コロナで消えた「2020年春トレンド」 実は超重要なシーズンだったその中身は?

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2020年05月15日 17:52  Fashionsnap.com

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コロナで自粛が続くアパレル、ファッション業界。一部では徐々にアポ制で営業を再開するところも出てきましたが、これから並ぶのはサマーシーズンのアイテムが中心。コロナ禍ですっぽりと抜けてしまった「2020年春のトレンド」ですが、実は見逃すことのできない重要な兆候が現れたシーズンでした。ポイントは、ストリートからエレガンスへの回帰。

 コロナ前まではとにかく押されていたストリート。この勢いが続くと思われていましたが、実は2020年春はエレガンスへの回帰が顕著に現れたシーズンでした。それまではモードとストリートの融合が大トレンドだった各ブランドのコレクションがジャケットを中心に多様なエレガントを打ち出すなど、原点回帰したというのがポイント。今期はジャケットなどを使ったフォーマル、エレガンスをキーとしたスタイルを打ち出すショップも多くランウェイだけでなく自粛で閉鎖された店頭のショーウィンドウでもその傾向が見て取れました。ただ、カラフルな色味、デニムやスニーカーを合わせるなど「脱コンサバティブ」な着回しも見られ、エレガンスオンリーではなくストリートの余韻を残す提案も根強かったです。
「バックコンシャス」も見逃せないトレンド。バックオープンは、胸元や肩出し、ヘソ出しと比べて上品に肌を見せられるため、取り入れやすいところがポイントです。背中が開いたトップスやボウタイを後ろに垂らしたアイテムのように、今期は背面のデザインに凝った商品が多いのも特徴でした。フォーマルなカクテルドレスに多用されるこのディテールにも今季のエレガンス回帰の動きが見て取れます。
 春シーズンのキーカラーは淡いトーンのシャーベットカラーがトレンド。ただ、「マメ(Mame Kurogouchi)」や「バレンシアガ(BALENCIAGA)」などがメインカラーにヴィヴィッドなグリーンを採用するなど、色に関しては濃淡のどちらかに寄る傾向が見られました。特にトレンドを反映しやすいTシャツの色使いでは、より鮮明にブランドごとのスタンスが分かれる結果に。ヴィヴィッドな色味の場合は、グリーンとネオンイエローを打ち出すのがトレンド。赤やブルーなども綺麗な色だしにこだわりハッとするような鮮明な印象を残すブランドが多かったです。Tシャツは季節を問わないアイテムのため、夏もこのトレンドが継続しそうです。

 柄はボタニカルやアニマルのモチーフが流行り、「セリーヌ(CELINE)」ではカラフルな花のモチーフを刺繍したデニムパンツが登場するなど細かい柄よりもやや大振りなものが人気でした。さらに大人が取り入れやすいように淡い色で染めたタイダイ柄のアイテムなど去年ではあまり見かけることのなかった柄も見られ、一斉を風靡したバンダナ柄の次を狙う動きが出ています。レースやオーガンジーが多かったのも見逃せない部分。チュールを多重にしたドレスや、シアーな生地にペイントを施したブラウスなど、肌が透けることで奥行きのある立体感を演出する素材使いが特徴でした。レースやチュール、シアー素材は薄手の羽織としても使えるので、こちらも今夏まで人気が続きそうです。 
 自粛のため手にとって確かめる前に終わってしまった2020年の春ですが、振り返ってみると長く続いたストリートトレンドからエレガンス回帰に動いた重要なシーズンでした。国内アパレル企業のなかには、未消化の春物在庫を秋に投入する計画を立てる企業も出始めています。エレガンス回帰の流れは始まったばかりで、夏、秋、冬を通して徐々にマス層に浸透していくという見方もできるため、今回の幻の春トレンドが秋のトレンドになる可能性も十分ありそうです。
日本を代表するショッピングストリート表参道(緊急事態宣言が発令された翌日、4月8日に撮影)Image by:FASHIONSNAP.COM

このニュースに関するつぶやき

  • トレンドは現場で起きてるんじゃない!会議室で作ってるんだ!とファッションに詳しい人が言ってた。
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