マスク依存は克服すべき?マスクと「コミュ力」の関係

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2020年06月01日 20:52  All About

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写真マスクの力で人生を変えた女性のエピソードをもとに、対人関係におけるマスクの活用効果について解説します。
マスクの力で人生を変えた女性のエピソードをもとに、対人関係におけるマスクの活用効果について解説します。

マスク依存は克服すべき? 心を落ち着かせるマスクの効果

みなさんは、マスクをつけた方が話しやすい方ですか? それとも、マスクを煩わしく思う方ですか?

私はカウンセリングの場で、マスク愛用者にしばしば遭遇します。「マスク依存症で……」とその状態に先入観を持っている方もいます。マスクを愛用するのは、コミュニケーションに自信がない方だけではありません。その時に悩みを抱えている方、少し体調が悪い方なども、マスクをつけることで気分が落ちつき、話しやすくなると感じることが多いようです。

人は誰でも、無意識のうちに他人に気を使い、対人関係にたくさんのエネルギーを使って生活しています。自分自身の状態が絶好調でエネルギーに満ち溢れている時には、対人関係のストレスを吸収し、人とのコミュニケーションからさらなるエネルギーを賦活することができます。

一方、元気がない時には人とかかわり、話をするだけでもエネルギーを消耗し、閉じこもりたくなるほど疲弊してしまうことがあります。

とはいえ、社会生活を送っている以上、私たちは毎日のように行くべき場所に出かけ、人ととかかわって生きていかなければなりません。そうした時、対人関係のストレスから私たちを守ってくれるのが「マスク」です。つまり、マスクは、疲れている人の心を落ち着かせる「心の杖」の役割を果たしているのです。

社会に出る新しい一歩を後押ししてくれた「マスクの力」

また、マスクは会話に苦手意識を持つ方がコミュニケーション力を向上させるための「スモールステップ」として活用することもできます。マスクを使うことで、プチひきこもり生活から脱することができた知人の成人女性(Aさん)の体験談をご紹介します。

Aさんは対人関係のストレスが強く、大学卒業後に入社した会社を数カ月でやめ、長年、実家で家事を手伝う生活を続けていました。とはいえ、Aさんには「このままではいけない」「早く仕事を見つけて自立したい」という思いが日に日に募っていました。

そんなAさんに、私がアドバイスしたのが「マスクをつけての街歩き」です。「マスクをつけてただ街を歩いて、気になった店があれば入ってみたり、本屋さんに立ち寄って雑誌をめくったりしてみませんか? できれば、毎日続けてみてください」と提案したのです。

すると1カ月後、Aさんの口から出る「話題」そのものが変わってきました。それまでは、幼少期からの劣等感や他人からの見られ方など「自分自身の問題」にばかりに意識が向いていたAさん。しかし、マスクをつけて街歩きを始めてから1カ月、Aさんの意識は街の風景やお店の情報など、「外で見つけたもの」に向かうようになっていったのです。

その後、私はAさんに「次は興味のある講習会や講座などに参加して、人とかかわりながら自分の世界をさらに広げてみませんか?」と提案しました。もちろん、「まずはマスク着用で」とアドバイスしました。

Aさんはインターネットでカルチャーセンターの講座を検索し、以前から関心のあった写真撮影を受講しました。参加者との出会いに緊張し、人と話をするたびに「どんな話をすればいいんだろう」「自分の受け答えはおかしくなかっただろうか」と不安になっていました。

しかし、「マスクがあるから大丈夫」と思い直して講座への参加を続けていきました。すると、気がつけば講座のメンバーに、マスクの下で自分の気持ちや意見を少しずつ言えるようになっていきました。

こうして毎週1回、写真撮影の講座への参加を続けているうちに、Aさんはしだいにマスクの着用がうっとうしくなり、気がつけばマスクなしで外出できるようになりました。同時に講座を通じて数人の友達ができ、その友人たちと撮影旅行に出かけるほど仲良くなりました。

こうした交流を通じて、Aさんの人付き合いへの苦手意識はしだいに軽減され、なんと1年後には、接客業の仕事に就くことができるようになったのです。

このようにAさんは、マスクという「心の杖」を活用してコミュニケーション力を伸ばし、自分自身の人生を大転換させることができたのです。

マスクのメリット・感染予防以外の効果

近年は、「マスク依存」といった言葉もあるようで、マスクで顔を隠すことにより人や社会との距離を作ってしまうので克服するべきことと考える方もいるようです。

しかし、コミュニケーション力を伸ばすには、「外出ができること」「他人とかかわりをもつこと」「フェイス・トゥ・フェイスで会話ができること」という3つのポイントが重要ですが、誰もが最初からこうした行動をスムーズにできるわけではありません。

Aさんのようにマスクという「心の杖」に守られることで、コミュニケーション力を伸ばしていける人もいるのです。アイテムを使うことで行動化へのハードルが下がるなら、まずはためらわずにそのアイテムを活用してみましょう。

「私はマスク依存症だから」などと、自分に先入観を持つ必要はありません。マスクを使うと外出しやすくなるということは、寒がりな人が上着を一枚多く羽織れば外出しやすくなることと同等、と考えてみるとよいでしょう。

寒がりな人も厚着で外を歩いていれば、いずれは暑くなって上着を脱ぎたくなるものです。同様にマスクを常用する人も、マスクをつけて人とのかかわりを続けているうちに、マスクを外した方が話しやすいと思うようになるものです。

「行動」が変われば、「意識」も変わります。つまり、外出や会話が苦手なら、まずは自分が楽なやり方で外出して人とかかわりをスタートさせれば、必ずコミュニケーションへの意識も変わっていくのです。そして、行動と意識が楽になれば、自然とマスクなどのアイテムに頼らなくても、コミュニケーションがとれるようになっていきます。

このように、マスクという「心の杖」を活用して、自分の世界を広げている人が世の中にはたくさんいます。マスクをつけた方が対人関係のハードルが下がると感じるのなら、まずはマスクをつけて思い切って外に飛び出してみましょう!

大美賀 直子プロフィール

公認心理師、精神保健福祉士、産業カウンセラー、キャリアコンサルタントの資格を持つメンタルケア・コンサルタント。ストレスマネジメントやメンタルケアに関する著書・監修多数。カウンセラー、コラムニスト、セミナー講師として活動しながら、現代人を悩ませるストレスに関する基礎知識と対処法について幅広く情報発信を行っている。
(文:大美賀 直子(公認心理師))

このニュースに関するつぶやき

  • マスクつけて人と2メートルの距離をとると、以前の声量では足りずに大声で話すようになった。空腹時は声がよく出なくてつらい。
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  • マスクの危険性についてのリンクを貼っておられる方がおられて、まだそういう人がいるのかと思ったら、山本さんのブログだった。よく読んだら確かにそういう一面もあるなって言うのは納得。けど、たばこやら排気ガスはマスクしてた方が楽。
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