最も“内弁慶”なチームはどこだ? 無観客試合で「ホーム有利」は消滅か

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2020年06月01日 16:00  AERA dot.

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写真熱狂的なファンで埋まる阪神の本拠地・甲子園のスタンド (c)朝日新聞社
熱狂的なファンで埋まる阪神の本拠地・甲子園のスタンド (c)朝日新聞社
 ようやく6月19日に開幕することになったプロ野球のペナントレース。今週からは練習試合も行われ、各球団急ピッチで調整が進められることになる。そして例年と異なるのは開幕までの準備期間だけではない。新型コロナウイルスのクラスター感染を防ぐために、当面の試合は無観客で行われることになったのだ。そこで気になるのは無観客となったことがプレーに与える影響である。そのことで果たして有利になる球団、不利になる球団は出てくるのか。検証してみたいと思う。

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 観客がいることの大きな影響は何といってもその応援だろう。過去5年間のペナントレースの数字を合計しても、ホームチームの勝率は.540となっている。これは後攻めというだけでなく、応援が多いことも少なからず影響していることは間違いないだろう。そこで過去5年間の本拠地(ホーム)、敵地(ロード)での勝率をまとめてみると以下のようになった。まずはセ・リーグからだ。

■セ・リーグ ホーム勝率&ロード勝率

広島:ホーム勝率.634 ロード勝率.501
巨人:ホーム勝率.555 ロード勝率.477
DeNA:ホーム勝率.537 ロード勝率.439
中日:ホーム勝率.528 ロード勝率.362
ヤクルト:ホーム勝率.524 ロード勝率.380
阪神:ホーム勝率.519 ロード勝率.464
リーグ平均:ホーム勝率.549 ロード勝率.437

 ホームで圧倒的な強さを誇っているのが広島だ。2016年から2018年の三連覇の期間は実に7割近い勝率をマークしている。マツダスタジアムで行われる試合はごくごく一部のビジター応援席を除いてスタンドは真っ赤に染まり、その応援が選手を後押ししていることは間違いないだろう。しかしカープはロードでも過去5年間でリーグトップの勝率を誇っているだけに、これだけの要素で単純に不利とは判断できない。そこでホームとロードでの勝率差を出し、その数値が高い順に並べたところ以下のようになった。

■セ・リーグ ホームとロードの勝率差(ホーム勝率−ロード勝率)

中日:+.166
ヤクルト:+.144
広島:+.133
DeNA:+.098
巨人:+.078
阪神:+.055
リーグ平均:+.112

 これを見ると、最もホームの恩恵を受けているのは中日ということになる。次いでヤクルト、広島がリーグ平均を上回り、ホームとロードの差が最も小さいのは阪神という結果となった。応援団の迫力で言うと、阪神は12球団で1、2を争うレベルであり、甲子園は毎試合多くの阪神ファンが詰めかけているが、この数字を見るとそのことがホームゲームでのアドバンテージにはあまり繋がっていないと言える。

 負けた時やミスをした時の野次も痛烈なことで知られているが、そのことが選手に対して過剰なプレッシャーとなっていることも考えられるだろう。ホームでのアドバンテージが小さく、ロードでも高い勝率をあげていることを考えると、無観客期間が一番プラスに働くのは阪神かもしれない。

 次にパ・リーグについてもホームとロードの勝率とその勝率差について並べてみたところ以下のような結果となった。

■パ・リーグ ホーム勝率&ロード勝率
ソフトバンク:ホーム勝率.626 ロード勝率.590
西武:ホーム勝率.584 ロード勝率.500
日本ハム:ホーム勝率.564 ロード勝率.476
ロッテ:ホーム勝率.480 ロード勝率.451
オリックス:ホーム勝率.471 ロード勝率.410
楽天:ホーム勝率.461 ロード勝率.469
リーグ平均:ホーム勝率.531 ロード勝率.483

■パ・リーグ ホームとロードの勝率差(ホーム勝率−ロード勝率)
日本ハム:+.088
西武:+.084
オリックス:+.061
ソフトバンク:+.036
ロッテ:+.029
楽天:−.008
リーグ平均:+.048

 セ・リーグに比べるとホームで圧倒的に強いという球団はなく、ロッテ、オリックス、楽天の3球団はホームで負け越しているという結果となった。ソフトバンクは12球団でも広島に次ぐホーム勝率を誇るが、ロードでも6割近い勝率を誇っており、ホームだから強いということではなさそうだ。最もホームとロードの勝率差が大きかったのが日本ハムで、それに西武が僅差で続いている。しかしこの2球団に関しても、ロードの勝率は決して低くなく、大きな影響はなさそうだ。

 意外だったのがロッテだ。ホームでは熱狂的な応援で知られるが、ロードとの勝率を見るとそこまで大きなアドバンテージにはなっていない。2018年に至っては、ホームでの勝率がロードでの勝率を大きく下回っている。そして12球団で唯一ホームの勝率がロードを下回ったのが楽天だ。過去5年間で2度ホームで負け越しており、最下位に沈んだ2018年には22勝50敗と28もの借金を作っている。昨年は大きく改善されたが、ホームとロードの勝率差は極めて小さかった。そういう意味では無観客の期間は楽天にとってプラスとなる可能性もある。しかし全体的にみるとセ・リーグほど球団間の差はなく、無観客になることが及ぼす影響は大きくはなさそうだ。

 今回はあくまでホーム、ロードの差で見ており、観客以外の要因も当然考えられるが、それでも傾向として差が見えたのは面白いところである。数字には表れない部分だが、観客の応援、またはプレッシャーがプレーに及ぼす影響は少なからずあるはずだ。そういう意味でも一日でも早く、グラウンドとスタンドが一体となる日常が戻ってくることを切に願いたい。(文・西尾典文)

●西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行っている。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

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