目玉選手に行くべきか否か… ドラフトの「一本釣り」は成功している?

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2020年05月26日 16:00  AERA dot.

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写真埼玉西武が“一本釣り”に成功した森友哉 (c)朝日新聞社
埼玉西武が“一本釣り”に成功した森友哉 (c)朝日新聞社
 ドラフト会議の世界では“一本釣り”という言葉がある。1位指名の最初の入札で他球団と重複することなく、その選手の交渉権獲得に成功することだ。人気が集中する選手を避ける逃げの姿勢と見られることもあるが、他球団の動向を読み切って情報戦に勝利した結果と言えるケースもある。そこで今回はそのような一本釣りの成功率は果たして高いのか検証してみたいと思う。

【写真】「平成で最もカッコいいバッティングフォーム」はこの選手!

 2005年に導入された高校生、大学生・社会人の分離ドラフトが再統合された2008年以降、一本釣りでプロ入りした選手は43人。ちなみに長野久義、沢村拓一、菅野智之(いずれも巨人)の三人は巨人以外の球団は入団拒否という姿勢を示しており、大谷翔平(日本ハム)はメジャー行きを表明していたという事情もあるため、今回の対象からは外した。また、昨年のドラフトで指名された森下暢仁(広島)と森敬斗(DeNA)もまだプレーしていないため除外している。この合計6人を除いた37人について現時点での結果で分類すると以下のような結果となった。

■一本釣りでプロ入りした選手(2008年〜2018年):37人

・リーグを代表するクラス:7人
筒香嘉智(2009年横浜)
今宮健太(2009年ソフトバンク)
森友哉(2013年西武)
岡本和真(2014年巨人)
今永昇太(2015年DeNA)
吉田正尚(2015年オリックス)
山岡泰輔(2016年オリックス)

・チームのレギュラークラス:15人
大野奨太(2008年日本ハム)
荻野貴司(2009年ロッテ)
今村猛(2009年広島)
大野雄大(2010年中日)
野村祐輔(2011年広島)
十亀剣(2011年西武)
武田翔太(2011年ソフトバンク)
吉田一将(2013年オリックス)
中村奨吾(2014年ロッテ)
高橋光成(2014年西武)
多和田真三郎(2015年西武)
今井達也(2016年西武)
大山悠輔(2016年阪神)
東克樹(2017年DeNA)
松本航(2018年西武)

・レギュラークラス未満:15人
赤川克紀(2008年ヤクルト)
岩本貴裕(2008年広島)
木村雄太(2008年ロッテ)
甲斐拓哉(2008年オリックス)
中崎雄太(2008年西武)
古川秀一(2009年オリックス)
伊藤隼太(2011年阪神)
福谷浩司(2012年中日)
野村亮介(2014年中日)
山崎福也(2014年オリックス)
松本裕樹(2014年ソフトバンク)
岡田明丈(2015年広島)
桜井俊貴(2015年巨人)
藤平尚真(2016年楽天)
寺島成輝(2016年ヤクルト)

 37人中22人がチームのレギュラー以上になっている。また、現時点ではレギュラークラスではない選手の中にも今後飛躍が期待できる選手は含まれている。それを考えると成功率は約6割と言えるだろう。ただこれが高いか低いかは、抽選のすえ入団した選手、また2回目以降の入札で指名されたいわゆる“外れ1位”の選手と比較する必要があるだろう。それぞれの結果を並べてみると以下の通りとなった。

■1度目の抽選でプロ入りした選手(2008年〜2018年):25人

・リーグを代表するクラス:5人
菊池雄星(2009年西武)
松井裕樹(2013年楽天)
大瀬良大地(2013年広島)
石川歩(2013年ロッテ)
有原航平(2014年日本ハム)

・チームのレギュラークラス:6人
大田泰示(2008年巨人)
藤浪晋太郎(2012年阪神)
東浜巨(2012年ソフトバンク)
高橋純平(2015年ソフトバンク)
高山俊(2015年阪神)
柳裕也(2016年中日)

・レギュラークラス未満:14人
松本啓二朗(2008年横浜)
野本圭(2008年中日)
大石達也(2010年西武)
斎藤佑樹(2010年日本ハム)
藤岡貴裕(2011年ロッテ)
安楽智大(2014年楽天)
平沢大河(2015年ロッテ)
田中正義(2016年ソフトバンク)
清宮幸太郎(2017年日本ハム)
中村奨成(2017年広島)
田嶋大樹(2017年オリックス)
藤原恭大(2018年ロッテ)
根尾昂(2018年中日)
小園海斗(2018年広島)

