメンがこっちにもあっちにもある。福岡のとんこつを食べたいのなら、この辺りで食べればまず間違いない。そのすぐ近所にあるお店「長浜家」は行列店。メニューはシンプルにラーメンと替玉、替肉のみ。だが入ってきたお客さんはいきなり「ベタナマ」とメニューにないことを注文する。「ベタ」とはアブラ増しのこと、「ナマ」は「カタ」より硬めの麺の茹で方だという。厨房で見ると、茹で時間なんと5秒!出てきた「ベタナマ」ラーメンは意外にベタベタしてなくあっさりスープ。そう、実は長浜ラーメンはとんこつとしてはさほど白濁していなくて、さっぱりとこってりが両立している。だから中洲の屋台でも長浜ラーメンを締めに食べる人が多いのだ。続いて紹介するのは、久留米ラーメンだ。久留米は福岡市よりずいぶん南の、福岡県の真ん中あたりの市で、あの松田聖子やチェッカーズを生んだ町。実はとんこつラーメンはここで生まれた。あっさり目の長浜ラーメンとは打って変わって、膜ができるほどアブラっぽくて、匂いもキツい。その代表的なお店「大砲」で出てきたのは、かなーり濃いスープにやや太めの麺が入ったラーメン。とんこつラーメンと言われて想像するのはこういうのだよね、というものだ。そしておいしそう!正直言って強烈な匂いを放つのだが、常連とおぼしきお客さんたちは匂いなんてものともせず、猛然とラーメンに食らいつく。創業昭和28年の「大砲」ではスープを炊いては継ぎ足していく「呼び戻し」と呼ばれる手法で秘伝のタレのようにずーっとスープを守ってきた。「魂のスープです」とドヤ顔でお店の人が言うだけの歴史に磨かれたスープなのだ。今度は本州と関門海峡を挟んで接する北九州市に行ってみる。この地のラーメンは久留米よりさらに濃いというではないか。白いのはとんこつスープだから当たり前だが、クリーミーでホワイトシチューのように白い。やや太めの麺に白いスープがまとわりついて、その見た目はスパゲティーのようでもある。常連さんが「カルボナーラ!」となぜかドヤ顔で評するほどだ。このスープ、豚のゲンコツという骨を圧力釜で10時間煮込むと硬い骨がトロトロに溶ける。さらにこれをハンドミキサーでかき回すことでクリーミーでシチューのようなとんこつスープが出来上がるのだ。最後に紹介するのは、北九州とは正反対の「クリアとんこつ」!出てきたのはまるで吸い物か?と言いたくなるほど澄んだスープのラーメンだ。やはりゲンコツを使うのだが、弱火でじっくり煮込むことでこのクリアさが生み出される。実は、とんこつ発祥の久留米ラーメンが白濁する前の製法を現代に甦らせたものだそうだ。実は、元祖とんこつラーメンなのかもしれない。さて、どげんやったでしょうか?とんこつラーメン、奥が深かったろう?さあ福岡に行って食べたい!と思っちゃうけど、今はそうはいかない状況。そうやね、おさまったら行きたかねー!みんなで対策ば頑張って、笑顔で福岡に行きんしゃい!【文:境 治】
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