コロナで調停ストップ「離婚したくても、できない」 再開未定で、不安な日々続く

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2020年05月30日 09:41  弁護士ドットコム

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新型コロナウイルスの感染拡大を受け、全国の裁判所で裁判期日の取り消しや延期が相次ぎました。離婚調停もまさに影響を受けており、弁護士ドットコムニュースのLINEには不安や心配の声が複数寄せられました。


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離婚調停中で夫と別居中という女性は、3月の離婚調停で「婚姻費用」を決める予定でした。しかし、話が進まないまま新型コロナの感染拡大が広がり、現在、夫からは勝手に決められた金額が振り込まれているそうです。



女性は現在パートが休業中。そのため、子どもの学費や生活費が支払えるのか不安な日々が続いており、「今後どうしていけば良いのかわかりません」と訴えています。



同じように離婚調停が止まってしまったと言う神奈川県の40代女性も、「離婚したくてもできない」と訴えています。「知らぬ間に相手が不動産を処分して姿を消さないか心配。早く決着をつけたい」ともどかしい気持ちで過ごしています。



なかなか調停が進行しない場合、何かできることはあるのでしょうか。下大澤優弁護士に聞きました。



●期日再開の連絡が来ていないものも

ーー新型コロナウイルスの感染拡大を受け、裁判所の事件進行にも大きな影響が生じました。緊急事態宣言が解除されましたが、今はどのような状況ですか



私の事務所所在地を管轄する仙台地方裁判所・家庭裁判所においても、4月16日に緊急事態宣言が全国に拡大されたのを受け、4月20日以降に指定された期日が一部の例外を除き取り消されました。



記事を執筆している5月28日時点では、緊急事態宣言の解除にともない、仙台地裁・家裁では「5月19日以降に指定された期日を予定どおり実施すること」と周知されています。



また、一度取消しとなった期日についても、裁判所から個別に新たな期日を調整する旨の連絡が来ています。私が担当している事件に関していえば、家事調停事件・民事訴訟事件いずれについても、裁判所から期日再開の連絡が来ています。



とはいえ、事件の一部については、いまだ期日再開の連絡が来ていないものもあります。



この点は、裁判所の担当部、裁判体ごとの判断と考えるほかなく、統一的な基準も見受けられません。裁判所から連絡がない当事者の方々は、大変不安な日々を過ごしておられるかと思います。



●当事者間で協議を進めてしまう手もある

ーー特に、離婚事件の場合、事件が進行しなければ不安定な生活が続き、経済的な不安を抱えている人も多いようです



このような状況の中、どのようにメンタルコントロールをすればよいのかは非常に難しい問題です。「いずれは事件が再開する日が来ます」などと申し上げても、当事者の方々の不安は解消されないでしょう。



不安の根本は、(1)事件が一向に進まない、(2)経済的な問題も生じつつあるという点にあることが多いでしょうから、このような問題をできるだけ取り除くことが不安解消に有効かと思います。



(1)の問題については、裁判所の期日を待たず、当事者間で事実上協議を進めてしまうという解決策があります。



特に調停事件の場合、手続のベースは当事者の協議にあるのですから、当事者間で事実上協議を進めることも不可能ではありません。ただし、DV事案等の場合、当事者間で事実上協議を進めることは避けるべきです。



当事者双方に代理人弁護士が就いている場合には、双方の代理人弁護士が協力しあい、より円滑に協議を進めることも期待できます。



●経済的な不安はどう解決する?

ーー経済的な問題について、何かできることはありますか



(2)の問題については、経済的な不安がひっ迫している場合、「婚姻費用分担の仮処分」を申し立てることが有効な解決策です。これは、最終的に婚姻費用分担額が決定する以前に、仮の婚姻費用分担額を裁判所に決めてもらう手続です。



裁判所も、婚姻費用分担の仮処分など「保全事件」については優先的に審理を行う方針をとっているようですから、経済的な不安がひっ迫しているのであれば上記の措置を講じることをお勧めします。



ーー財産分与対象財産を処分されてしまう不安がある場合はどうでしょうか



「債権の仮差押え、不動産の処分禁止の仮処分」といった手続を講じることも検討する必要があります。これらの手続は簡単に認められるものではありませんが、現に不安を抱えているのであれば検討する価値はあると思います。



以上に述べたとおり、事件が停滞することによって生じる不安を解消するには、自力でできる措置を講じることが最も有効なのではないかと思います。



既に弁護士に依頼をされている方々は、弁護士に率直な気持ちを伝え、打開策を検討してもらうこともよいでしょう。きっと弁護士も、あなたのために知恵を絞ってくれるはずです。




【取材協力弁護士】
下大澤 優(しもおおさわ・ゆう)弁護士
2012年司法試験合格、2014年に弁護士登録。勤務弁護士を経て2016年に定禅寺通り法律事務所(仙台市)を開設。離婚・男女関係のトラブル(婚約破棄等)に注力している。
事務所名:定禅寺通り法律事務所
事務所URL:https://jozenji-law.com/


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  • 離婚なんて離婚届書いて双方の判押して役所に提出すればそれで終わりだと思ってた、知らんけど。
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