『エール』二階堂ふみ×菊池桃子の2人芝居が圧巻 裕一の幸せを思うがゆえの対立

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2020年05月07日 12:01  リアルサウンド

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『エール』写真提供=NHK

 コロンブスレコードのディレクター・廿日市(古田新太)、その秘書・杉山(加弥乃)、期待の新人・木枯(野田洋次郎)と「東京編」の人物が続々と登場した『エール』(NHK総合)第28話。自分の人生か、家族の幸せか。第29話では、音楽の道を諦めた裕一(窪田正孝)のもとにコロンブスレコードとの契約書を持った音(二階堂ふみ)が訪れる。


参考:朝ドラ『エール』第30話では、音(二階堂ふみ)らの思いを受け裕一(窪田正孝)が重大な決断をする


 留学の取り消しに加え、浩二(佐久本宝)からの積年の思いを知った裕一は、音楽の道を諦め、養子入りし権藤裕一になることを決めた。淡々と銀行の仕事をこなす裕一の目に覇気はない。一方、光子(薬師丸ひろ子)から「諦めちゃいかん」と喝を入れられ、レコード会社との契約を勝ち取った音は福島へ。そこで待ち受けるのが、音との結婚を反対していたまさ(菊池桃子)だ


「私は裕一の母です。厳しい世界であの子が傷つく姿をもう見たくない」。 


 頭を下げ、一筋の涙を流す音に、まさが突き返した言葉はあまりにも真っ当だった。裕一に音楽を捨ててほしくない、彼の才能は世界にも轟くと信じる音に対して、まさの考えは成功を求めて傷つくより、身の丈にあった幸せを掴んでほしいというもの。一歩も引かないまさは音に「どうかお引き取りください」と伝える。


 「やらずに後悔するより、やって後悔した方がいい」という安隆(光石研)がモットーとしていた関内家の教えに反して、まさはしきたりを重んじる考え方。音とまさが分かり合える日が来るのは、なかなかに遠いだろう。


 そして、音は川俣の教会で裕一と再会。コロンブスレコードとの契約書を見せるが、裕一の返事は「ありがとう。それだけで……」と歯切れの悪いものだった。そこに留学の取り消しの知らせを聞いた鉄男(中村蒼)もやってきて、一緒に東京に行き、互いに作詞、作曲をする夢の続きを見ようと説得する。


 さらに、裕一の心を揺さぶるのが、音の「救われたからよ。励まされたからよ。元気をくれたからよ。あなたに幸せになってもらいたいの。自分の人生を歩んでほしいの」という涙ながらの言葉だ。家族の人生、音の人生を思ってきた裕一の心へと深く突き刺さる。この音の言葉は、『エール』というドラマ、裕一と音の関係性を象徴したセリフである。


 けたたましいセミの鳴き声、轟く雷鳴。裕一を悩ますノイズは鳴り止むのか。(渡辺彰浩)


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