ビール飲みながらの「在宅勤務」が日課に…バレたら「解雇」される?

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2020年05月17日 09:51  弁護士ドットコム

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新型コロナの感染拡大により、一部の職種では在宅勤務がすっかり定着した。オンラインでの会議などがあっても、それ以外の時間は監視の目は緩む。自己管理がこんなに長期間にわたって必要となった時期も、過去にはなかったはずだ。


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当初は緊張感をもって働いていても、脱落し始めた人もいる。3月上旬から在宅勤務となった都内のメディア関連企業で働くC子さん(30代女性)は、仕事の際にビールを飲むのが日課になってしまったという。



「元々、アルコールは強いほうで、ビールならジュースみたいなものです。ただ問題はそれが日課になってしまったこと。ビデオ会議が入っていない昼は、昼前からビールを飲んでいることもあります…」



C子さんはお酒にも強く、顔にも出ないため、ビールを1、2缶程度であれば、仕事にも支障はなさそうにもみえる。しかし、C子さんも「通常通りの勤務だったら絶対に飲まないですよね」と話すとおり、後ろめたい行為であるはずだ。



もし仮に勤務時間中の飲酒が発覚した場合、労働者は懲戒処分となる可能性はあるのだろうか。労働問題に詳しい佐藤正知弁護士に聞いた。



●「誠実労働義務」に違反する

「緊急事態宣言を受け、他人との接触8割減を目標とされて家に閉じこもっている毎日ですから、ストレスも溜まるでしょう。つい昼からビールに手が伸びる気持ちも分からないではありません。



しかし、会社に出勤して仕事をしていた時、飲酒は許されていたのでしょうか。認められていなかったはずです。勤務時間中の飲酒は、接待等業務上の必要性がある場合でもない限り、労働契約法にも定めのある『誠実労働義務』に違反します。



テレワークでも、仕事の合間や仕事中に飲酒すれば、誠実労働義務を履行したとは言いがたいでしょう」



ーー勤務中ではなく、昼休み中だったら、どうでしょうか



「休憩時間の行動は自由です。しかし、そのまま酒気を帯びて業務に従事することになりますから、誠実労働義務に違反するでしょう。



水のようにワインを飲む文化も素敵ですし、ビール1杯くらいむしろ仕事がはかどると言う上戸もいます。



しかし、上戸、下戸にかかわらず、飲酒量に応じて血中アルコール濃度は上昇します。酒気帯び運転が厳しく取り締まられていることからも分かるように、酒気を帯びていれば、注意力が散漫になり、ミスも起こすのです」



●就業規則上の「勤務態度不良等」の懲戒事由に該当

ーーもし会社に発覚した場合には、懲戒処分となり得るのでしょうか



「誠実労働義務違反とされると、就業規則上の勤務態度不良等の懲戒事由に該当し、懲戒処分となります。職業運転手等は別として、勤務時間中の1回の酒気帯びでいきなり懲戒解雇となると処分が重すぎ無効とされる可能性が高いですが、戒告処分等は覚悟しなければなりません。



ただし、テレワークの場合、事業場外のみなし労働時間制が適用される可能性があります。



会社の指示により携帯やパソコン等を常時通信可能な状態におくこととされておらず、実際に会社から随時具体的な指示も受けていなければ、この制度により、所定労働時間労働したものとみなされます。



本来の始業時刻と終業時刻に縛られることもないため、仕事をさっさと片付ければ、その後に昼から飲酒していたとしても、所定労働時間労働したものとみなされるのです。



いずれにせよ、アルコール依存症にならないよう注意しましょう」




【取材協力弁護士】
佐藤 正知(さとう・まさとも)弁護士
神奈川県弁護士会所属。2017年度神奈川県弁護士会副会長。労働者側の労働事件を中心に取り扱う。日本労働弁護団常任幹事。神奈川過労死対策弁護団幹事長。過労死等防止対策推進全国センター幹事。著書「会社で起きている事の7割は法律違反」(共著・朝日新聞出版)等。
事務所名:横浜法律事務所
事務所URL:https://yokohamalawoffice.com/


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