7年ぶりに農場に戻って来た羊、今は刈られてさっぱりと(画像は『CBC.ca 2020年5月8日付「Prickles the sheep was sheared for 1st time in 7 years, and ‘she took it very well’」(Alice Gray/Alice Bennett Photography)』のスクリーンショット) 7年前の森林火災の際に行方不明になった羊が、農場に戻ってくるという奇跡の出来事が起きた。無事に生き延びていたことはもちろん、7年かけて育った巨大な羊毛に驚きの声があがっている。『VT.co』『CBC.ca』などが伝えた。
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「何なのあれは!? とても大きいわ!」
オーストラリアのタスマニア島で4月10日、農家を営むアリス・グレイさん(Alice Gray)が6歳になった息子の誕生日を祝い農場敷地内でバーベキューをしていたところ、ダムの向こうに大きな白い塊が現れた。
「それが何かはわからなかったけど、義父が設置した夜間カメラにある日、大きなボールのようなふわふわとしたものが来て、レンズをのぞき込んでいたの。」
「だから外に巨大な生物がいる…ということはなんとなくわかっていたわ。」
白い大きな塊は羊毛が育ちすぎた羊で、実は以前から夜間カメラに映っており、戻ってくるような予兆があったという。アリスさんの夫はこの巨大な羊を追いかけ、やっとのことで隅に追いやってへとへとになりながらも捕獲に成功し、大人5人がかりで車にのせて連れて帰ったという。
羊毛のチクチクとした手触りから“とげ”を意味する「プリックルス(Prickles)」と名付けられたこの羊は、リタイアした羊たちが暮らす一角で余生をゆっくりと過ごす予定だ。
プリックルスは2013年の森林火災の際に行方不明になった羊と見られ、焼け落ちた柵の復旧時に農場裏の柵の外にいたものの火災で倒れた木に阻まれしばらく身動きがとれなかったのではないかとアリスさんは推測している。数千頭の羊を飼うアリスさん一家だが当時、そのうちの1頭がいなくなったことに気付いていなかったそうだ。
このプリックルスが7年ぶりに元の農場に戻ってきたニュースは、世界中で報道され注目を集めた。
そこで注目度を利用して何かできないものかと考えたアリスさんは「プリックルスの羊毛重量あて大会」と称し、チャリティーイベントを開催することにしたのである。5月1日にクラウドファンディングサイト「MyCause」を通じて開始されたイベントでは「25kg」「105kg」などの予想が飛び交う中、プリックルスの羊毛は13.6kgと見た目よりだいぶ軽く、ギネス記録の42.45kgにはおよばなかったようだ。チクチクとした外側に反して、内側の羊毛は真っ白くふわふわでとても軽かったとアリスさんは説明している。
同イベントにはこれまで297人が参加し、12,817豪ドル(約89万円)の募金が寄せられている。なお集まった募金は国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)に全て寄付するとアリスさんは表明しており、国連機関は今回刈り取ったプリックルスの毛皮から何か製品を作り上げてオークションで販売する予定とのことだ。
アリスさんは一連の出来事について「悲しいニュースばかり流れているから、そんな時こそこういう喜ばしいニュースが必要だわ!」と語っている。
画像は『CBC.ca 2020年5月8日付「Prickles the sheep was sheared for 1st time in 7 years, and ‘she took it very well’」(Alice Gray/Alice Bennett Photography)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 YUKKE)