『エール』に集結した『3年A組』卒業生たち 堀田真由の怪演に続き森七菜の活躍にも期待

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2020年04月20日 06:01  リアルサウンド

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『エール』 写真提供=NHK

 連続テレビ小説『エール』(NHK総合)第3週で、堀田真由演じるダンスホールの踊り子・志津と主人公・古山裕一(窪田正孝)の鮮烈な恋模様が話題になった。職場での失敗に意気消沈し、意を決して告白した裕一は、志津の正体を知って愕然とする。優雅に舞う踊り子から、一転して小悪魔に変貌する堀田の怪演に驚きと賞賛が寄せられた。


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 2015年にデビューした堀田のNHK連続テレビ小説出演は、『わろてんか』以来2作目。ドラマ、映画にコンスタントに登板を重ねる堀田が高校生役で出演したのが、2019年1月期放送のドラマ『3年A組 ―今から皆さんは、人質です―』(日本テレビ系)だった。教師・柊一颯(菅田将暉)による渾身のメッセージが反響を呼んだ『3年A組』で、堀田は自殺した景山澪奈(上白石萌歌)と同じ水泳部の熊沢花恋を演じた。


 同作に生徒役で出演した『3年A組』の卒業生たちは、放送後1年が経った現在、目覚ましい活躍を見せている。『エール』にも現時点で4人がキャスティングされている。


 川俣銀行に就職した裕一の同僚で、入行2年目の松坂寛太役の望月歩も『3年A組』出身だ。望月が演じた陸上部員・瀬尾雄大は、クラスメートの死と自身の大学進学のジレンマに悩みながらも、柊の言葉を聞いて自らの意思で進路を選び取る。極限状況に置かれた人間のリアルな葛藤を全身で表現した望月は、これまでに『アンナチュラル』(TBS系)や『女子高生の無駄づかい』(テレビ朝日系)など話題作に出演。『エール』では、なにかにつけて裕一をヨイショする愛嬌たっぷりの若手行員としてドラマに花を添えている。


 連続テレビ小説では、主人公の弟や妹役にも注目が集まる。劇中で主人公と並走し、同じ時間を過ごす彼らの成長ぶりに目を細める視聴者も多いだろう。ここでも『3年A組』俳優が活躍している。


 第4週から登場する関内家の三女・梅を演じるのは森七菜。黒縁メガネをかけた梅は小説家を目指す文学少女だ。また、裕一の弟・浩二役で佐久本宝が出演している。浩二はしっかり者の次男で、兄に代わって実家の呉服店「喜多一」を継ぐという役どころだ。


 今年3月に高校を卒業したばかりの森のデビューは2017年。『3年A組』で演じた堀部瑠奈は電脳部所属で、ノートパソコンとにらめっこする姿を覚えている人も多いはず。『3年A組』出演後に公開された映画『天気の子』(2019年)は年間興行収入1位、観客動員数1千万人を記録。同作でヒロイン天野陽菜の声を演じ、声優アワード新人女優賞を受賞するなど森の人気を決定づけた。最近では岩井俊二監督『ラストレター』やドラマ『SUITS/スーツ2』(フジテレビ系)など途切れなく出演作が続いており、いまもっとも勢いのある若手女優の一人と言っても過言ではない。


 沖縄出身の佐久本宝は『怒り』(2016年)で映画デビュー。厳しい演技指導で知られる李相日監督のもと、森山未來、広瀬すずとともに物語の核心部分を担い、第40回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞した。『3年A組』には石倉光多役で出演し、家庭の事情でダンスをやめた甲斐隼人(片寄涼太)と本音をぶつけ合うシーンは前半のハイライトになった。『エール』では兄役の窪田正孝とどんな掛け合いを見せてくれるか楽しみだ。


 同世代が集結する学園ドラマには、その後の本格的なブレイクの起点となる作品が存在する。古くは『ごくせん』(日本テレビ系)、最近では『チア☆ダン』(TBS系)や『賭ケグルイ』(MBS/TBS)がそれにあたるが、『3年A組』は近年まれに見る豊作だったことが証明されつつある。『エール』の世界に飛び込んだ『3年A組』卒業生の活躍に期待したい。


■石河コウヘイ
エンタメライター、「じっちゃんの名にかけて」。東京辺境で音楽やドラマについての文章を書いています。


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