国内野球リーグ強行のニカラグアでコーチが死亡…野球界にも新型コロナの被害者が

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2020年05月26日 21:54  ベースボールキング

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写真フェイスマスクをして試合に出場していたニカラグアナショナルリーグの選手(新型コロナウイルスに関する対策がとられぬまま試合が行われていたニカラグア)
フェイスマスクをして試合に出場していたニカラグアナショナルリーグの選手(新型コロナウイルスに関する対策がとられぬまま試合が行われていたニカラグア)
◆ コーチがコロナの犠牲に

 中米のニカラグアで野球のコーチが新型コロナウイルスの影響で死亡したことが、地元紙『ラ・プレンサ』で報じられた。長らく反米左派のオルテガ政権の支配が続くこの国だが、ラテンアメリカでは数少ない「野球国」であり、1年を通して野球が行われている。

 野球人気の割には、国際大会ではあまりその名を見ないが、1984年のロサンゼルス、1996年のアトランタと、オリンピックには2度出場。第3回(2013年)と第4回(2017年)のWBCも予選には参加していた。ウインターリーグ復活後は年々力をつけ、現在のWBSCランキングは15位と、プレミア12を十分に狙える位置にいる。

 今回、新型コロナウイルスにより死亡したのは、国内リーグのチーム、「サンフェルナンド」でコーチを務めていたカルロス・アランダ氏。59歳だったという。現地時間の先週16日に入院し、21日に死亡した。「コロナウイルスによるすべての症状」が出たというから、呼吸器疾患により死亡したものと思われる。


◆ ニカラグアの野球事情

 1年を通して気温が高いこの国では、プロリーグとして2004年に11月に復活したウインターリーグがあるが、2月から10月にもアマチュアの国内リーグ『ポマレス(Pomares)』が行われている。「アマチュア」と言っても、選手・指導者には政府から報酬が支払われ、全国各県にチームがあるポマレスは、太平洋岸の4都市にしかチームのないウインターリーグに匹敵する人気を誇っている。

 ウィンターリーグの選手もポマレスでプレーしているが、その中にはベネズエラ出身で日本の独立リーグ、ルートインBCリーグでのプレー経験もあるウィリアンス・バスケス(日本での登録名はウイリー)も含まれている。アメリカのマイナーやイタリアでのプレー経験もあるバスケスは、2012年に石川ミリオンスターズに入団したが、打率.254、ホームランなしに終わり、19試合の出場で日本を去った。

 日本ではあまりなじみがないが、サッカーが人気を席巻している中南米にあって、アメリカの事実上の支配を受けた経験のあるこの国では、野球人気がサッカーのそれをはるかに上回っている。

 国立スタジアムと言えば、サッカーのできる競技場が相場のこの地域にあって、首都マナグアにある国立スタジアムは最新鋭のボールパーク様式の野球場だ。その球場には、この国出身の最初のメジャーリーガーで、1984年の日米野球でボルチモア・オリオールズの一員として来日したデニス・マルチネスの名が冠せられている。

 また、メジャーリーグ・ファンには、ラテン系選手のアイコンで、この国に地震が起こった際、救援物資を運ぶ途中に事故で帰らぬ人となったプエルトリカン、ロベルト・クレメンテの名を思い浮かべる人もいるだろう。彼の名は、現在、マサヤという町のスタジアムにその名を留めている。このマサヤに本拠を置くのが、今回亡くなったアランダコーチが所属していたチーム「サンフェルナンド」だ。


◆ 目立ったコロナ対策は実施されず…

 今年の国内リーグ・ポマレスは、コロナ渦がまだ太平洋を渡る前の2月に前期シーズンが開幕。コロナの脅威が中米にも迫った後も続行され、上位チームによる2次リーグを経てプレーオフに突入していた。

 ブラジルと同じく、この国では目立ったコロナ対策は実施されず、国内リーグも観客を入れて実施され、各球場は連日大入り状態。その一方、オルテガ大統領自身は長らく公の場に姿を見せず、国外メディアから批判を受けていた。

 それでも国際航空便が一時ゼロになるなど、事実上の「国境封鎖」状態にもなったせいか、コロナ感染者の数は周辺諸国より少なく、外務省の感染症危険情報では、メキシコや隣国のホンジュラスより下位のランク2「不要不急の渡航は止めてください」となっている。

 しかし、4月末時点の患者数が、政府発表の3人に対し、市民団体発表の数字は316人と大きく違っており、政府はコロナ患者数のほとんどを「肺炎」患者にカウントしているのではないかという疑惑も浮上。そのような中で起こったアランダコーチの死に対し、父親は「自分の息子はコロナのすべての症状を示していた」と発言し、リーグ戦を中止しなかった野球連盟を批判している。

 全国で緊急事態宣言が解除され、無観客ながらプロ野球の開幕日も決定。通常の生活を少しずつ取り戻そうとしている日本だが、まだまだ完全終息に程遠い。コロナの脅威を自覚せねばならないことは、肝に銘じねばならないだろう。


文=阿佐智(あさ・さとし)

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  • 日本もこうならなければいいが。ファンとしてNPB開幕は嬉しい面もあるが、本当に大丈夫か? https://mixi.at/a8u9QaO
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  • 1980年にFSLN政権を敵視したレーガンがアメリカ合衆国大統領に就任するとニカラグアを「西半球のガン」と呼んで憚らなかったレーガンは旧ソモサ軍(国家警備隊)
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