この建物、女性しかいない…コロナ禍で気づく日本の性差別はホラー状態

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2020年05月26日 16:00  AERA dot.

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写真写真はイメージです(c)Getty Images
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 作家・北原みのり氏の連載「おんなの話はありがたい」。今回は、新型コロナウイルス感染拡大で気づいた「性差別」について。北原氏は、多くの職場の隅々に性差別が行き渡っていると訴える。

【写真】性差別の実態はホラーだと訴える北原みのりさん

*  *  *
「今、この建物、女性しかいなくないですか……?」

ホラーな感じだが、今、大都市のあちこちで起きている現象かもしれない。

 先日、友だちがこんな話をしてくれた。彼女の職場は正社員のほぼ全員がテレワークだが、かかってくる電話の応対や、紙を使用する仕事など、組織を回す仕事に一部のスタッフがリアル出社している。そしてそのほとんどが、非正規雇用の女性なのだという。彼女自身が週3回出社する契約社員だ。

 広い社内、普段は男女半々の組織だと思っていた。けれど緊急事態宣言以降、廊下ですれ違う顔の多くが女性か男性警備員という世界になった。シーンとした室内で仕事をしているとき、普段フェミな話など全く興味を示さない女性が「何なのこの状況!?」という感じで話したのが冒頭の言葉だ。

 またこれは別の非正規雇用の友人の話。その会社は非正規・正規の区別なくほぼ全員がテレワークだが、もちまわりでリアル出社するのは、独身女性が多いという。「軽い用事を頼みやすいのだと思う」と彼女は言った。

 2018年、東京医科大学の入試差別問題が発覚した。その理由は「女性は妊娠・出産等で男性医師とは同じように働けない」と語られた。盗人猛々しい……とあきれる思いだったが、驚いたのは、そもそも2016年に厚生労働省による「医療従事者の需給に関する検討会」で、30〜50代の男性医師の仕事量を「1」とした場合、女性医師を「0.8」として計算していたことだった(ちなみに60代以上の男性医師も0.8だった)。なんと国の上の方で、女性の労働力を低く見積もっていたのだ。残念なのはこの数字に対し、7割超の医師が「妥当」と考えていたことだ(医療関係者のためのメディアm3.comの2017年調査参照)。それが現場のリアルな感覚なのかもしれないが、私の友人の産婦人科医師は、「女は男の3倍働かないと認めてもらえない」と嘆いていた。

 行政がお墨付きを与えた女性の労働力=男性の0.8という数字。そこには、男性医師の多くに、彼の衣食住を支える「専業主婦」がいることも考慮されず、ただただ女性が「産む性」であるために、差別が正当化されてしまっている。そして、こういう「考え方」は、決して医療界に特化したものではないのだろう。

 安価な労働力として使われる非正規雇用のほとんどが女性である現実。そしてそういう立場の人たちこそが、ウイルスのリスクにさらされてしまう過酷。医療現場でも看護師はほぼ女性が占めている。男性と同じ社会的地位、同じ給料、同じ特権を求めることができない女性ジェンダー化された職種もある。介護、保育……といったケアの仕事も、決して高所得ではなく、テレワークのできない仕事で、主に女性に担われてきた。多くの職場の隅々に、性差別が行き渡っている。

「今、この建物、女性しかいなくないですか……?」

 性差別の実態はホラーなのだと思う。恐怖ギリギリ、いつ絶叫が放たれるか分からない緊張状態だ。安倍政権は、「女性を輝かす!」と軽々しいアピールをしてきたが、女性は磨くものではない。男性が邪魔をしないように、職場環境や男性の古い考え自体を新しく磨きなおすべきなのだ。

 コロナ禍で日本のホラー状態に気づかされた人は少なくない。変えていくために一歩一歩、磨かせてもらおう。

このニュースに関するつぶやき

  • 女性だ男性だと騒ぐより非正規社員が正社員と同一労働してるのに同一賃金じゃないとかを問題視しな さいよ。ただ正社員が重い責任で働いてる職場だと非正規雇用でも何とも思わないけどねw
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  • 「コロナ禍で日本のホラー状態に気づかされた」改めて、マスゴミと野盗の酷さをホラーだと思いましたよw いや国難ですねw
    • イイネ!52
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