■抽選で外れた後の1位指名でプロ入りした選手(2008年〜2018年):62人

・リーグを代表するクラス:2人
山田哲人(2010年ヤクルト)
山崎康晃(2014年DeNA)

・チームのレギュラークラス:20人
岡田俊哉(2009年中日)
塩見貴洋(2010年楽天)
榎田大樹(2010年阪神)
安達了一(2011年オリックス)
松永昂大(2012年ロッテ)
石山泰稚(2012年ヤクルト)
増田達至(2012年西武)
渡辺諒(2013年日本ハム)
加治屋蓮(2013年ソフトバンク)
岩貞祐太(2013年阪神)
小林誠司(2013年巨人)
野間峻祥(2014年広島)
浜口遥大(2016年DeNA)
堀瑞輝(2016年日本ハム)
村上宗隆(2017年ヤクルト)
鈴木博志(2017年中日)
辰己涼介(2018年楽天)
近本光司(2018年阪神)
上茶谷大河(2018年DeNA)
甲斐野央(2018年ソフトバンク)

・レギュラークラス未満:40人
巽真悟(2008年ソフトバンク)
藤原紘通(2008年楽天)
蕭一傑(2008年阪神)
二神一人(2009年阪神)
中沢雅人(2009年ヤクルト)
戸村健次(2009年楽天)
中村勝(2009年日本ハム)
須田幸太(2010年DeNA)
福井優也(2010年広島)
後藤駿太(2010年オリックス)
伊志嶺翔大(2010年ロッテ)
山下斐紹(2010年ソフトバンク)
北方悠誠(2011年横浜)
武藤好貴(2011年楽天)
松本竜也(2011年巨人)
川上竜平(2011年ヤクルト)
白崎浩之(2012年DeNA)
松葉貴大(2012年オリックス)
高橋大樹(2012年広島)
杉浦稔大(2013年ヤクルト)
柿田裕太(2013年DeNA)
鈴木翔太(2013年中日)
竹下真吾(2014年ヤクルト)
横山雄哉(2014年阪神)
オコエ瑠偉(2015年楽天)
小笠原慎之介(2015年中日)
上原健太(2015年日本ハム)
原樹理(2015年ヤクルト)
佐々木千隼(2016年ロッテ)
吉川尚輝(2016年巨人)
加藤拓也(2016年広島)
安田尚憲(2017年ロッテ)
鍬原拓也(2017年巨人)
近藤弘樹(2017年楽天)
斉藤大将(2017年西武)
馬場皐輔(2017年阪神)
吉住晴斗(2017年ソフトバンク)
吉田輝星(2018年日本ハム)
高橋優貴(2018年巨人)
清水昇(2018年ヤクルト)

 1度目の抽選でプロ入りした選手は25人で、そのうちレギュラークラス以上になっているのは11人。平沢、清宮、藤原、根尾、小園などは今後レギュラーになる可能性が高いため、彼らを含めれば16人になるが、それでも成功率は64%と一本釣りで入団した選手と比較してもそれほど高くないという結果になった。

 一方、抽選で外れた後の1位指名でプロ入りした選手は62人で、レギュラークラス以上になっている選手は22人となった。オコエ、小笠原、安田、吉田など高校卒でこれからまだ成長が期待できる選手はいるものの、抽選や一本釣りでプロ入りした選手と比べると、やはり成功率は低い。“外れ外れ1位”の山田がフューチャーされることが多いが、やはりこのような例はそうあるものではないことがよく分かるだろう。

 またポジションやカテゴリーでも傾向が見えてくる。一本釣りで成功している選手は筒香、今宮、森、岡本、吉田正尚と圧倒的に野手が多いのだ。抽選の結果プロ入りして、リーグを代表する選手となっている5人全員が投手であるというのとは対照的だ。また抽選を外した結果指名した選手でレギュラーとなった顔ぶれを見てみると、榎田、安達、松永、石山、増田、加治屋、小林、鈴木博志、近本と社会人出身の選手が圧倒的に多い。

 その年によって当然状況は異なるが、近年の傾向から見ると一本釣りであれば野手を狙い、抽選で外した場合には社会人に向かう、という方法が成功率の高い手段と言うこともできそうだ。このような視点でドラフトを見ることも、また一つの楽しみ方と言えるだろう。(文・西尾典文)

●西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行っている。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

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  • オリのまさたか一本釣りは加藤編成部長が大反対押し切ったからこそよ。山岡一本釣りは大ブーイングでおれ何があかんねんて書いたらめっちゃ叩かれたわ(笑)息してるか反対した奴(笑) https://mixi.at/a8ugmgh
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