おじさんだって「はめふら」が好き! “乙女ゲーム”の世界観なのに、大人男性も虜にするその魅力とは...【座談会】

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2020年05月30日 23:32  アニメ!アニメ!

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アニメ!アニメ!

『乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…』キービジュアル(C)山口悟・一迅社/はめふら製作委員会
2020年春アニメは既に後半戦に突入。
今シーズンは放送延期・放送休止となった作品も多いながら、ラブコメ、バトル、ロボット、ホームドラマなどバラエティ豊かなラインナップとなりました。

そんな中、アニメ!アニメ!編集部やライターの“おじさん”達の心を、ギュッと掴んだ作品がTVアニメ『乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…』(通称:はめふら)。
“乙女ゲーム”をベースにした作品なのに、なぜ乙女ゲームと対極(?)にいる“おじさん”達がハマッてしまったのか。
その魅力を、おじさん達が座談会形式で語り合いました。
[企画・編集=小野瀬太一朗]

【注意】本記事では、アニメ『はめふら』のネタバレを含んでおります。


【おじさん その1】小野瀬太一朗(アニメ!アニメ!編集部)
好きな転生ものアニメ:『Re:ゼロから始める異世界生活』
好きな美少女ゲーム:『ToHeart』『マブラヴ オルタネイティヴ』
乙女ゲームプレイ経験:無し。ただし、PS版『私立ジャスティス学園』の「熱血青春日記」モードで男性キャラ全員を攻略した経験は有り。

本企画の言い出しっぺおじさんです。
『涼宮ハルヒの憂鬱』でアニメに目覚めた“元ギャル男”...という経歴を持つアニメ!アニメ!編集部員。「いや、自分なんてまだ全然ペーペーのヲタクっすよw」とか言ってるうちに割と長い年月が過ぎ、いつの間にかアニメ業界に。
TAICHIRO名義でアニソンDJとして活動、アニソンDJイベントの主催なども行っている。


【おじさん その2】沖本茂義(アニメ!アニメ!編集部)
好きな転生ものアニメ:『盾の勇者の成り上がり』
好きな美少女ゲーム:『つよきす』『アマガミ』
乙女ゲームプレイ経験:無し。ただし、BLゲーム『鬼畜眼鏡』はプレイ経験有り。

『機動戦士ガンダム』がきっかけでアニメにハマり、出崎統作品でさらにその奥深さに魅了された副編集長。もともと重厚かつ骨太な作品が好きだったが、アニメ映画『同級生』がきっかけで腐男子としても開眼。その上、こじらせ百合好きおじさんでもある。


【おじさん その3】曙ミネ
好きな転生ものアニメ:『この素晴らしい世界に祝福を!』
好きな美少女ゲーム:『D.C.〜ダ・カーポ〜』
乙女ゲームプレイ経験:無し

ライター。元国家公務員。『新世紀エヴァンゲリオン』でアニメに目覚め、京都アニメーションで“萌え”を開花させ『けいおん!』で死ぬほど泣く。聖地巡礼でイギリスまで行った。最近ハマっているマンガは『はしっこアンサンブル』、アニメは『はめふら』。曙峰(あけぼのみね)は趣味の水墨画の雅号。

以上、3名のおじさんでお送りします。

【おじさん達が思う『はめふら』の魅力は?】


小野瀬:今回の座談会のメインテーマは「おじさんだって『はめふら』が好き」です。
イケメン男性キャラクターを攻略していくゲーム、いわゆる“乙女ゲーム”をベースとした作品ながら、我々おじさん達をも虜にした『はめふら』。
まずは、大人男性だって好きになってしまう本作の魅力を語っていきましょう。

そもそも言い出しっぺおじさんである私、「馴染みのない乙女ゲームの世界観だし……」と、放送前は正直あまり惹かれなかったんですよね。
でも、そんな私の心を掴んだ『はめふら』の魅力は、優しい“俺TUEEE”というところ。

沖本:優しい“俺TUEEE”というと?

