女性不妊の要因および不妊治療法に新たな展望が開ける

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2020年05月13日 11:01  妊活・卵活ニュース

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卵母細胞の成熟に影響する遺伝子
エストニア研究評議会(Estonian Research Council)は、「Scientific Reports」にて、卵母細胞の成熟において、3種類の遺伝子が複雑な役割を担っていると発表した。

研究チームは、6年以上に亘って、主に女性ホルモン合成および卵胞の発育に関与する遺伝子に関する研究を行っている。今回、3種類の遺伝子には、卵母細胞が成熟するうえで、これまで推測されていた以上に大きな影響力があることが判明した。

これまで、これらの遺伝子はタンパク質を生成することは確認されていたが、今回、タンパク質に加えて、標的遺伝子との結合による低分子RNA(マイクロRNA)の生成が認められた。低分子RNAは、女性の生殖において極めて重要なプロセスを担い、卵母細胞予備能・ホルモン分泌・排卵を維持する。

卵巣機能に関する新たな発見は、より正確に女性不妊を診断し、不妊治療を発展させるうえで重要になる。

卵母細胞の成熟と排卵時の放出
卵母細胞の成熟、排卵に伴う放出には、卵母細胞と顆粒膜細胞(卵子を取り巻く細胞)など卵巣にある細胞の間において、双方向性シグナル伝達が必要となる。卵母細胞は排卵前まで卵胞(卵巣にある卵子を含む球状の細胞集合体)に存在し、排卵時に卵胞が裂けて、成熟した卵母細胞(卵子)が卵管に放出される。

特定の期間、卵母細胞と顆粒膜細胞など卵子にある細胞は、シグナルを交換する。卵巣の顆粒膜細胞は、胚(受精卵)が子宮壁に着床して妊娠初期まで生存するうえで不可欠なホルモンを分泌する。それゆえ、卵胞刺激ホルモン受容体(FSHR)とアロマターゼとなるタンパク質2種類の生成・機能が求められる。

卵胞刺激ホルモン受容体は、脳下垂体(鼻の奥にある小さな器官)から卵巣刺激ホルモンのシグナルを受け取り、卵胞の成長と顆粒膜細胞の増殖を促進させる。アロマターゼは、顆粒膜細胞にあるステロイドホルモン「エストラジオール(女性ホルモン)」の生合成に重要な酵素である。

遺伝子の突然変異や再編成、タンパク質の生成異常が生じた場合、卵巣は機能しない。卵母細胞が未成熟なまま、卵巣から放出されず、女性不妊の要因となる。

(画像はScientific Reportsより)

Scientific Reports

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