関ジャニ∞、『クロニクルF』に感じる5人の“無限大の可能性” 放送から見えたそれぞれの個性

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2020年05月07日 06:01  リアルサウンド

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リアルサウンド編集部

 4月27日に初回放送を迎えた『関ジャニ∞クロニクルF』(フジテレビ系)。約5年間にわたり放送された『関ジャニ∞クロニクル』から改題、新番組としてリスタートを切るにあたり、大きく2つの点が変化した。


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 まずなんといっても全国放送への放送地域拡大だ。関ジャニ∞が出演するバラエティ番組としては初めてFOD、TVerでの見逃し配信が可能になったことも含め、これまで「見たくても見られなかった」多くのファンが、同番組を視聴できるようになった。


 次に、月曜23時への放送時間の移動。5月2日号の日刊スポーツ「Saturdayジャニーズ」にてメンバーの横山裕も話していたが、23時はいわば深夜番組のゴールデンタイム。これから多くの一般視聴者層が、番組を目にすることだろう。


 とはいえ、一般層を意識しすぎると、ファンにとって物足りない番組になりかねない。反対に、ファン受けを狙いすぎると、一般層が離れる可能性もある。


 同番組は、初回にあえて「攻めた内容」を放送することで、ファン以外の一般層を番組に引き込んだ。初回放送の新聞ラテ欄には「カラス解体」の文字。好みは分かれるにせよ、他の番組ではまず見ることのない企画だ。口コミで話題になることも見込んでいたのだろうか。


 さらには「横山の相槌問題」のように、誰が見ても面白く、ファンにとってはたまらない“見どころ”を作った。ゲストを呼ばないことで、気張らない、メンバー5人だけのトークを楽しむこともできる。


 メインターゲットであるファンを満足させつつ、一般層も「面白い」と思うバランス。初回放送はここを、まずまずうまく突いていたように思う。


 カラスの解体&実食のロケに出たのは横山裕と大倉忠義。横山は、本人いわく「ロケのやりすぎ」により、カラスを前にもまったく動じない。まるで店に弟子入りするかのごとく、真摯な姿勢でカラスと向き合い、解体していく。実食では「美味い」を連発し、男らしく骨ごとかぶりついた。彼はどちらかといえばビビリキャラだと思っていたのだが、ロケに対する前向きな姿勢に脱帽した。


 一方、カラスを前に眉をひそめ、触れること、食べることにためらう大倉。横山との表情の対比が面白い。ときにへたれキャラの顔を見せる大倉だが、今回の企画においては決して彼がへたれだとは思わない。大倉自身も言うように、このロケでは彼の反応が普通であり正解である。視聴者の多くが、終始、大倉と同じ表情で番組を見ていたことだろう。彼の冷静なツッコミとワードセンスが、奇抜な企画をバラエティとして成り立たせていた。


 横山だけでも、大倉だけでもこの企画の面白さは爆発しない。2人の両極端なリアクションがあるからこそ、不可思議で独特なバラエティが成立する。初回にこのテーマを持ってくること、成立すると見込んだことに、制作陣の関ジャニ∞への信頼を感じる。


 カラスの捕獲・解体を見ながら「かっこいい」「やりたい」とワイプで目を輝かせ、「マタギの資格を取りにいこうと思っている」と、首にクマのチャームをぶら下げながら語る安田章大もまた、ツワモノだ。初回だけで、少なくともメンバー5人中2人がけっこうな変わり者だということが判明。新番組としての爪痕は、しっかりと残した。


 ラストは5人で「友よ」を熱唱。グッとくる、愛のあるメッセージとともに初回放送は終了した。ジェットコースターのような、あっという間の時間だった。


 5月4日の第2回放送では「水」をテーマに、実験や心理テストを行った。初回とは異なるアプローチに、新番組ならではの試行錯誤がうかがえる。俳優・清水ヨネタロウによるロケのくだりは、メンバーの心情を慮ると少々、複雑な気持ちにもなったが、清水の爽やかな笑顔に救われた。


 番組前半は、バラエティの切り込み隊長兼グループきってのギャガー・丸山隆平の独壇場。


 グループにおいては「難しい」とされる、年齢的に真ん中の立ち位置にいる丸山は、奔放なようで周囲をよく見ている。ムードメーカーとして、ときに自らを落としどころとして、グループの要を担い、バランスを取っているのは、実は丸山なのかもしれない。


 また、グループの冠番組はもちろん、さまざまなバラエティで司会をつとめる村上信五だが、同番組ではのびのびと過ごす姿が印象的だ。自由奔放なメンバーたちを俯瞰で見つつ、自身も天然ぶりを発揮。同じく年長組の横山とはまた別のアプローチで、番組にスパイスを与えている。


 ともすれば「くだらない」と流してしまうようなメンバーの一言を掘り下げ、5人でケタケタと笑う姿は、オフの会話かと思うほどのゆるさ。笑いのツボがぴたりと合うところに、彼らの長い長い歴史を感じさせる。


 関ジャニ∞は、グループという五角形を築きながら、ペンタグラムを描いて交わる。彼らには、5人集まるからこその魅力はもちろん、あらゆる組み合わせを作ることで生まれる「無限大の可能性」がある。


 彼らの良さを知るには、シンプルイズベスト。トーク、歌、ときどきロケ。それだけあれば充分だ。あの「秘密基地」で、ただただ5人で喋り、笑い、歌う。彼らは、そんな時間さえバラエティとして成立させられる力を持っていると、スタジオトークを見ていて実感する。いつか、そんな放送回も見せてくれれば嬉しい。


 新番組『関ジャニ∞クロニクルF』は、始まったばかり。月曜23時という新たな楽しみを胸に、日々を頑張れそうだ。(新 亜希子)


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