『TCRヨーロッパSIM Racing』開幕戦はヒュンダイのナジーがパーフェクト達成

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2020年05月07日 15:31  AUTOSPORT web

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『TCR Europe SIM Racing』の開幕戦スパ・フランコルシャンで大躍進を演じたダニエル・ナジー(ヒュンダイi30 N TCR/BRC Racing)
ハンガリー出身のダニエル・ナジー(ヒュンダイi30 N TCR/BRC Racing)が、先日に開催された『TCRヨーロッパSIM Racing』の開幕戦スパ・フランコルシャンで大躍進を演じ、プラクティスで最速を記録すると、予選、決勝2ヒートを完全制覇する“クリーンスイープ”を達成した。

 当初発表された25台のエントリーリストから3台減少の22台が集結した仮想スパを舞台に、TCRヨーロッパ・シリーズ初のヴァーチャル戦が5月2日(土)に開催された。

 人気レースシムの『Assetto Corsa Competizione(アセットコルサ・コンペティツィオーネ)』を採用した同イベントは、本物のシリーズに参戦するプジョー308TCRやルノー・メガーヌR.S.TCRなど、TCR規定ツーリングカーの主要車種を網羅。各イベント成績優秀者には、対応する現実のレースでもヨコハマタイヤ2セットが無償供給されるプライズも用意された。

 その記念すべき初戦で勢いを見せたのは、ハンガリー出身のWTCR世界ツーリングカー・カップ経験者ナジーだった。彼はプラクティスからベストタイムを奪うと、レース1に向けた予選でも幸先よくポールポジションを獲得してみせた。

 一方で、シリーズ実力者たちのうち何人かはシステム上のトラブルや諸問題に悩まされ、DG Sport Compétitionのオーレリアン・コンテ(プジョー308TCR)や、同じくプジョーのジュリアン・ブリシュ(JSB Compétition)などは、回線のラグが大きすぎたために予選通過を逃してしまう一幕も。

 またトム・コロネル(FK8ホンダ・シビック・タイプR TCR/Eat My Dust)やマーティン・ライバ(FK8ホンダ・シビック・タイプR TCR/Brutal Fish Racing)らも、システムの問題でレース1に遅れて合流する形になるなど、Simイベントに付きもののトラブルに見舞われた。

 そんなライバルたちの苦労を尻目に、2019年にも現実のスパでシーズン唯一の表彰台を獲得していたナジーは、スタートから順当にホールショットを奪うと、フロントロウに並んでいた同じハンガリー人のベンス・ボルディズ(セアト・クプラTCR/Zengő Motorsport)を引き離し、すぐに快適なリードを手にする。

 その後方では、WTCRレギュラーに昇格した2018年シリーズ王者のミケル・アズコナ(セアト・クプラTCR/PCR Sport)が1コーナーでジミー・クレーレ(プジョー308TCR/Team Clairet Sport)をかわし3番手に浮上、後方から迫るジル・マグナス(アウディRS3 LMS/Comtoyou Racing)と熾烈な表彰台争いを展開する。

 2台は8ラップスプリントの前半戦で好バトルを演じたものの、4周目のレ・コンブを抜けたところで接触し、最終的にアズコナはタマーシュ・テンケ(セアト・クプラTCR/Tenke Motorsport)に敗れ4位止まり。マグナスはトップ10圏外の11位に終わってしまった。これによりナジー、ボルディズ、テンケの並んだトップ3は、全員がハンガリー出身者という"eシリーズ強国"を体現するリザルトとなった。

 続いて前戦結果トップ12のリバースグリッドで争われたレース2は、名門Target Competitionのアンドレアス・バックマン(ヒュンダイi30 N TCR)がリバースポールに着き、アウディのマグナスが並ぶフロントロウに。

 するとヴァーチャルレースの最終ヒートらしくオープニングラップから荒れた展開となり、マグナスはふたたびの鬼門レ・コンブでホールショットを奪ったバックマンをバリアに押し出すと、その隙にアンドレイ・ステュデニック(FK8ホンダ・シビック・タイプR TCR/Brutal Fish Racing)が首位を奪い、テディ・クレーレ(プジョー308TCR/Team Clairet Sport)、マグナスと続くオーダーに。

 オープニングラップ最終セクターで意地を見せたマグナスが、ファーニュでアウトサイドから仕掛けて2番手を奪還すると、後方ではクレーレとマット・オモラ(ヒュンダイi30 N TCR/BRC Racing)が接触し、代わってアズコナが3番手に浮上してくる。

 続く2ラップ目のブランシモンにサイド・バイ・サイドで進入したクレーレとテンケのバトルがダブルクラッシュの結末になると、バリアに跳ね返ったマシンを避けようと後続も巻き込まれるマルチアクシデントに発展してしまう。

 一方の首位攻防は、アズコナがバスストップ・シケインでロックアップしたマグナスをパスし、勢いそのままに5周目には首位浮上に成功。コンマ6秒圏内でナジー、ステュデニック、テンケが続く4ウェイ・バトルが繰り広げられる。

 アズコナ対ナジーの優勝争いはお互いの出方を伺う神経戦の様相を呈すも、ファイナルラップを前にした7周目には、オールージュ〜ラディヨンの坂をテール・トゥ・ノーズで駆け上がったナジーが、スリップストリームを活用した教科書通りのオーバーテイクを決め、鮮やかにリードを奪っていった。

 そのまま最終周で1秒強のマージンを築いたナジーがレース2も制し、アズコナ、ボルディズのトップ3となり、ナジーはこの連勝で週末最高の90ポイントを獲得する完璧な滑り出しを披露するとともに、現実のTCRヨーロッパ・シリーズでも開幕戦で使用可能なヨコハマタイヤのエクストラセットを手にした。

 全7戦が予定される『TCRヨーロッパSIM Racing』シリーズ。続く第2戦はオーストリア・レッドブルリンクを舞台に、5月13日(水)に争われる。

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