新たな精子選別方法により体外受精が改善される

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2020年05月16日 20:01  妊活・卵活ニュース

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安全かつ正確な精子選別方法
テルアビブ大学の研究チームは、「Science Advances」にて、高速で動く精子細胞を安全かつ正確に特定できる3Dイメージングを開発したと発表した。

既存のイメージング技術では、精子がもつ遺伝物質を調査する際、胚に損傷を与えるリスクが伴う。また、これまで、精子選別にはより正確な基準はなく、主に、女性の体内環境とは非常に異なるディッシュ内を泳ぐ精子の外的特徴と運動性にて選別している。

一方、新たな技術では、体外受精プロセスにおいて最も質の高い精子を選別でき、卵子に注入できる。3Dイメージングにより、体外受精による妊娠・出生率が向上すると期待される。

精子選別における課題
体外受精のうち、顕微授精(ICSI)は最も一般的な治療であり、良好な運動性および正常形態をもつ精子を選別し、卵子に注入する。健康な胚(受精卵)に成長するうえで、精子選別が極めて重要になる。

自然妊娠の場合、遊泳速度の速い精子が卵子に辿り着き、受精できる。運動性の高い精子は、受精能力が高く、質の高い遺伝物質をもつといわれる。高い精子運動率によって、卵管の狭い部分を通り抜け、卵管の先端にある卵子まで到達できる。

しかしながら、現在、不妊治療において、自然妊娠に倣って精子の質を自然に選別することは不可能である。精子細胞は遊泳速度が速く、通常の光学顕微鏡下では透明である。

体外受精による妊娠・出産率の向上に
今回の研究では、完全に新しいタイプのイメージング技術の開発を追求した。個々の精子細胞に関して可能な限り多くの情報を提供し、コントラストの強調を理由とした細胞の着色を行わず、不妊治療の受精に最適な精子を選択できる可能性をもつ方法を模索した。

研究チームは、弱い光によるコンピューター断層撮影(CT)技術を用いて、精子細胞のイメージングを実現した。精子は小さく、頭部を回転させながら遊泳する。超高速で泳ぐ精子細胞のホログラムを弱い光を使用して記録し、屈折率に応じて内部構造の特定に成功した。

3Dイメージでは精子の運動性や構造をより正確に、動的かつ立体的に把握でき、今後、男性不妊の原因特定、精子と卵子の受精率向上につながると期待される。

(画像はTEL AVIVより)

TEL AVIV

Science Advances

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