トイレや食事、洗濯は? もし家族がコロナに感染したら

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2020年05月30日 09:00  AERA dot.

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写真拭き掃除は素手で。終わったらしっかり手洗いを。手袋は脱着時にウイルスがつくおそれがあるので着けないほうがよい (Getty Images)
拭き掃除は素手で。終わったらしっかり手洗いを。手袋は脱着時にウイルスがつくおそれがあるので着けないほうがよい (Getty Images)
 家族が新型コロナウイルスの感染者、もしくは濃厚接触者(以下、当事者)となったら、家の中でどのように接したらよいのか。基本のキとは、これまでずっと言われている「接触感染」と「飛沫(ひまつ)感染」を防ぐという二つ。つまり、マスクと手洗いだ。しかし、同じテーブルで食事は、洗濯ものを一緒に洗うのは、食事のメニューは……。感染のリスクを減らすために知っておくべきことは多い。ぜひ参考にしていただきたい。

【実験でウイルスを不活化させた市販の家庭用洗剤はこちら】

 では、接触感染のリスクが高いトイレや入浴、食事など、生活に欠かせないところの対策は、どうしたらいいのだろうか。

【トイレ】一つしかないときは、当事者が使用した後は必ず消毒液(後述)で拭き掃除を。ドアノブやトイレットペーパーホルダー、便座も拭く。便からもウイルスが検出されているため、流すときはフタをする。二つ以上ある場合は、当事者と家族で分けられるので、1日1回の拭き掃除でよい。

【入浴】当事者は最後に入る。浴室より気をつけたいのは脱衣場や洗面所。ここも使用後は消毒液で掃除を。入浴だけでなく、洗顔や歯磨き後も拭く。

【食事】お盆にのせて当事者がいる部屋の中側に置く。食べ終わったら同じ場所に置いてもらい、持ち帰ったらお盆ごと台所のシンクに入れる。持ち帰る際に、ドアノブなどを触らないように注意する。家族の食器と一緒に台所用洗剤で洗っても問題はない。

【洗濯】基本的な考え方は食器と一緒。当事者が着た衣類はまとめて洗濯機へ入れる。家族の衣類と一緒に洗ってもよい。ポイントは、衣類を洗濯機に入れた後、扉を閉める前に手を洗うこと。これで扉の表面へのウイルス付着を防げる。

 接触感染予防に欠かせない消毒液について、国立病院機構東京病院の感染症科部長の永井英明医師は、

「アルコールか、使用の目安にそって薄めた次亜塩素酸ナトリウムのどちらかを」

 とアドバイスする。次亜塩素酸ナトリウムとは家庭用漂白剤などの原料になっている成分で、スーパーやドラッグストアなどで普通に売られている。

「作り置きはせず、1回で使い切るように作りましょう」(永井医師)

 新型コロナは一般的な家庭用洗剤でもしっかり除去できる。北里研究所・北里大学の「COVID−19対策北里プロジェクト」の実験で明らかになった。

 プロジェクトでは、市販の家庭用洗剤のうち、エタノールや界面活性剤を含んでいて、ウイルス消毒効果が期待できる製品について、ウイルスを不活化(死滅させたり、感染性を失わせたり)できるかを、試験管による実験で評価した。

 実験を行った北里大学の片山和彦教授は言う。

「一般のご家庭で不安なく、新型コロナ対策を取っていただけるよう、製品名を公開しました。今回の結果を参考にして、手洗いや食器洗い、洗濯、トイレ掃除などに、効果の確認された製品を、使用説明書に書かれた用途に応じて使っていただければ、消毒は可能です。アルコールの入手が難しい今、アルコール消毒にこだわる必要はありません」

 留意点もある。公表した製品では不活化が認められたが、同一成分の他の製品も同じように効果があるかは、不明だ。実験を行っていないものもある一方で、同じような成分でも不活化が認められなかったものもあったからだ。

 ちまたには、ウイルス除去効果があるかのような表現をして販売している、いわゆる“違法”(効果をうたうと医薬品医療機器法違反になる)製品がないわけでもない。

「そうした宣伝には惑わされず、一般的な製品を適正な価格で買い求めてください」(片山教授)

 これまで列記してきた家庭での新型コロナ対策は、症状がない人でも同じと考えていただきたい。

 クルーズ船ダイヤモンド・プリンセス号の船内を調査した国立感染症研究所の報告書によると、無症状の感染者が使用していた部屋からもウイルス遺伝子が検出されていた。せきなどの自覚症状がなくても、意識していないうちに飛沫などでウイルスは周辺に付着している可能性がある。

 そう考えると、家族が留守だからといって居間でテレビを見たり、ソファでくつろいだり、といった行為は禁物だ。少なくとも保健所や医療機関の許可を得られるまでは、家族との接触を控え、トイレ、風呂など必要最低限の行為以外は、部屋で過ごしてもらいたい。

 最後に当事者や当事者と生活する家族の食事のポイントを、管理栄養士の足立香代子さんに聞いた。

「どんな食事がよいかと考えるときに参考になるポイントは大きく二つ。体調が悪いか、悪くないかです。体調がよいときは免疫力を上げる食事を、体調が悪いときはなんとか口にできる食事を考えます」

 前者は、たんぱく質多めの食事を。単一の食材ではなく、肉や魚、卵、大豆製品、乳製品を組み合わせる。もう一つはカラフルな野菜をとることだ。

「たんぱく質は運動不足により体力を落とさないために必要。赤や黄色などの緑黄色野菜には、免疫力を上げるビタミンが豊富に含まれています。見栄えも良くなるので、部屋にこもってストレスがたまりがちな当事者の癒やし効果も期待できます」(足立さん)

 一方、後者ではその状況に応じた食事を提供する。

 例えば、食欲不振のときは少し塩分が濃い料理が望ましい。塩が胃酸の分泌を増やしてくれるからだ。かむのがつらいときは汁物、あるいはかまずにすむ雑炊や麺類にする。

 新型コロナ感染症の代表的な症状である、味覚異常に対しては、見栄え重視の料理で、目でおいしさを感じてもらう工夫を。

「この時期ですから、ゼリーやドリンクといった栄養補助食品も使いましょう。特に、体重が落ちてくるようなら、エネルギーとたんぱく質がしっかり取れる栄養補助食品を利用して。インターネットなどで購入できると思います。それが難しいときは、油を料理に足すことでエネルギーを増やすこともできます」(同)

 家庭内に感染が疑われる人がいると、買い物もしにくい。だが、厚労省によると、家族が食材を買いにスーパーなどに行くことには自粛を促していない。

「ただ、家族も濃厚接触者です。外出時は必ずマスクをして、スーパーに置いてあるアルコールで手指消毒を。入店時だけでなく、帰るときにも使ってください」(前出・永井医師)

 こうした対策は一見、大変そうだが、インフルエンザや食中毒などの感染症予防にも通じる。永井医師は、「身につけた感染対策は強い武器だと思って、つらく大変な時期を乗り越えてください」と話す。(本誌・山内リカ)

※週刊朝日  2020年6月5日号より抜粋

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