君はAmazonプライムビデオに溢れる“謎映画”を知っているか? 「カメラは止めない!」「何か」「黒可能打開白皿」

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2020年05月29日 19:08  ねとらぼ

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ねとらぼ

写真Amazonプライムビデオの「謎映画」たち
Amazonプライムビデオの「謎映画」たち

 Amazonプライムビデオをご利用の皆さん、ご存知でしょうか? 広いプライムの海に眠る謎の映画たちを……。



【画像】ジャケットを見る



 前回の記事で紹介したように、Amazonプライムビデオには絶妙に安っぽいサムネイルの「謎映画」があふれています。ほとんどの人に観られないどころか、存在にすら気付いてもらえない「謎映画」たち。そんなのかわいそうですよ。『パラサイト 半地下の家族』や『ジョーカー』が教室でデカイ顔をしている中、この映画たちは寝たふりしながら休み時間を過ごしているのです。



 というわけで今回も、数うちゃ当たると言わんばかりに次から次へと追加される謎の映画たちをレビューしていきたいと思います。何から観ようかな〜〜〜!!



・「サバイバル・フォレスト」



 わーうれしい! 一発目から引き当ててしまいました。大駄作じゃないすか。B級映画をディグって得られる喜びは、人知れぬ傑作との出会いだけではありません。Z級と巡り合える喜びもあるんですよ。



 「サバイバル・フォレスト」は人間狩りスリラーです。バックパッカーのカップルが、行方不明者の続出する山で殺人鬼に遭遇するお話。至ってシンプルなプロットだけに、作り手の力量不足がモロに浮き彫りになっています。とにかく尺を稼ぎたいのか何なのか、命を狙われているはずの主人公がやたらと休憩するんですよ。ホラー映画の主人公史上、最も休憩した男ではないでしょうか?



 一方のハンターはとにかく貧弱で、そのうえ主人公に携帯電話をプレゼントする謎の優しさを持ち合わせています。「ヒロインをさらった」という犯人からの電話を聞きながら休憩し始める主人公には笑いました。全シーンに違和感を覚えるすごい映画です。



 映画あるあるとして挙げられる“主人公に銃弾当たらなすぎ問題”に対し「犯人がクソエイムだから」というシンプルな回答を提供するなど、辛うじて工夫の跡も見られる本作。間違いなく駄作ではありますが、どこか憎めない作品でした。ネタとして楽しむくらいなら意外とアリではないでしょうか。



・「何か」



 お次はアメリカ製のサスペンス・ミステリーです。家の中だけで完結し、ほとんど主人公2人の会話によってのみ物語が進んでいく典型的な低予算映画。画変わりの無さは好き嫌いの別れるところかとは思いますが、それでも決めるところはパキっと決めていて、これぞインディーズ映画という趣があります。



 物語は産後うつに悩まされる主人公とその夫。2人で支えあいながら育児を続けていたある日、家の中に侵入者の気配を感じ……といった内容。



 個人的には、あまり長編向きの題材ではなかったような気がします。前述の通り映像は決まっているので「つまんね〜」とはならないものの、かといってストーリーでグイグイ引っ張るパワーもありません。主に2人の会話で物語が進んでいくわけですが、本題と関係ないセリフが多くて次第にだれてきます。「お風呂先に入ってくれば?」くらいのしょうもない会話を何度も重ねるんですよね。リアルと言えばリアルですけど、カットしてもバチは当たらないんじゃないの?



 ただしオチはかなり好きでした。きっちり伏線も回収されるので、ミステリーとしては十分成立していると思います。低予算映画を楽しむポイントは過度な期待を捨てることですよ。



・「用心棒の男」



 当たりです! 当たりを引きました! これ面白かった! 日本に入ってくることは珍しいベネズエラ産の犯罪映画です。ベネズエラにこんなクセの強い犯罪映画があるなんて、うれしい発見でした。



 大富豪ディエゴとその息子を含む、合計4人の死体が発見される。警察はディエゴの用心棒をしていたディマスという男を第一容疑者として手配するが……という導入。このディマス(=用心棒の男)を軸に、回想シーンで物語が進んでいきます。



 最初は「はえ〜わるくないじゃん」とケツをかきながら鑑賞していたんですが、中盤を過ぎてからは急展開! 3人の容疑者を監禁する主人公! そして拷問! さらにそれぞれ食い違う証言が回想シーンで再現され……と、バイオレンス&ミステリーの色が一気に強くなります。これはうれしい誤算でした。



 少々乱暴というか雑な部分もありますが、お国柄も出ているし、ベネズエラのご当地映画としても意義のある作品だと思います。一風変わった犯罪映画を観たい方にはオススメです。



・「金貨の伝説」



 お次はこちら。アメリカ製のPOVホラーです。



 とある荒野にて、複数の首無し死体が発見される。落ち目のテレビプロデューサー・ダニエルは、その荒野にナバホ族の財宝が眠ると信じ、クルーを引き連れ現地でドキュメンタリー番組の制作に取り掛かるが……。といったもの。ちょっと設定がややこしいんですけど、要するに殺人事件をテレビのネタとしか思っていないクソプロデューサーにクルーたちが振り回される話です。そして一人、また一人と犠牲になっていくわけですが……。



 ドキュメンタリー番組の撮影というテイで進んでいく点は面白かったです。「町の人にインタビューしてみましょう」なんつって、いかにもなおじさんに話しかけたら「おまえらバチがあたるぞ」なんて怒られちゃう。普通のホラーなら超ありがちなテンプレですけど、ビデオカメラ越しに見ると少し新鮮だなあ、という。



 ただし面白いのはそこだけで、お話自体はとんでもなくつまらない。見栄えが良いので最初はごまかされちゃいましたが、だんだん気付いちゃうんですよ。「なんてどうでもいい話なんだ」って。真犯人の正体にもまったく捻りが無い(隠そうとすらしてない)し、動機も何だそりゃってレベル。こんな映画でナバホ族の名前を出していいのか……?



