《新型コロナ》猛毒タイプ、そして第2波・第3波を迎え撃つ「夏の備え」

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2020年05月20日 16:00  週刊女性PRIME

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週刊女性PRIME

扇風機でウイルスは吹き飛ばせる?

「100年前に日本を襲ったスペイン風邪も2年間に3回の波があり、第2波で多くの死者が出ました。今回の新型コロナも、秋以降に来るであろう大きな波が猛毒化している可能性があります」

 と説明するのは、渡航医学が専門の関西福祉大学の勝田吉彰教授。

 39県の「緊急事態宣言」が解かれ、残る東京、大阪などの大都市圏も解除される見通しの昨今、それに伴う“ゆるみ”が懸念されている。

より猛毒性があるウイルスが日本に来たら……

 NPO法人『医療ガバナンス研究所』の上昌広理事長は、

「いったんおさまった韓国ではクラスターがあり、中国の武漢でも1か月半ぶりに感染者が出てきています。すでに第2波が始まっている可能性がある」

 と警告する。東京・品川区の感染症専門医『KARADA内科クリニック』の佐藤昭裕院長は、

「ある数理モデルによると、一気に規制を解除すると、わずか2週間で感染がもとの状態に戻ってしまうといわれていますので、徐々に解除していったほうがいいし、私たちも気を引き締めたいですね」

 と注意を促す。

 今回の新型コロナは高温多湿に強くないため、夏場には活動が弱まるようだが、完全になくなるわけではない。

 どのような形で、私たちに再び襲いかかってくるのか─。前出の上理事長はこんな見立てをする。

「欧州や米国東海岸(ニューヨークなど)の大西洋を隔てて広がるエリアのコロナと、アジアや米国西海岸(ロサンゼルスなど)の太平洋エリアのものでは、感染力も死亡率も大きく異なります。

 同じコロナウイルスでも種類が違う可能性が高い。より猛毒性があると思われる大西洋タイプが入ってきたら、これまでの対策ではもたないでしょう」(上理事長)

 新型コロナで子どもの足などが赤く腫れる川崎病のような症状や血栓ができる症状は、海外では報告されているが日本はまだ。つまり、日本人にとっては未知の種類である可能性もあるのだ。

 グローバル化した世界ならではの感染拡大の懸念を前出の勝田教授が示す。

「日本などの北半球はこれから気温が上がり感染拡大は減り、南半球は逆に感染が増える可能性があります。今後の自粛の解除によって人の行き来がまた増えれば、南からウイルスが侵入することがありえます」

 ウイルス学が専門の日本医科大学の北村義浩特任教授も、

「最初は暑さには弱いといわれていたけれども、南半球のシンガポールやオーストラリアでも発生した。また、味覚や嗅覚の異常もあとから報告されるようになったように、わからなかったことが多い。今後も未知の症状が出てくることも十分に考えられる。私は日本国内の新型コロナも、県や地域によって違う種類なのではと見ています」

 と語る。先の佐藤院長も、

「実際に感染が拡大しないとわかりませんが、ウイルスは変異していく特性があるので、より凶悪化していくおそれもあります」

 と、やはり警戒する。

今後の3密以外の夏対策

 では、次にくる大きな波のために、国や自治体はどういう対策を立てるべきか─。

「今回のような感染者数や死亡者数だったのは、妥当だったのかは検証や反省をしてみなければなりません。日本はPCR検査が他国に比べ圧倒的に少なく、検査をせずに回復した方や亡くなった方が多いはずで、実態がつかめていません」(北村特任教授)

「保健所の強化や呼吸器系の医療従事者の確保が必要だと思います。今回は、ぎりぎりのところで医療崩壊を食い止めたといえると思いますが、次回はさらに過酷な状況になれば病院は混乱します」(佐藤院長)

 そんな危機を招かないためにも、私たちはどう心がければいいのだろうか─。

「やはり今回、経験して得たことが基本です。手洗い、マスク、そして“3密”を避ける、ソーシャルディスタンスを保つ、不要不急の外出をしないこと。それに免疫力のためにも、睡眠を十分にとることです」(佐藤院長)

 外出先の店舗や施設にも工夫が必要とは北村特任教授。

「小売店などは店頭に消毒液を用意し、マスクをしない人は入れない。店内に10人以上は入れないなど、コストはかかりますが、そういうことを日常的にやることですね」

 巣ごもりやテレワークで私たちの日常生活は大きく変化したが、消費経済ジャーナリストの松崎のり子さんはこうアドバイスする。

「予想以上に景気が悪化しているため、夏のボーナスが半減、あるいは出ない中小零細企業もあるはず。そうなると、ボーナスで多めにローンを払っている人もいるので、家計は苦しくなります。そこはレジャー費や飲み代などの接待費が減っているはずなので、ローンのために貯蓄しておいたほうがいいですね

 さらに、こんな注意点も指摘する。

「夏場のエアコンや水回りの修理が必要な家庭は、早めに点検して依頼したほうがいいです。修理業者も現在、時短になっているので、すぐに対応できないこともあります」

 松崎さんは、“3密”や人との接触を避けるために、買い物について、こんな習慣づけを夏の間にしておきたいと提案する。

「昔あった御用聞きのようなシステムがあれば理想ですが、現代であれば電子マネーでの支払いや、ネットで注文して店舗で受け取るだけのシステムなども、これを機に試して慣れておきたいですね」

 スマホやパソコンに疎くなりがちな高齢者には簡単なことではないが、前出の北村特任教授からはこんな提言も。

「諸外国に比べ日本の高齢者の死亡者数が少なかったのは、外出や孫と会うことを控えた努力の賜物だと思います。高齢者は症状が急速に悪化するおそれがあります。次の波に備えて、味覚・嗅覚がおかしくなったら行く病院など症状別にあらかじめ決めておいたほうがいいでしょう」

 自粛要請が解かれると同時に外出して、今までのうっぷんを一気に晴らしたいところだが、その前に次なる感染拡大に備えたい。

【識者PROFILE】
◎KARADA内科クリニック 佐藤昭裕院長 
東京都品川区西五反田1−2−8 FUNDES五反田10階
電話……03-3495-0192

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  • とりあえず2週間から1月くらい様子見かな?
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