小野瀬:転生ものって、主人公の“俺TUEEE”展開が結構あるじゃないですか。
転生に際して手に入れるスキルや前世で培った経験など、圧倒的な能力を駆使し、敵を攻撃して、次元の違う強さを見せつけ勝利する。
典型的な作品だと、『オーバーロード』とか。

『はめふら』も、転生ものらしく、転生後の世界の元になっている乙女ゲーム『FORTUNE LOVER』をプレイした前世の経験・記憶を活かし、様々な問題を乗り越えていくのですが……
でも、カタリナは前世の経験・記憶を持っていても、それで誰かのことを攻撃したり、傷つけたりしない。基本的に、自分の“破滅フラグ”回避のために活かしていて、自身の経験を他者との争いに使ったのは、アランとの木登り勝負くらいじゃないでしょうか。

相手を攻撃して屈服させるどころか、カタリナと向き合ったキャラクター達はそれぞれのコンプレックスを克服して、幸せになっている。
すごく優しい“俺TUEEE”展開なんですよね。
そんなカタリナの“俺TUEEE”が作り出す、優しい世界を見ていて、おじさん泣きそうになります。

曙:分かります。今ではオープニングを見るだけで泣きそうになります。


沖本:僕は百合好きおじさんなんですけど、“百合アニメ”としても楽しめるところに魅力を感じます。
2話以降でメアリやソフィアといった女性キャラクターが出てきて、彼女達をカタリナが“たらし込む”じゃないですか。
それで「カタリナ様好きー!」となって、女の子達がわちゃわちゃと百合百合する様子を見て、グッと来ました。
転生ものかと思いきや百合アニメだった、というお得感がいいですね。

曙:乙女ゲームベースなのに百合好きもにっこりだ。
私、ヒロインが複数いるラブコメアニメを観ていてすごくストレスを感じるところがあるんですよ。
それは、1人の女の子しか選ばれず、選ばれなかった女の子が悲しんでしまうところ。誰か1人を選ばなくてはいけないというのがすごく辛い。

沖本:『マクロス』の三角関係問題とかですね。

曙:女の子が振られるところをみたくないし、途中でいちいち「この女の子は不幸になるんじゃないか?」って考えてハラハラするのがストレスで。
そういうところがあって、自分にとってハーレム系アニメはなかなか難しいなと思っていたんですけど……でも、『はめふら』には不安を感じない。
だって、主人公でありヒロインのカタリナが不幸になるエンドは、多分ないと思うんです。

乙女ゲームはいわゆる逆ハーレムの形なので、カタリナは“選ばれる側”でなく“選ぶ側”であり、誰と恋愛してもハッピーエンドを迎える。それが自分にとって画期的でした。
「カタリナは絶対に幸せになる」と思えるので、ストレスが全くありません。

小野瀬:まだわからないですよ? 破滅フラグ、回避できないかもしれませんよ?
→次のページ:おじさん達が選ぶ『はめふら』名シーンは?

【おじさん達が選ぶ『はめふら』名シーンは?】

小野瀬:続いてのトークテーマは「おじさん達が選ぶ名シーン」。
お二人はどのシーンを選びましたか?

沖本:百合おじさんのぼくが選んだのは、第3話「麗しの美形兄妹と出会ってしまった…」終盤の舞踏会シーン。
最初は婚約者のジオルド王子や男性キャラ達と踊っていたカタリナですが、その後テラスで休んでいたらメアリとソフィアがやってきて「ずるいですわ、カタリナ様と踊れるのは殿方ばかりで」と不満を漏らすわけです。

それに対してカタリナが一緒に踊ろうと提案したら、メアリは「こんなこともあろうかと、男性パートを練習してきました」と、ソフィアも最近読んだ小説の話を引用して「女性同士でダンスを踊るシーンはロマンティックでしたわ」と。
そして、男性陣が微笑ましく見守る中、カタリナはメアリとソフィアと踊るんですが、作品側が百合おじさん目線でも楽しめるシーンを提示してくれて、嬉しかったですね。

小野瀬:メアリといえば、第2話「王子に勝負を挑まれてしまった…」で、アランと婚約したという話の時に「私も王子の婚約者になりました。“カタリナ様と一緒で”とても嬉しいですわ」と発言していましたね。
王子との婚約よりも、カタリナとお揃いなことを喜ぶ姿に“百合力”の高さを感じました。


曙:私が選ぶ名シーンは、学園内でいじめられているマリアちゃんを助けるところ。
2回助けますけど、ここは1回目を推したいです。

マリアちゃんって本来、乙女ゲーム『FORTUNE LOVER』の主人公じゃないですか。
アニメで描かれているのはカタリナが主人公の物語で、マリアちゃんはそんなカタリナの存在を脅かすキャラクターなんじゃないかと、このシーンまで敵対視していました。

沖本:僕も同じです。

曙:最初に学園の廊下ですれ違ってスローモーションになるシーンなんて「うわー、ラスボス感半端ないな!」とすごくひやひやしてたんですけど、でも2人はちょっとずつ近づいていって。
そして、裏庭でモブ悪役令嬢達にいじめられている場面を見かけてすぐに助けにいくわけですが、その時のカタリナがカッコよすぎて「キャーーーーッ!」って悲鳴を上げそうでした(笑)。