 残酷描写もかなり抑えめで、ショック演出もイマイチ決まっていない、ホラー映画としても首をかしげてしまう一作でした。



・「ゾンビ・ホロコースト」



 ニュージーランド製のゾンビコメディです。B級ゾンビ映画の撮影現場に雑用として派遣された、脚本家志望の主人公。監督以外まったくやる気のない現場で雑用として振り回されていたら、なんと本物のゾンビが。――それでも、カメラは止めない!



 ジャケットの宣伝文句から配給会社も自覚しているようですが、あの大ヒット和製ゾンビ(?)映画「カメラを止めるな!」との類似点が見られる作品。まあ似てると言ってもゾンビ映画の撮影中に本物のゾンビが〜のとこだけですけどね。



 で、肝心の中身はというと……面白かったです。B級映画を愛するボンクラが集まって撮ったような気持ちのよい作品。ギャグがつまらない代わりにグロ描写いっぱいだし、少しテンポが遅い代わりに巨乳ギャルが登場するし、欠点を補って余りある長所のおかげで、まったく嫌な気持ちになりません。「こいついっつも遅刻してくるけどスゲーいい奴なんだよな〜」みたいな友達いるじゃないですか。それです。息切れしながら走ってきてシャツのボタンが掛け違えてるみたいな、それです。



 手放しに褒められる内容ではありませんが、それでも勧めたくなるパワーがある素晴らしい作品。「これぞB級!」な趣きなので、そういったジャンルに触れたことの無い人にはぜひ鑑賞してみてほしいですね。



・「ロレーナ」



 南米産のサスペンスドラマです。



 認知症の母親、恋人との破局、上司との確執など日々のストレスに耐え続けているヴィクトリア。不幸な出来事は重なるもので、ある日から“ロレーナ”という別人宛ての借金督促の電話が自分にかかってくるように。「私はロレーナではない」と訴えるもむなしく、とうとう差し押さえの通告をされてしまい……。



 いまいち消化不良な作品でした。主人公の鬱屈とした日々の生活を描くヒューマンドラマと、前述の“ロレーナ”問題を描くサスペンス要素がどうにも乖離してしまってるんですよね。



 別人として扱われてしまった主人公が、それをきっかけに自分という存在とあらためて向き合っていく……みたいな展開が自然だと思うんですが、そうはならない。かといってミステリー的な楽しみ方もできないんですよ。間違いなく手違いでロレーナ扱いされてることが早々に分かっちゃうので……。



 楽しみ方が分からず、最後まで釈然としない映画でした。映画としてのクオリティーはしっかり保たれているのが逆にモヤモヤします。一体何だったんだろうな、これは。



・「ヘルゲート 地獄の門」



 西暦2179年、人間と悪魔やミュータントが共存する時代。サンフランシスコ・ベイエリアのミュータントの居住区では、人間がミュータント同士を戦わせる違法賭博が横行していた……。



 やばい映画です。一言で表すならばクソ映画なんですが、ちょっと次元が違いました。さっきは無責任に「Z級と巡り合える喜び」なんて書いてしまいましたが……すみません。ごくまれに笑いすら出てこないレベルの大事故に遭うこともあります。



 まず2179年感が一切ありません。未来感のある描写といえばレーザー銃くらいのもので、そのCGも20年前の作品と勘違いするクオリティ。拳銃でいいです。「ミュータントと共存する時代」という設定はSFっぽく聞こえますが、変なマスクを被った犬人間が1人か2人登場するだけ。期待するファイトクラブ的描写もほとんどありません。



 とはいえ、広げた大風呂敷が一切機能していないクソ構成はB級映画ならよくあること。序盤はへらへら笑いながら観ていたのですが……。タイトルにもある「地獄の門」が登場してからは、まさに地獄でした。電波な展開の連続に理解が追い付かず、笑うことすらできない惨状に……。



 あ、地獄に入った登場人物が普通に歩いて帰ってきたあと、向こうで捕まえた虫を自慢するところは面白かったです。「地獄にいた虫を拾ってくんなよ!」というツッコミは作中で唯一共感できるセリフかもしれません。



 ここまでひどい映画は久々観ました。なぜか地獄の門に「黒可能打開白皿」って漢字で書いてあるのも意味不明だったな……。理解できる自信のある方はぜひ鑑賞してみてください。



 今回は7作品ほど鑑賞してみました。個人的なオススメは「用心棒の男」「ゾンビ・ホロコースト」ですね。特に「用心棒の男」は、映画好きの方にこそオススメしたい逸品です。



 Amazonプライムに眠る謎の映画たち。前回の記事と合わせて14本ほど鑑賞してみましたが、面白いといえば面白いけど絶賛するほどでもない、ひどいっちゃひどいけど酷評するほどでもない、そんな半端な映画が多い印象です。しかし、だからこそ強烈な作品に当たった喜びは何にも代えがたい。やっぱり映画を掘ることはやめられませんね。



 ……こうやって自分の趣味を正当化していくことが大切です。



<城戸>


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