桑田佳祐、ラジオで初披露した「Stay Home Blues」が各所で話題に!「我々はともにこの難局を乗り越えよう」

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2020年05月07日 18:02  リアルサウンド

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桑田佳祐

 サザンオールスターズの桑田佳祐が5月2日、自身がパーソナリティを務めるラジオ番組『桑田佳祐のやさしい夜遊び』(JFN系38局ネット)にリモート生出演し、新型コロナウイルスの感染拡大と、それによって長く続いている外出自粛による不安な日々に対する思いを歌った書き下ろし楽曲「Stay Home Blues」を披露し大反響を呼んでいる。さらに、番組中に届いたリスナーからの要望をひとつのきっかけとして、自宅で過ごすファンのための特別企画『Keep Smilin’〜“出来ることから”ちょっとずつ〜』がスタート。サザンオールスターズの楽曲と桑田のソロ楽曲のMVが、フルバージョンで30本以上公開された。


「新緑、風薫る……そんな清々しい言葉で表現される5月は、人々を表に誘う季節でございます。しかし、ステイホームで身動きが取れないいま、あなたの胸の内を表に出してみませんか」


 そんな桑田の言葉でスタートした、この日の放送。番組には多くのメッセージが寄せられ、冒頭には「今も街中に溢れる『2020東京オリンピック・パラリンピック』の文字に虚しさを感じてしまう」というリスナー、また『やさしい夜遊び』で桑田の声を聞くことが、外出自粛期間の何よりの楽しみで、「生きていればまた素敵な出会いが待っている」と希望を持ち続けるファンから「東京VICTORY」のリクエストが届いていた。先のサザンオールスターズ40周年ツアーでもオープニング曲になった、晴れやかで前向きな一曲をオンエアしたあと、桑田からは「負け戦には絶対にしないから、任せてよ」と心強い一言もあった。


「ステイホーム」の輪が広がるなか、貴重な“おうちエンタメ”となっている動画配信サービスでの映画視聴や読書の話題も盛り上がる。また、桑田はジャニーズ公式のYouTubeチャンネルで公開された動画「Smile Up ! Project 〜Wash Your Hands〜 木村拓哉」をきっかけに手洗いを徹底するようになったそうで、「石鹸が小さくなるのが楽しみになっちゃった。病みつきになっちゃってさ。キムタク、ありがとう!」とお茶目に語っていた。


 桑田の代行DJとして番組で数々の名シーンを残してきた住吉美紀アナの感染というニュースを心配するファンも多く、桑田も「住吉さん、待ってるからね」と回復を祈った。翌3日には退院という吉報が届き、ひとまず胸をなでおろしたリスナーも多かったことだろう。


 そして、桑田がこの日の午後2時ごろに作り始めたという「Stay Home Blues」の歌詞が朗読される。


 1番の歌詞は、〈我々は今日も大変な時代を生きている 我々は今日も不安な時代を生きている 治療薬もワクチンもないコロナ こんな時こそおうちにいましょう〉というもの。2番では疲弊する医療現場に想いを馳せ、〈我々はともにこの難局を乗り越えよう〉と歌う。一方で、3番では〈休めと言われて生活の補償はどうなるの 自粛しろと言われて仕事や従業員はどうなるの〉と、自粛の裏側で進む生活者の苦悩を訴え、4番では〈早く検査してほしい 症状の出ない僕たちも 早く検査してほしい 人に感染させないうちに〉と、早期の根本的な解決を願う。そして5番は、1番の歌詞を前向きに発展させた〈我々は今日も大変な時代を生きている 我々はともに不安な時代を乗り越えよう 治療薬もワクチンもないコロナ いつか笑顔になろうぜ〉というフレーズで、人々を勇気づけるものになっていた。


 「聴いてくれる? 大した曲じゃないんですけど」と、軽やかに紹介された「Stay Home Blues」。ブルージーなギターに乗せて、がなるように力強い桑田のボーカルがメッセージを届ける。ハンドクラップと「Stay Home」のコーラスに、ついラジオの前で拍手と声を合わせたリスナーも多かったのではないか。コロナ禍で立ち現れている不安も矛盾も、全て飲み込むようなパワーのある一曲だった。放送を受け、翌日以降、連日テレビのワイドショーやSNSで話題となっているが、多くの人が共感するメッセージをブルースとして歌える日本のアーティストは桑田佳祐以外にいないだろう。


 番組の最後に、リスナーからの印象的なメッセージが紹介された。「最近家にいると、テレビから『SMILE〜晴れ渡る空のように〜』が聴こえてきます。〈栄光に満ちた孤独なHERO〉は、医療従事者の皆さんや物流を支えてくださっている皆さん、今この瞬間も働いてくださっている全ての方々。〈世の中は今日この瞬間(とき)も 悲しみの声がする〉はまさに今のコロナ禍の状況。〈悪戯な運命(さだめ)にも 心折れないで でなきゃ勝利はないじゃん!!〉と、なんだか今の世の中に向けた人々の応援歌のように感じられ、桑田さんの言葉一つ一つが心に染み渡り、気持ちが軽くなる瞬間があります。いつかこの曲のタイトルのように、晴れ晴れとした日が訪れますように」


 そう、まだ新型コロナウイルスがこれほど猛威を振るっていなかった今年1月、「民放共同企画“一緒にやろう”応援ソング」として桑田が書き下ろした「SMILE 〜晴れ渡る空のように〜」が、すでに多くの人々を勇気づける応援歌になっていたのだ。この日オンエアされた名曲の数々、そして「Stay Home Blues」と、桑田がキャリアを通じて発信してきたメッセージ、どれだけの音楽ファンが救われているだろう。


 そして冒頭に記したように、リスナーから届いた「YouTubeにMVのフルバージョンを公開していただけないでしょうか」との声に前向きな姿勢を示し、翌日には「Keep Smilin’ 〜“出来ることから”ちょっとずつ〜」という企画を発表したスピード感。桑田佳祐というアーティストの懐の広さと、音楽が持つ力を実感させられる。


 「自粛期間を、いい機会かもしれないと捉えて、古い価値観のようなものを考え直すタイミングになればいいと思います」と桑田。最後は盟友・河村”カースケ”智康の60歳の誕生日(5月3日)を祝いつつ、「還暦も過ぎると、いろいろ耐えられたり、諦めたりできるけれど、本当に今の若い人たちの人生っていうのは、コロナが収束したら、本当に希望に満ち溢れているといいなと思うばかりです」と締めくくった。YouTubeでサザンと桑田のMVを楽しみながら、この苦境を乗り越えていきたい。(橋川良寛)


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