コロナ禍で会えない親が心配…遠方でもできる「五つの新習慣」で変化を見逃さない

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2020年05月31日 10:00  AERA dot.

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写真全ての基本は親への定時連絡。生活リズムの乱れを防ぐとともに、体調や心理面などちょっとした変化を感じるきっかけにもなる(撮影/写真部・松永卓也)
全ての基本は親への定時連絡。生活リズムの乱れを防ぐとともに、体調や心理面などちょっとした変化を感じるきっかけにもなる(撮影/写真部・松永卓也)
 東京などで外出自粛が続き、実家の親を訪ねるのもままならない日々が続く。高齢者が自宅にこもると心身に悪影響が出がちだが、遠くからできることがある。AERA 2020年6月1日号では、老人ホームサイト「LIFULL介護」の小菅秀樹編集長に、遠方の親のために子世代ができることを聞いた。

*  *  *
 筆者は老人ホーム検索サイトの編集長をしているが、老人ホームや介護施設の資料請求や電話での問い合わせは、お正月、お盆などの長期休暇後に決まって急増する。これは、離れて暮らす子世代が長期休暇で実家に帰ったタイミングで親の「異変」に気付くためだ。

 しかし今年のゴールデンウィークはコロナ禍で遠方の実家に帰れなかった人も多く、今後もいつ親に会えるかわからない状況にある。心配なのは、子世代が気付かないうちに親の心身の状態が低下していくことだ。

 感染への恐れから家にこもりきりになっている高齢者が多く、昼間に日帰りで利用できる介護保険のデイサービス(通所介護)も多くが休業している。その状況が、認知症の進行や、筋力低下や精神的な不安からくる「フレイル」を引き起こす可能性がある。フレイルとは、健常から要介護へ移行する中間の段階をいう。

 認知症進行とフレイルの両方に大きな影響を与えるのが「運動」「栄養」「社会接点」だ。

「自粛を過度に意識して買い物に行かず家にある粗食で済ませている」
「本来デイサービスで食べていた栄養バランスの良い昼食が食べられない」

 高齢者がこのような生活になると、運動、栄養、社会接点の三つ全てが大きく揺らいでいる可能性がある。何もしなければ心身の状態が徐々に低下し、要介護状態に進行しかねない。そのような状況を防ぐために、離れて暮らす親に子世代ができる五つのことをご紹介したい。

 まずは「(1)定時に電話連絡をする」ことだ。大切なのは、親の今の状況を知っておくこと。外出や人との交流が減っている今、孤独や寂しさを感じている可能性もある。可能なら毎日、少なくとも毎週、同じ曜日・時間に電話をし、刺激を促すことが重要だ。決まった時間に連絡を取ることで、時間感覚が乱れるのを防げる。

 また家族の一部に負担がかからないよう、きょうだい・孫などいろんな人から日替わりで電話するのもいい。親がスマホを持っている場合は、孫や季節の写真を送る、テレビ電話をしてみるなどもおすすめだ。

 次は「(2)必要なもの、旬のものを送る」。子世代は必要なものをオンラインですぐに買うことができ、巣ごもり消費が進んでいるが、70代のインターネットショッピング利用率はまだ10%台で、インターネットで物を買うことが子世代ほど一般的ではない。

 電話の際には是非、買えずに困っているものがないかどうかを聞き、必要なら送ってあげよう。また親世代は、今の若い人よりも旬を感じながら生活してきているもの。旬を感じることは刺激にもなる。今の時期ならサクランボや新茶といった旬の食べ物を送り、「もうこの時期だね」という会話のきっかけにしてみてほしい。

 続いては「(3)適度な運動をうながす」だ。電話では散歩などの運動ができているかを聞いてみよう。1日に20分程度のウォーキングは健康増進に効果的と言われている。もし、外に出ることに抵抗を感じているようなら、テレビやラジオの体操番組にあわせて体を動かすこともおすすめだ。また、親がインターネットを利用できるなら、東京都江戸川区が提供しているフレイル予防のためのトレーニング「えどトレ」や、千葉県我孫子市が提供している口の健康低下「オーラルフレイル」予防のためのトレーニングなど、各自治体がYouTubeで介護予防体操を配信しているので、是非教えてあげてほしい。