小野瀬:カタリナは男前ですもんね。

曙:思わず、完全に乙女目線で観ちゃってて。助けた後に地面に落ちたお菓子を食べて「美味しかったわ」なんて言われたら、もう死んじゃいます。

沖本:分かります。

小野瀬:カタリナって、そのシーンではジオルドのフラグを奪って、その他にもキースやアランのフラグを自然と奪っちゃうじゃないですか。彼女、天然で“イケメン”ですよね。

沖本:僕の中で、転生ものの主人公って斜に構えて達観してるというか、さとり世代的な人が多いイメージなんですが、カタリナって天然だけどすごく真っすぐで、そこが好感持てます。


小野瀬:最後に、私が選ぶ名シーンなのですが、第1話「前世の記憶を思い出してしまった…」ラストの、閉じこもってしまったキースの部屋の扉をこじ開けに行く場面。
ここで掴まれた人って多いと思うんです。

カタリナは、孤独を抱えるキースを構ってあげようと最初から行動していたのに、事故が原因で、キースは原作ゲーム通り部屋に引きこもってしまう。
原作とは違う行動をしても、『シュタインズ・ゲート』でいうところの“世界線の収束”が起きてしまった……。

曙:運命は簡単に変えられない、ということですね。

小野瀬:しかし、カタリナは変えられないと思われた運命と、固く閉ざされた扉をぶち破るわけですよ。物理で。
そして、キースに向かって「これからもずっと一緒よ」と屈託なく笑いかけて、一人抱えていた孤独を埋めてあげる。そんなカタリナの天然の優しさに涙が出そうになります。

沖本:あのシーンは、キースの過去のトラウマを破るという心情描写を、ドアを破るというアクションとリンクさせていて、アニメの演出的にも上手いと思いました。
あと、演出といえば、カタリナの“脳内会議”も、設定解説のわかりやすさとビジュアル面での面白さが合致していて、とても好きです。
→次のページ:おじさん達が好きな“脳内カタリナ”は?

【おじさん達が好きな“脳内カタリナ”は?】

小野瀬:ちょうど、脳内会議の話が出ましたので、次のテーマ「おじさん達が好きな“脳内カタリナ”は?」に行きましょう。

曙:私は真面目カタリナが好きです。
脳内会議で、あの子が最終的な結論を言うことが多くて。
カタリナ自身は天然で明るい性格なので、ああいう冷静な脳内カタリナにギャップを感じて萌えてしまいます。

小野瀬:確かに、脳内会議メンバーで一番ギャップがありますよね。

曙:でも、冷静で真面目なのにボケキャラなところもあって。
マリアが出てきた直後、脳内で破滅フラグ回避のための作戦会議が開かれるんですけど、真面目カタリナが「国外追放された場合のため、畑を耕して農業の経験を積みましょう」と提案するんですね。
破滅フラグ回避ではなく、破滅後の身の振り方の話をしてて「キミがそれ言っちゃお終いでしょ!」と。脳内メンバーで一番冷静であっても、元がカタリナだからやっぱり天然で、そこがまた可愛い。


沖本:僕は弱気カタリナが好きです。
理由は「庇護欲が掻き立てられる」の一言に尽きます。

小野瀬:弱気も可愛いですね。
個人的には、第6話「夏休みだから楽しく遊んでしまった…」で、脳内会議お休み中の弱気が印象的。
海でもプールでもなく会議室の中なのに、あの子は一人で浮き輪をつけ、床に座ってニコニコしてるんですよね。明らかに浮いた格好で、弱気のくせに姿勢(?)が攻めてる。
それを見て「なんておバカ可愛いんだろう!」と思いました。

沖本:あのシーン、癒されますね。

小野瀬:そんな弱気も可愛いのですが、私が一番好きなのはハッピーです。
脳内会議の時に特に建設的なアイディアを出すわけでもなく、基本的に“アホの子”なのですが、とにかく元気いっぱいで明るい。

カタリナ自身、前世の経験・記憶があるといっても、魔法は“土ぼこ”しか使えないし、テスト結果も平均の80位。特筆すべき能力はありませんが、でも持ち前の明るさやポジティブさで、運命を切り開いていっているわけで。
そんな、“カタリナらしいカタリナ”のハッピーを推します。

沖本: 確かに、ハッピーカタリナは周りもハッピーにするんじゃないのかなと思います。一緒にいると楽しくなりそう。

【おじさん達が攻略したい男性キャラは?】

小野瀬:これが最後のトークテーマですね。王子様から義理の弟まで、個性豊かな“攻略対象”揃いの本作で、「おじさん達が攻略したいと思う男性キャラ」は誰なのか。

曙:待ってました!

