仲間由紀恵演じる「ヤンクミ」はなぜ国民に愛された? 『ごくせん』再放送に寄せて

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2020年06月03日 06:11  リアルサウンド

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写真『ごくせん 2002 特別編』(c)日本テレビ
『ごくせん 2002 特別編』(c)日本テレビ

 ドラマ『ごくせん』(日本テレビ系)の第1シリーズが『ごくせん 2002 特別編』として、6月3日から再放送される。『TRICK』シリーズ(テレビ朝日系)と並び、仲間由紀恵主演ドラマの大成功例の一つと言える『ごくせん』。コメディからサスペンスまで幅広い作品で主演を張り、日本国民に愛され続ける仲間由紀恵の魅力を、『ごくせん』を起点に再考してみたい。


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 最近の仲間は『10の秘密』(カンテレ・フジテレビ系)での謎に包まれた元妻や、『ハラスメントゲーム』(テレビ東京系)でのパワハラ問題を調査する敏腕労働Gメンを演じたりと、ミステリアスな大人の女性の役が多い傾向にある。だが、今でも彼女の代表作に挙がるのは『TRICK』と『ごくせん』という、数少ないコメディエンヌ要素が強い異色作品なのが、女優・仲間由紀恵の面白いところ。


 『ごくせん』主演は、仲間が22歳のとき。仲間が演じるのは、不良揃いの白金学院高校3年D組に新米教師として赴任する、数学教師・山口久美子(通称ヤンクミ)。新米教師でありながら、その素性は任侠集団・大江戸一家3代目・黒田龍一郎に引き取られた跡取りのお嬢……という設定で話題を呼んだ。このドラマの面白さは、水戸黄門やヒーローものなど昔から親しまれる、勧善懲悪という図式。不良生徒が問題を起こす→ピンチとなる→ヤンクミが成敗して助けるというのが主なプロットだ。


 しかし、ここまでヤンクミ役がハマった理由を考えると、『ごくせん』が放送される2年前、2000年から続く『TRICK』シリーズのマジシャン・山田奈緒子役がブレイクした理由と重なる。今も変わらず「上品で綺麗」というブレないイメージの仲間に、「ムッシュムラムラ」などギャグを真顔でやらせたり、公式に「貧乳キャラ」として阿部寛演じる上田にバカにされるなど、仲間を面白くいじっていくことで視聴者に愛されるキャラクターとして馴染んでゆく。それまでの仲間の演技には独特な非現実感があったが、それが返ってドラマのシュールな世界観と阿部寛のトボけた演技にマッチし、コメディエンヌとして開眼するきっかけとなった。


 ヤンクミは、クサいセリフであったり、赤いジャージにお下げ髪でメガネという芋スタイルから、戦うときは美しい姿で啖呵をきるベタなギャップが光るキャラクター。そんな役柄を『TRICK』同様に、非現実的な存在感の仲間がやり切るからこそ、楽しく観ていられる。プロットが分かりやすい、勧善懲悪モノであったことも、ヤンクミが多くの人に愛されることを後押しした。


 女優には大きく2つのタイプがある。1つは様々なキャラクターを演じ分けるタイプ。もう1つは自分のイメージに合った役を与えられるタイプ。仲間はその後者で、40代となっても変わらず徹底したイメージ作りが、女優としての強みだと感じる。そして長年愛され続けているのは、やはり『TRICK』と『ごくせん』での親しみある役が、視聴者との距離を近づけたからであろう。


 『ごくせん』のような過去の名作、女優たちのターニングポイントとなる作品が、通常のドラマ枠で放送される今は、ある意味貴重な機会だ。仲間の原点にして頂点とも言える本作は、仲間以外にも、18年前の松本潤や小栗旬の活躍、密かにクラスメイト役として出演していた松山ケンイチの存在など、ドラマファンとしてお宝発掘のような楽しみもできる作品。ぜひこの再放送で、改めて本作の新たな魅力を探してみてはいかがだろうか。 (文=本 手)


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