 親が詐欺被害などに遭うのを防ぐためにもぜひ実行してほしいのが、「(4)給付金は一緒に申請する」だ。

 新型コロナ対策として、日本の全国民に10万円が給付されることになった。そこで心配なのが、給付金に便乗した詐欺だ。被害に遭ってしまうと大切なお金を失い、クレジットカード番号など今後の被害につながる情報まで流出するおそれがある。そして何より、詐欺に遭った当事者はものすごく落ち込み、自信を失ってしまう。

 詐欺に遭わないようにするために、10万円の給付金申請を親と一緒に行ってほしい。手元に実際の書面を用意した上で、電話やSNSなどで連絡を取りながら、書面を見て“同時に行う”といい。仮に親だけに不審な通知が来ていても、親子で同時に行うことで、惑わされるリスクを減らせる。

 また詐欺予防という点では、在宅時でも留守番電話を設定しておくのもおすすめだ。犯人は留守番電話にメッセージを残すことを嫌がる。留守電にしておけば一度音声を聞いてから折り返すことができるため、不審な電話に出る頻度を大きく下げることができる。

 最後は、「(5)親の異変を感じたら『近くの他人』に相談」だ。

「同じ話を繰り返す」「話のつじつまが合わない」など、親の様子が何かおかしい、認知症かも?などと感じたら、抱え込まず相談することが重要だ。デイサービスなどの施設を利用している場合は、要介護認定を受けているはずなので、担当のケアマネジャーがいる。親が生活のどういった点に困っているか、本人に確認したうえでケアマネジャーに相談してみてほしい。

 訪問介護の回数を増やしたり、歩く際の杖や入浴の際の椅子などの福祉用具を借りることができたり、自宅に手すりなどを新たに取り付けることもできる。ケアマネジャーとの連絡は、今後も役に立つと思うので、この機会にぜひ連絡してみるといいだろう。

 まだ要介護認定を受けていない場合の窓口は、地域包括支援センターとなる。同センターは、介護・医療・保健・福祉などの側面から高齢者を支える「総合相談窓口」で、対象地域に住んでいる65歳以上の高齢者、またはその支援のための活動に関わっている人が利用できる。親が住む地域のセンターは、「自治体名×地域包括支援センター」でネット検索すれば、すぐ表示されるはずだ。

「電話で親の体調不良に気付いたが、直ちに病院に行くほどでもない」という健康不安などの相談や、認知症?と思った場合、要介護認定を受けるべきかの判断に迷った場合などの相談にものってくれる。感染対策に注意した上で、親の自宅への訪問も相談できる。

 また、家事代行や物品購入、見守りなどをしてくれる介護保険外サービスや、行政が提供している生活支援サービスなどもある。地域包括支援センターで、それらのサービスを提案してもらうこともできるので、まず気軽に相談しよう。

 5項目の前提として、大切なのは親世代への配慮だ。親にとってはいつまでも子どもは子ども。自分たちは子どもたちを心配する対象だと思っている。だからこそ、頭ごなしに伝えると感情的になりかえって関係性を悪くしてしまうことも。常に心配だからと「お願い」するようにしよう。

 五つのことを行うことで、今までよりも親との連絡が頻繁になる。そこが一番のポイントだ。親が日々どんな生活を送っているのか、誰とよく会っているのか、最近の趣味は何なのかなど、会話を増やし、親のことを知るようにしたい。「自分も親に似てきたな」とか、「実は自分が好きなものは親譲りだったんだな」とか、新しい発見もあるはずだ。

 緊急事態宣言が解除されても新型コロナウイルスが消滅したわけではないため、デイサービスが直ちに再開されるとは限らず、気軽に外出できる状態にもすぐには戻れないだろう。当面は新型コロナウイルスと共存していく生活が続く。この機会に、親と子の「新しい交流様式」を構築することが重要だ。

(LIFULL介護編集長・小菅秀樹)

※AERA 2020年6月1日号

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