ダルビッシュもMLBに痛烈な言葉。新開幕プランに2つの大きな問題

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2020年05月18日 17:42  webスポルティーバ

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 コロナショックの中でシーズン再開を模索し続けるMLBの動きが、ここにきて急加速している。

 5月上旬、「最短で6月10日にトレーニングキャンプを再開し、7月4日のアメリカ独立記念日前後に無観客での開幕を目指す」と、米国内の複数のメディアが報道した。5月11日にはMLBと30球団のオーナーがこのプランを承認し、選手会との話し合いが始まっている。

 これまでは、アリゾナやフロリダといったキャンプ地、広大なテキサスに全チームを集めた”一極集中開催”が検討されていると伝えられてきた。定期的に情報がリークされたのは、あえてアイディアを表に出し、選手、関係者、ファンの反応を見る目的があるのではないかと思えた。

 依然として全米の多くの都市でロックダウンが続く中、かなり具体的な日程が出されたことに驚いたファンも少なくないだろう。前述どおり、今季のMLBは開催できるとしても無観客ゲームが基本線。米メディアによると、それ以外にも以下のように細かいアイディアが出されているという。

・ポストシーズン枠は各リーグで「5」から「7」へ
・レギュラーシーズンは82試合
・政府の許可が下りた州の本拠地開催
・両リーグでDH制使用
・他地区のチームとは対戦しない(リーグの違いを超え、同地区のチーム同士が対戦する)
・ロースターは従来の26人から30人に拡大され、約20人のマイナー選手が昇格に備えて準備

 これらの提案は、それぞれ理にかなっていると思える。当初に考案された一極集中ではなくても、同地区のチーム同士の試合だけならば、移動での感染リスクは低くなる。家族と離れ離れになる隔離政策に難色を示したとされる一部の選手も、この方向性ならば納得するかもしれない。

 シーズン中の試合数は通常の半分にする一方で、プレーオフの出場チームを増やすというのも興味深い試みだ。短めのレギュラーシーズン、より厚みのあるプレーオフを短期間に挙行することで、例年以上にカジュアルなスポーツファンの興味を惹くことも可能だろう。

「安全面と経済面で必要なことが解決し、選手会と合意できる自信を持っている」

 5月14日、CNNの番組に出演したMLBのコミッショナー、ロブ・マンフレッドはそう述べた。今後、リーグと選手会の話し合いが順調に進めば、早い時期にシーズンを開幕できるかもしれない。

 ただ、一応のガイドラインはできたものの、実際に開幕まで辿り着けるかどうかには懐疑的な見方もある。超えなければならない壁は多く、とくにネックになっているのは”安全面”と”マネー”。MLBと選手会の話し合いが始まって以降、選手たちから続々と厳しい意見が出てきている。

 5月11日には、ナショナルズのリリーフ左腕、ショーン・ドゥーリトルが連続ツイートを投稿。コロナ禍中にプレーすることでの健康面の対策に疑問を呈した。

「選手、家族、チームスタッフや球場で働く人たちのための安全対策や、シーズン開幕に必要な労働力など、MLB再開のプランの中でもっとも重要な部分が飛ばされてしまったように感じている」

 シーズンを強行すれば濃厚接触の機会は避けられない。「感染した選手がいたら、隔離してシーズン続行すればいい」と周囲が言うのは簡単だが、当の選手たちにとっては命に関わりかねない問題だ。PCR検査の機会の確保、感染後の対策など、まだ明確になっていない部分を現場の人間が不安に思うのは当然だろう。

 5月15日には、カブスのダルビッシュ有も「どうしてもプレーして欲しい人たちはリスクが選手に比べて極めて低く、お金は儲けられる人たち」「実際に自分や家族を犠牲にして戦うのは選手や現場スタッフ」「MLBの選手たちは闘犬とほぼ同じ状況だと思う」と、ツイッター上で痛烈な言葉を残した。オーナーやリーグ関係者に対し、同じように考えている選手は少なくないはずだ。

 また、MLBが選手会に提出した最新案には、「チームと選手が総収入を50/50で分け合う」という項目が含まれており、この部分にも選手側の猛反発があることは確実だ。

 もともとMLBは、3月に年俸の60日分を保証し、行なわれたゲーム数に比例する金額を払うことで合意していた。ところが無観客ゲームになったことで、両サイドに食い違いが生じ、リーグは新たに”50/50プラン”を提示(収入が折半になった場合、選手の給与はゲーム数による日割りよりも「4割程度カットされる見込み」との報道も)。この動きに対して、すでにトレバー・バウアー(レッズ)、ブレイク・スネル(レイズ)といったビッグネームが不満を示しており、交渉は難航が予想される。

「多くのハードルが残っているのは明らかだが、選手会、コミッショナー、チームは誠実で率直な話し合いと交渉を行なっている。地元のレストランがテイクアウトをしているように、誰もが適応の術を見つけなければいけない。我々のリーダーたちも方法を見つけてくれると信じている」

 ヤンキースのブライアン・キャッシュマンGMは5月14日、支援金を集めるチャリティ活動のビデオ会見でそんな楽観的な言葉を残した。しかし、試合の挙行や出場が、最終的には個人の裁量に委ねられる格闘技などとは違い、団体競技では関係者全体の意思を統一させることがより難しくなる。今夏の開幕に向けて時間も限られているため、着地点を見つけられるかは微妙かもしれない。

 未曾有な事態に陥った年として間違いなく人類の歴史に刻まれる2020年、アメリカでベースボールは行なわれるのか。MLBは健康面で十分な対策を提示し、同時に金銭面でも合意できるか。MLBコミッショナーのマンフレッドは、シーズン中止なら各球団の損失は40億ドル(約4400億円)に達すると発言しており、影響は計り知れない。そんな厳しい事態を避けるべく、リーグ、選手会の話し合いが佳境を迎える向こう2、3週間が、極めて重要な時間になる。

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  • 戦争もそうだが、自分は安全な所にいて利益だけ得ようとする奴が一番やりたがる。
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