「障がいがあってもあなたはそのままで美しい」 世界に1つしかない人形を作る女性(米)<動画あり>

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2020年05月14日 20:11  Techinsight Japan

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自分とそっくりの人形を抱えるザカリア君(画像は『A Doll Like Me 2019年3月20日付Facebook「(shared with permission from this little guy’s mommy)」』のスクリーンショット)
「障がいはユニークな個性であり、その子の美しさである」―そんな気持ちを伝えるべく今から約5年前、アメリカに住む女性が世界に1つしかない人形を作り始めた。手作りの温かい人形にこだわり、世界中の子供たちに笑顔を届ける女性の話題を『Upworthy』『Bored Panda』などが伝えている。

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米ウィスコンシン州ウォーキシャ郡ニューベルリン在住のエイミー・ジャンドリセヴィッツさん(Amy Jandrisevits、46)が、世界に1つしかないオリジナル人形「ア・ドール・ライク・ミー(A Doll Like Me)」を作り始めたのは、今から5年前のことだった。

もともと小児腫瘍科のソーシャルワーカーとして働いていたエイミーさんは、市販の人形で患者のセラピーを行っていた。しかしその人形を使って、四肢を切断した子に「あなたは手足がないけど、みんなと同じように美しいのよ」と説いても説得力がなかった。そこで裁縫が得意だったエイミーさんは、セラピー用に車椅子に乗ったり、傷や痣があったり、手足がない患者とそっくりの人形を自分で作ることにしたのだ。

そんなある日、エイミーさんは友達から「脚を切断した女の子がいるんだけど、彼女と同じように脚がない人形を作ってくれないかな」と依頼を受けた。これがエイミーさんのプロジェクト「ア・ドール・ライク・ミー(私とそっくりの人形)」の最初の作品となり、評判が評判を呼び、その後2か月間で200体の人形の注文が舞い込んできた。自宅のダイニングルームがエイミーさんの作業場になった。

エイミーさんはあくまでも手作りにこだわっており、「コンピュータで送ってもらった写真をじっくり観察し、手紙を読んでその子のことをよく知ってから手作りで制作するの。時間はかかるけど、人形には私の感情がいっぱい詰め込まれているのよ」と明かしている。ちなみにエイミーさんのSNSには、人形と一緒に微笑む子供たちの写真や動画が多数投稿されているので、そのいくつかを紹介したい。

最初の写真は顔に腫瘍があるザカリア君(Zachariah)で、ちょうどこの人形を手にした6歳頃から「自分が人とは違う」ことに気付き始めたそうだ。ザカリア君の母親は「息子は人形を自分の一部のように思っているの。一緒にいると安心するようで、とても大切にしているわ」と語っている。

2枚目はシリアの内戦で顔の左半分に火傷を負い耳を失ったジュリアちゃん(Joulia)だ。この人形を手にした時、ジュリアちゃんは困惑した様子で「どうしてこの人形は普通と違うのか?」と聞いてきたという。母親が「あなたとそっくりに作られているのよ」と説明すると、ジュリアちゃんは自分の身体と人形を見比べて笑顔を見せ、「明日幼稚園に持っていくわ」と嬉しそうに話したそうだ。エイミーさんは「この子の写真を見た時、目を背けることができない色々な現実が見えてきたの。この人形がこの子の心に平和をもたらしてくれることを祈っているわ」と綴っている。


3枚目は皮膚が硬化してひび割れてしまう難病「道化師様(ハーレクイン)魚鱗癬」を患うアンナちゃん(Anna)だ。エミリーさんは人形制作がきっかけでアンナちゃんと会う機会があったそうで「彼女のことが大好きなの」と明かしている。


4枚目は顔の奇形、レット症候群、第1型糖尿病を患っていたソフィアちゃん(Sophia)である。ソフィアちゃんは昨年5月に亡くなってしまったが、きょうだいはこの人形をソフィアちゃんだと思って大切にしているそうだ。


5枚目は全身の色素が欠乏する「アルビノ(先天性色素欠乏症)」を患うコンタン姉妹(Contant)で、中国から養子として迎えられた。母親は「娘のようにアジア系で、白い髪に青い瞳を持つ人形を探すことができなかった」と語っており、自分たちにそっくりな人形を手にした姉妹はとても喜んでいるという。


6枚目は四肢を失った少女で、名前は明らかにされていない。エイミーさんは「この子の笑顔を見ると、私も笑顔になっちゃうの」と述べており、写真に米絵本作家ドクター・スース(Dr.Seuss)の名言を添えている。

「今日という日、君は君なんだよ。これは真実よりも確かなこと。 君よりも君らしい人なんて、この世には存在しないんだから。」


なおエイミーさんが開設したクラウドファンディングサイト「GoFundMe」のページによると、現在は人形1体約100ドル(送料込み)で制作しているとのこと。ただ事情があって支払いができない場合には、寄付などで賄っているとのことだ。またこの春には「ア・ドール・ライク・ミー」が非営利団体として認定され、エイミーさんは「私のゴールは全ての人形を、必要な子に無料で提供できるようになること。人形は子供たちを癒し、元気を与える素晴らしい力を持っているんですから」と述べている。



画像は『A Doll Like Me 2019年3月20日付Facebook「(shared with permission from this little guy’s mommy)」、2020年1月15日付Facebook、2020年5月11日付Facebook「“Today you are you that is truer than true. There is no one alive who is you-er than you.”」、2019年5月7日付Facebook』『Amy 2019年10月20日付Instagram「A couple weeks ago I talked about empathy....」、2020年1月1日付Instagram「Sweet Anna」、2020年5月6日付Instagram「Repost from @nataliecweaver」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 A.C.)

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