沖本:僕は、“腹黒ドS王子”なジオルドです。
僕、美少女ゲームでも腹黒ドSキャラが好きで。『アマガミ』の絢辻詞とか。
腹黒属性の何が良いかと言うと、仮面が剥がれて本心が出る瞬間。そこにエロティシズムが詰まっている。
ジオルドはまだ仮面を被っているので、その仮面を剥がしたいみたいという欲求があります。


沖本:あと、もう一点。
僕は自己肯定感の低い人間なんですけど、僕みたいなタイプってヒエラルキー上位のタイプに恋をしがちだと思うんです。
自分にないものを求めると言うか。ヒエラルキー最上層の、完全無欠な王子様を自分のものにしたい。

小野瀬:お、おう……。



曙:私は、アランですね。
自分が“乙女ゲーム初プレイの女の子”になったつもりで考えたんですけど、初めてなので攻略しやすそうなキャラがいいなと。
アランは、選択肢の3択の中でどれを選べば好感度が上がるか一番わかりやすそう。


曙:もちろん攻略しやすいというだけでなく、負けず嫌いでいじけやすくて、さらにツンデレなアランに萌えます。
エンディングでは自分のためにピアノを弾いてくれて、そして抱きしめて欲しいなぁ。
……おじさんのくせに、一体何を言ってるんだろう。

小野瀬:曙さん、めちゃくちゃギャルゲー脳ですね。

沖本:ちゃんと脳内でシミュレーションしていて流石。



小野瀬:最後、私が攻略したいキャラはキースです。
婚約者のジオルド含め、メインの男性キャラは全員幼少期からの幼馴染ですけど、みんなちょっと距離を感じるんですよね。
でも、キースは小さい頃からずっと一緒にいて、過去のトラウマに悩む“むき出し”の姿までも見てきた。義理の弟であり、一番距離の近い“幼馴染 オブ 幼馴染ズ”です。


小野瀬:私は、『はめふら』で誰を選ぶかというのは、『ドラゴンクエスト5』で誰と結婚するのかと同じだと思っていて。
『ドラクエ5』でいうとキースはビアンカで、極論、王子様も宰相の息子も、キース以外はみんなフローラ(とデボラ)。
そりゃもう、私はキース=ビアンカを選びます!

曙:あー、わかるかもしれない……。

小野瀬:別にね、アイテムとかイオナズンとか無くてもいいんです。ビアンカがそばにいてくれるだけで幸せなんですよ。
そして、王子と結婚して妃にならなくていい。キースと幸せに暮らし、畑を耕して過ごす“農耕”エンドでいいんです。

沖本:『はめふら』の話してて、まさか『ドラクエ5』のビアンカ・フローラ問題に落着するとは。おじさんらしい見解。

曙:昔、友達が『ドラクエ5』でフローラと結婚してて、選ばれなかったビアンカは山奥でひとりぼっちの生活してるんですね。それを見て、友達に対して「こいつ最低だな」って思ったことを思い出しました。
キース=ビアンカなら、キースは切れない。



小野瀬:と、ここまで語っておいて何ですが……。

沖本:何でしょう?

小野瀬:誰を攻略するより何より、自分がカタリナに攻略されたいですよね。
だって、カタリナに攻略されたキャラはみんな、心の隙間が埋められて幸せになるんですから。
カタリナに攻略されて、優しい世界に包まれたい。

曙:結果「僕らはカタリナに攻略されたい」。多分それが正解ですね。


おじさん達の「『はめふら』のことを語りたい!」という思いから実現した本企画。
男性からの視点、おじさんらしい見解などが混ざったトークとなりましたが、楽しんでいただけましたでしょうか?


物語もそろそろ終盤……カタリナは果たして、破滅フラグを回避できるのか。そして男性陣(女性陣も)の気持ちは超鈍感なカタリナに届くのか。最後まで見逃せません。

『乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…』は毎週土曜日25時30分よりTOKYO MXほかにて放送。

(C)山口悟・一迅社/はめふら製作委員会

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  • アニメ観て原作も5巻まで買って読んでみてから即行で残りも買った。おもろいよね!主人子もオレが好きなタイプの「ご飯をただ純粋に美味しく食べる」っタイプだしな。
    • イイネ!9
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