Androidが位置情報を不正に追跡? 米アリゾナ州がGoogleを訴える

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2020年06月01日 07:01  リアルサウンド

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リアルサウンド

Pexelsより

 米国アリゾナ州のマーク・ブルノビッチ司法長官は5月28日、マリコパ郡上位裁判所で「不適切に位置情報をトラッキングして、広告事業に利用することで収益を上げている」とし、Googleを相手取った損害賠償を求める訴訟を起こした。


(参考:Apple&Googleの強力タッグで新型コロナ対策アプリ始動も、世界の反応はいまひとつ……


・アリゾナ州消費者詐欺法に違反? Googleは「誤解」と反論
 マーク・ブルノビッチ司法長官は「Googleユーザーは『位置追跡を停止できる』と信じ込まされているが、Googleは他の手段を利用して個人のプライバシーを侵害している。ユーザーの動きを追跡するのを止めることはほぼ不可能なため、アリゾナ州消費者詐欺法違反にあたる。どれだけ革新的な企業でも、法律遵守は求められる」と述べる。


 『ABC News』はこの件について、「2018年にこの疑いが報じられて以来、Googleに対する調査は継続的に行われてきた」と伝えている(参考:https://abcnews.go.com/US/arizona-sues-google-location-tracking-tactics/story?id=70932178)。


 50ページ近くにおよぶ訴状では「GoogleのAndroidオペレーティングシステムがユーザーの位置情報を収集する際の手段が不明確である」と主張されている。


 訴状によると、ユーザーがアプリ固有の位置追跡を無効にした後でも、気象、検索エンジン、Chromeブラウザを使用したウェブ検索など、特定の機能のバックグラウンドで位置追跡が継続されたという。ユーザーがAndroidのシステム設定で、より広範な「システムレベルの追跡」をオフにした場合にのみ、Googleが位置情報を不正に吸い上げるのを止めることができたという。


 Googleのスポークスマンであるホセ・カスタネーダ氏は「この訴訟を起こした司法長官と弁護士は、弊社サービスを誤解しているようです。弊社は、常にプライバシー機能をプロダクトに組み込んでおり、位置データのコントロールを提供してきました」と述べる。


・アメリカの規制当局が、大手テクノロジー企業の締め付け強化
 Googleは過去にも、Androidユーザーの位置追跡に関する論争を巻き起こした。同社は度々、プライバシーの懸念に対応しており、位置データの自動削除を容易にするといったことや、同意を得ないサードパーティのアプリを取り締まるなど、様々な措置を講じている。


 しかし、『The Verge』は「プライバシー保護や追跡されないようにする多くの設定は、平均的なユーザーにとってはいまだ複雑で混乱するものだ」と指摘する(参考:https://www.theverge.com/2020/5/27/21272625/arizona-ag-sues-google-location-tracking-android-allegations)。


 Googleは現在、アメリカの50州・地域当局により独占禁止法違反の調査対象になっており、2019年にはGoogle傘下のYouTubeが、子供向けチャンネルの視聴者からインターネット経由で個人情報を収集し、事前に親に通知して同意を得ることもなかったことが問題視された。


 これを受けて、アメリカ連邦取引委員会は、YouTubeと親会社のGoogleに児童オンラインプライバシー保護法(COPPA)に違反しているとし、1億7000万米ドルという記録的な制裁金を科した。


 アメリカでは近年、司法省、連邦取引委員会、州議会などが、独占禁止法やプライバシー保護法などに関して、大手テクノロジー企業を統制することに力を割いているようだ。


(Nagata Tombo)


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