香川真司をサラゴサ首脳陣は信頼できず。1部昇格でも立場は危うい

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2020年05月31日 11:41  webスポルティーバ

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リーガに挑んだ日本人(14)

 2019年8月、リーガ・エスパニョーラ2部、レアル・サラゴサの本拠地ラ・ロマレダは沸き返っていた。

 日本代表MF香川真司がトルコのベジクタシュから入団。お披露目のセレモニーには、7000人ものファンが集まった。ドルトムント、マンチェスター・ユナイテッドという欧州のビッグクラブに在籍してきたスター選手が、リーガ2部を戦いの舞台に選ぶ――。それは凋落の憂き目に遭う古豪クラブに、十分な栄誉を与えた。

「衝撃的で、夢のようなこと」

 サラゴサの名将ビクトル・フェルナンデス監督は、香川の獲得を最大限の賛辞で形容している。

 日本代表の10番を背負ってきた香川は、英雄視されて迎えられた。しかし、コロナ禍によるリーグ戦中断前、日本人MFは先発から外される機会が日常化していた。

 序盤戦の香川は、控えめに言っても”主役級”の存在感だった。開幕から5試合は2得点。とにかく、ボールを奪われない。ゴール前でボールを受けた時のアイデアは、群を抜いていた。技術的には1部のクラブの主力選手に匹敵。チームも首位を争っていたことで、”降臨したメシア”のようだった。

「香川は抜きん出た技術によって、決定的な仕事ができる。チームに違いを生み出せる」

 フェルナンデス監督は、そのプレーセンスを一貫して称賛している。スペイン人指揮官はもともとトップ下のファンタジスタを好み、攻撃的サッカーを志向してきた。過去には、セルタでロシア代表アレクサンダー・モストボイ、サラゴサでアルゼンチン代表パブロ・アイマールを起用し、リーガ1部で旋風を巻き起こしたこともある。

 攻撃を重んじる指揮官の下で、香川の活躍は確約されたようなものだった。

 ところが、日本人MFはその輝きを失う。信頼されて先発を続けるが、定期的に筋肉系の故障に見舞われた。そのたびに2週間、3週間の離脱を余儀なくされたのである。それを重ねることで、徐々にトーンダウンしていった。直近の10試合で、先発はわずか2試合だ。

 もっとも、香川は要所でその非凡さを見せている。

 今年1月、スペイン国王杯3回戦のマジョルカ戦では、”久保建英との新旧エース対決”で意地を見せた。

 2トップの一角として相手のMFとDFの間でボールを受け、たくみにチャンスを作り出す。前半にはFKをバーに直撃させ、キックの質の高さも見せた。そして後半の立ち上がり、バックラインの前でボールを受けると、右にいたアレックス・ブランコの足元に素早くパスを流し込み、先制点を生み出し、勝利に貢献した。

 スペイン国王杯では続くラウンド16でレアル・マドリードと対戦し、香川は先発でプレーしている。90分間出場し、果敢にゴール前でチャンスを作り出した。ボックス内で再三にわたってシュートを狙うなど、どれも決まりはしなかったが、あらためて才気を証明した。ドルトムント時代の片鱗を見せるようで、技術とスピードの融合があった(実力差が出て結果は0−4と大敗)。

 判断の速さと技術精度は、やはりワールドクラスだ。しかしながら、ケガの多さは深刻と言える。

「コンディション的な問題がなければ……」

 フェルナンデス監督も頭を抱えている。一定してプレーできないため、首脳陣は戦力として計算できない。タフな2部リーグで、これは致命的だ。

 中断前、サラゴサは自動昇格圏内の2位につけている。コロンビア人FWルイス・スアレスが目覚ましい働きを見せ、2部得点ランキング2位の17得点。チームもリーグ2番目に多い得点数で、まさにフェルナンデスらしいチームと言えるだろう。

 しかし、たとえ1部に昇格しても香川の立場は危うい。

「香川の未来はMLS(アメリカ)か、カタールにあるだろう」

 スペイン大手スポーツ紙『アス』は今年5月、そう見出しを打っている。1部に昇格した場合、香川の契約は自動的に更新されることになっているが、年俸は3倍になって、それは今の香川のパフォーマンスに対してはとても払えない金額だという。今年1月にはMLSのコロラド・ラピッズやFCシンシナティなどから複数のオファーがあって、その時は本人もクラブも拒否したが……。

 2部は残り11試合、香川が現状を打開するには、劇的な結果を残す必要があるだろう。逆に言えば、佳境を迎えるリーグ戦で昇格のキーマンとなることができれば――。日本を代表してきたMFの真価が問われる。
(つづく)



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